第21話 決戦
ベレッタ・アリステア嬢を魔王城近くの林まで送り届けた後ドーピングをして魔王城へ走る。ちなみに倍率は3倍の薬が各10個で59049倍と更に三倍になるアクセサリーを各4個で合計4782969倍である。そして、恐ろしいのはステータス・レベル制の廃止でこの倍率が全ての能力、例えば視力や身体強度、筋肉の密度にまで補正が掛かる事だ。ちなみに身長には作用しないように調整もしている。これだけで十分だろうが、創造魔法で前衛二人は更なる補正が掛かる。
「ここから撃とうか。」
「ええ、そうしましょう。」
走りながら用意していた魔法を放つ。まず、魔王以外の鏖だ。恐らく成功した。更に、魔王城を突き破って何本もの巨大なスノードロップが花を咲かせる。瞬間、勇者が突っ込む。追走するように魔王へ改変魔法を飛ばす。
「ハァッ」
「グゥ」
なんと、完全不意打ちの一撃を防いだのだ!しかも、改変魔法の対処まで完璧だ。まあ、体制を崩して隙を晒したせいで、アリステア嬢に両足を切られたが。
「終わりだ」
勇者が魔王の体を両断した。遺言を発する間も無い瞬殺であった。
魔王討伐後、謁見の機会を設けられた。そしてご褒美をくれるとのことになった。このご褒美だが、受け取らないと言う面子を潰す事は許されないが、かと言って王家の負担になる様な大層な物を強請ると今度は増長していると捉えられる。魔王を殺す様な力を持つ人間だからこそ、謙虚さや危険性が無い事を証明しなければならないのだ。王家の面子を立てて且つ、魔王討伐メンバーの安全性を知らしめるwin-winな謁見となった。
「ふぅー、やっと帰って来た。」
とは言えここからが俺にとっては本番だ。何故魔王を殺したかというと、亜神スカウトに腰を据える為だ。神によってこれから裏ストーリーでの出来事が起こる事が確定している以上は兎に角、人材のスカウトをしなくてはならない。世界の管理をする以上、敵を倒して暴れるだけでは駄目なのだろう。臨機応変な対応ができる様に準備しなければならない。取り敢えずシルレーナ嬢にお見合いの申し出を出しておく。一緒にいて欲しいと言う事以外にも彼女の植物魔法がとても強力だからだ。あと勇者にも面会要求を出す。
また、会えるだろうか?と言う希望を持ちながら仕事を抜け出す。超常で永遠に生きる彼女にとってあの出会いはちっぽけな物で、もう会えないかもしれない。だというのに、そうであったとしても、そういうところに彼女の超常を感じて心が癒される。でももし叶うのであれば自分も超常の存在になって永遠の時を刻みたい。少し暗い顔をしていると声をかける様な、心が美しく、高潔で優しい彼女と。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
スノードロップには「希望」と言う意味の花言葉がメジャーな一方、「あなたの死を望みます」と言う意味もあるらしいので決戦の地に咲かせてみました。あと純潔の象徴でもあるらしいです。
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