第40話 聖教国篇スタート 聖教国にて

暫く眠っていたが、目が覚めた。


まだ、王国の領地内を馬車で移動している。


俺が勇者だと伝わり、皆が手を振ってくれていた。


王都での惨劇を考えたら【誰も俺を歓迎などしない】そう思っていたが、そうでもない様だ。


まぁ、此処にいる大多数は今回の件で利があった者が多い。


そりゃそうか?



そのまま馬車は進み、約2週間の時間を掛けて聖都に向っていく。


特に問題は無く、食事の時等はマインとも会話をした。


ただ、テーブルを挟んで会話する位なら問題はない。


「友達からという割には随分固いですわね」


「まぁ久々だから仕方ないだろうが」


「その割には、ミーシャさんとは近いと思うんですが...」


「まぁ、ミーシャは妹兼、湯たんぽだからな..」


「湯たんぽ...ですか」



「うん、ミーシャにとってもセレナは湯たんぽだからね、一緒に寝ているんだよ」



マインは何を顔を赤くしてんだか..



「マイン、お前が思っている様な関係じゃない、俺たちは居場所が無かったから寒空でお互い抱き合い暖め合って生活していた時期がある、王都では毛布すら手に入れにくかったからな...だからお互いが湯たんぽ兼毛布だった、そう言う事だ」


今度は悲しそうな顔をしてるな...


まぁ、マインが悪い訳じゃないが、どう話してもこの15年の過ごし方になればお互いに良い話は、今はできないだろう。



そう思い、世間話に話を変えた。



馬車は聖教国の領地に入り、護衛の騎士に聖教国の騎士が加わった。


あらかじめミーシャについては王から連絡していたから此処では特に問題は起きなかった。



此処では。



宿屋について馬車からミーシャが降りた時だ。


騎士が傍に居たにも関わらず、ミーシャに石を投げた者がいた。


石はミーシャにあたらなかった。


「石を投げちゃいかんぞ」


「だって、そいつは魔物だろう、魔物は人類の敵じゃ無いか」


「そうだ、そうだ」



子供が2人に大人が3人か?


「ミーシャ、馬車に戻って」


「うん」



騎士はその人間たちを追い払おうとしたが...


「何をしているんだ? 相手は貴族か」


「違います」


「ならばこうだ...」


俺は走っていき、5人の首を跳ねた。


「そんな、たかが半魔に石を投げただけで殺すなんて、あなたはそれでも勇者なのか?」


「お前も馬鹿だな」


俺はそのまま剣を騎士に向けた。



「セレス様、止めて下さい」


「勇者様幾ら何でも、止めろーーーーっ」


俺は無視して騎士の首を跳ねた。



「あああっ、何て事を、聖国騎士団の首を跳ねるなんて」


「何でこんな酷い事を」



こいつ等はアホなのか...腹が立つ。


全員殺してしまおうか?



「いちいち説明しなければ解らないのか? ミーシャは王国の侯爵なのだ、それにたかが平民が石を投げたんだ、殺して当たり前だろう?我が国の騎士なら、もし聖教国の貴族が同じような目に遭ったら、今の私の様にするが貴国では違うのか? もし平民が教皇や大司祭に石を投げてもただ追い払うだけで済ますのか?」



「ですが、此処までする事は無いと思います」


「解った、ならば王国にもし、教皇がきたら100人の子供に石を投げさせる...勿論、聖教国騎士団は笑って許してくれるのだな」


「詭弁だ」




「なら、良い、俺は帰る、魔王や魔族とは聖教国と聖教騎士団で戦えばよいさ...頑張れよ」



「待って下さい」


「待つ必要が無い」



どいつも此奴も聖教国には弱いんだな。


マインですら口を出さないで見ている。



「私が、代表して謝ります、ですからお赦し下さい」


「貴方は?」


「聖教国騎士団団長、ランディウスと申します」



「まぁ良い、仕方ないから行ってやるよ、その役立たずは他の騎士に変えてくれ」


「部下の」


「名前は良い、ただの役立たずのゴミ騎士の名前など記憶に留める価値もない」


「解りました」



険悪な雰囲気のまま、その日は宿に泊まった。


ここは聖教国だ、その事を思い知らされた。


ミーシャの傍を離れない方が良いだろう。



そのまま次の日までは何も問題も無く過ぎた。



良かった。


また何かしてくるようなら、ミーシャを連れて帝国にでも行こうかと思った。




昨夜のこともあるから朝食はそのまま宿屋でとった。


そのまま馬車に乗り込み聖教国の教会に...


此処でまた文句を言う奴がいた。



「此処は、聖教国の教会、半魔は流石に入れません」


ミーシャの身分についてはちゃんと話がいっている筈だ。


「ミーシャは王国の侯爵、そしてこの俺勇者パーティーのメンバーだ、勇者の仲間が入れない場所だと言うなら、俺も入りたくないな、良いよ聖剣は要らない、帰ろう、ミーシャ、良かったよ君は俺に魔王と戦わないという未来をくれて、ありがとうな」



「そんな待って下さい」


「教皇に言っておいてくれ、私が勇者とその仲間を叩きだしましたとな」



「セレナ様、まさか本当に帰るのですか?」


「マイン、そうだな...まぁ良いや...こんな馬鹿な奴の集まりにミーシャを連れて行くのもなんだな、この国の騎士は無能だから、そうだジェイクを呼んでくれ」



「解りました」



マインに頼んでジェイクを呼んだ。


もしもの為に来ていて貰って良かった。


「お呼びでございますか?」


「悪い、式典が終わるまでミーシャを守ってくれ、この国の騎士は宛にならない、頼む」


「はっ」



「ミーシャ悪いな、少しジェイクと一緒に居てくれ」


「うん、ミーシャなら大丈夫だよ」



「後で好きな物買ってやるからな」


「うん」



これで腹は決まった。


少しは自重しようと思ったが、もう辞めた。


【ちゃんと責任を取らせてやるからな】



「ほら、ミーシャは返した、ただミーシャは王国の侯爵で俺のパーティの仲間だ、お前の無礼は教皇に責任とって貰うから覚えておけ」


「教皇様に何をさせる気ですか?」


「【謝らせる】それだけだ、まぁ今の教皇は【勇者至上主義】だ話すだけで謝ってくれるだろうさ」


「そんな...そんなことされたら、私は...神に」


「お前さぁ、神が怖いの? 教皇が怖いの?、だけど、聖剣を抜いたあとの勇者は怖くないのかな?」


「ヒィ」


「めんどくせー奴、ほら言う通りにしてやった、早く案内しやがれ」


悲惨な顔で男はセレナを聖堂に案内した。



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