第7話 パーティーに行くらしい
「ヒロインが欲しい。」
よくある悪役転生ものは、大抵婚約者がいる。一度は見放されても、努力していればほぼ100%惚れ直してもらえる。ここで質問だ。嫌われている状態からどうやって恋愛する?婚約はおろか話してさえ貰えない。
以前までなら。
え?いま?よくぞ聞いてくれた。(聞いてない)そもそも、見た目が違い過ぎる。頻繁に会っている関係性でもなければわからない。嫌われて、普通のパーティーにはまず呼ばれないのだ。(浦島太郎状態)ちなみに、ひょろひょろ形態、好青年形態、デブ形態の3形態があるが、ヒロインを探しにパーティーに行くなら好青年形態一択だ。
ちなみに、普通のパーティーには呼ばれないリストデルがなぜ今回参加できるのかと言うと、父親がそれなりに貴族をしていてかつ王族主催のパーティーであるため、呼ばないわけにも行かないからである。王族の誘いを断るのは言語道断であるからして、お世辞で呼ばれ、お世辞で出席するという地獄絵図が出来上がる訳だ。そうであるにしても、リストデルが千載一遇のチャンスを掴んだ事に変わりは無い。
さて、作戦会議をしよう。まず、この世界には政略結婚があまり存在しない。というのも、過去にご先祖様達が政略結婚しまくった結果、貴族間の血縁が強くなったからである。早い話、みんな遠い親戚であるから政略結婚の意味がまるで無いのだ。つまりは、自由恋愛で婚約者を勝ち取らなくてはならないのだ。令嬢達からの評判最悪の一言に尽きるので、まず、同性からの評価を得て、令嬢達から注目を引くと良いだろう。そして、不測の事態に備えるため、魔力量を最大限引き上げるとしよう。改変魔法さえあればどうにかなる。
「はいどーも、当日のリストデルです。」
やはり、これを言っておくとリラックスできる。
今回のパーティーだが貴族子息、貴族令嬢が全員出席してる。
最初に国王陛下の挨拶があるようだ。
「皆、よくぞ集まってくれた。そなたらは今後の王国の希望である。今日、同世代間での親交を深め、王族ひいては王国の発展の礎となることを期待しているぞ。」
国王にしては短い挨拶だ。
さて、周りの様子を窺うとするか。
うん?なんかナイフ持った令嬢おったんだが?しかも周りから見えない角度に携帯している。ほかのパーティーでも練習していたかのような完璧な角度だ。だが、残念だったな!他のパーティーに俺はいなかった!俺こそイレギュラーだ!(大号泣)しかし、冷静になって考えて見ると、王城を守る兵士はそんなに無能では無い。むしろ、有能中の有能である。
「なるほど、グルだな。」
国の方針で、貴族はある程度の武力を持っていなくてはならないので、今回はそれを試されているのだろう。そうなると、他にも共犯者はいるはずだが、それは他の人に任せればよい。そもそも、この場で一番の無能はリストデルであるからして、一人抑えられればファインプレーである。(涙の滝)
「フィルハーリ嬢、ブドウのカクテルはいかがです?」
もちろん、改変魔法で作った睡眠薬入りの。
「まあ、ありがとうございます。いただきますわ。」
ちなみに、リストデル特製で粉末状なので、対策はできない。
「おや、余りお酒には強くないご様子。酔ってしまわれましたか。」
とびっきりの笑顔で入口を守る兵士に、介抱する旨を伝えて、自分の控え室に、お持ち帰りした。
なお、当初の作戦など、忘れた。
_____________________________
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます