第43話 聖教国の判断
聖教国内は今、大きく揺れていた。
【今迄、自分達を守ってくれていた女神イシュトリアが自分達を見捨てていなくなった】
どうして良いのか解らない。
この世界は今迄、少なくとも人間世界は一神教だった。
魔族に邪神が居るのだから、確かに他に神が居ても可笑しくない。
だが、そんな事は考えてもいなかった。
そして、先の魔王を倒した勇者ソランが簡単に倒された。
更に氷帝 ヒョウガも簡単に殺されてしまった。
先程、マイン様に話を聞いた限りでは、魔族の力はかなり増していて昔とは非にはならないらしい。
「私はあのような無礼な者を勇者と認めるのは反対だ」
「そういうのは簡単だが、それでこの国が滅びたらどうする? かのセレナ殿は、確かにソランに迫害されていた、多少無礼になるのも仕方ないのではないか?」
「まぁ、死んでしまった、教皇はその非道な行いを肯定していたんだ、当たり前だな」
「ですが、女神様の話はどうしますか? 流石に信仰の対象を変えるのは問題ではないか?」
「そこは、聖書を新しくすれば良い、今まではイシュトリアがこの地をおさめていたが、手に負えなくなった、その結果主神である、ホトス様に泣きつき降臨して貰った、幾らでも変えてしまえば良い」
「考えてもみたまえ、もし蹴ってしまえば、セレナ殿は、この国は守らないと言い切った、ならば我々には選択する余地はないだろう」
「聖教国が勇者に守ってもらえず憎まれた...崩壊しかない」
「幸い、教皇も五大司祭も死んでくれた、ソランの事をはじめ不味い事は全部、アイツらが勝手に行った事にすればよい、さしずめ次の教皇は【勇者絶対主義思想者】から選挙で選べばよい」
「セレナ殿は、女神イシュトリアが嫌いなようだから、直ぐにでも全教会から撤去させましょう...そして新しく、神、ホトス様の像を作らせなければ」
「それは良い、新しい神の像を作るのですから寄付が必要になる、また懐が潤いますな」
「これは良い、新たな財源も手に入る」
彼らにとって必要な者は【都合の良い神】【都合の良い勇者】だ。
結局、利益と信仰を秤にかけ【セレナを勇者】にして【神を変えた方がお金になる】と判断した。
3日とかからずに、セレナを聖教国が正式に勇者として認め、イシュトリアではなく今後ホトスを神として祭る事が決まった。
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