本日のお客様は『転生モノ』さんです。

牛尾 仁成

本時のお客様は『転生モノ』さんです。

 初めまてお目にかかりますね。最近とってもお忙しいんでしょう?


「あ、えー、はい……忙しくさせていただいてます」


 物語の一つのテンプレートとして、現代の知識や技能を持つ主人公が交通事故などのトラブルで死亡する。あー、最初に死ぬんですね。それで……RPGゲームとしてよくある剣と魔法のファンタジー世界に転生して、そこで様々なことをする、と。まぁー、とっても楽しそうね。異世界というのは何か、すごいところなんですか?


「まぁ、普通の人間では太刀打ちできない怪物がいたり、電気の代わりに魔法が発達していたり、魔王がいたりと様々です」


 ゼッ〇ンとかですか?


「いや、〇ットンは聞いたことないですね。ちょっとスケールが違い過ぎるというか……」


 ああ、申し訳ありませんね。あたくし、こういうものに疎いものですから。このスキルというのは何なんでしょう?


「何でもいいんです。ものすごい神様みたいな力もあれば、メッチャしょぼい力でも物語にはなります」


 そうなんですね。何だかスキルっていうとメラゾ〇マとか、フ〇アーとかザ・ワー〇ドとか空想具〇化が出てきてしまうんですが、そういうものではない?


「まぁ、そのくらいはっきりとしたものもありますけど、現代人が持ってる日常のスキルがそのまま生きるというパターンもあります。スマホとか、自炊とか。一見何の役に立つんだっていうスキルが戦闘で役立ったりする描写が面白いと言ってくれる人もいますね」


 なるほど、あたくしがもし異世界に転生したらどういうスキルになると思います?


「えーっと、たぶんすごい強いと思いますよ。どんな状況でどんな相手だとしても必ず30分間は〇柳さんの対面に強制的に座っておしゃべりをしないといけなくなる、みたいな能力とか、どうですか?」


 あ、そうですか。おもしろいですね、ほほほ。


「………」


 ところであーた、最近ではそういうテンプレートから少し変化があるとか?


「そ、そうですね。最近では悪役令嬢モノや冒険をせずにスローライフを送るモノとかもあります」


 悪役令嬢というと、ハ〇ジのロッテ〇マイヤーさんとか則天武后的な感じですか?


「ロッ〇ンマイヤーさんが合ってるかは分かりませんが、則天武后は近いかもしれませんね。物語の悪役令嬢ですから、いわゆるテンプレートで考えれば主人公側に倒されたり失脚したりと、散々な目に合わされる役目です」


 あら、そんな人になっちゃったら恨まれちゃうわね。


「そうですね。だからこそ、いきなり昨日までの自分が今日から散々回りを振り回すわがままなお嬢様に変化すると突然、礼儀正しくなったり優しくなったりするわけです。でも令嬢の周りにいる人から見れば、いきなり令嬢が優しくなるわけですから困惑するんですね。そのやりとりが面白い、とこうなるわけです」


 まぁ、人は何をきっかけに変わるか誰にもわかりませんからね。一秒前の自分と一秒後の自分が同じだなんて一体誰が証明できるのかしらね。


 ルールル、ルルルルールル……


 あら、もうこんな時間ね。お話が尽きませんが残念ながらお時間となってしまいました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。今日のお客様の『転生モノ』さんでした。明日のお客様は『追放ざまぁ』さんです、どうぞお楽しみに。

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