第二の生き方

@1-ka

第1話・突然の出会い

ここは東京、渋谷のオフィス街。

「お昼行ってきます」

そういって会社を出た私の行く先は、最近見つけたお気に入りのカフェ・ma-meである。

ーチリンチリンー

「いらっしゃいませ〜」

「エスプレッソとハムチーズサンドひとつ」

「かしこまりました。いつもありがとうございます。」

この店に通うようになって2週間がたっただろうか。すっかり常連になってしまった。

ーうん、おいしい。

エスプレッソをひと口すする。次はサンドイッチ。

ーうん、やっぱりおいしい。

ひと口かんだだけ、いや持っただけで、はみ出てくる、とても濃厚な、モッツァレラチーズ。

これを食べることが最近の私の生きがいだ。

ーありがとうございましたぁー。

コーヒーをゆっくりとすすってから、私は店を出た。

(さてさて、仕事にもどるとしますか。)

めんどくさいと思う部分もあるが、周りの人達に恵まれたようで、なんだかんだ今の仕事は好きだ。

ーードンッー

「すまない」

「いえ、こちらこそ…って総理じゃないですか。サングラスなんて珍しいですね。変装ですか?笑」

「ああ、君かね。久しぶりだ。

 今日は秘書にバレないよう抜けだしてきたからね。保険というやつだよ笑

 …少し聞きたいことがあるのだが、いいかな?」

「ええ、なんでしょう。」

「今どこにいる」

「……あなたの目の前ですよ。

 では、私はこれで。失礼します。」


今会ったのは武藤博士前総理だ。

自らが持つ高いカリスマ性と目的達成のためならなんでも行う性格により当時あった外交問題を全て解決し、国民から多くの指示を得た総理だ。3年前に辞任し、今は元々経営していた会社の方で最高売上をばんばん出しているとかなんとか。

ーまさかこんなところで会うとは。サングラスをつけていたからだろうか。雰囲気が変わっていて、気づかなかった。失態だ。


ー続くー

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