第14話 マーニャ 愛しのお父様

私は勇者であるお父様と平民の母の間に産まれた。


マーニャという娘だ。


本来なら平民なのだから、普通に働く人生しかない。


だが、私は父親が勇者様だったから学園に通う事になった。


勇者である、ソラン様に私はまだ一度も会った事は無い。


だが、母さんに沢山のお金を国が払っているから割と裕福だった。


母さんは死んでしまったが国がお金を継続してくれたから生活には困らない。


だが、私は生きているのが辛い。


お金は貰えるから平民にしては裕福だ。


だが、私は辛いの。


それは...


「あーあ、また来たのか? 平民がなんで此処に来るんだよ」


「本当に気高い血も持たない人間が来るのよ、薄汚いんだ」


「お前もう学園に来るなよ」



平民が貴族や王族が通う学園に通うんだから、嫌がらせは当たり前だよね。


だけど、義務だというんだから仕方ないよね...


机は傷だらけで悪口が書いてある。


良く殴られたり、怒鳴られたり...本当に辛い。


だけど、親すらいない私が貴族の子に逆らえるわけないじゃない...



今迄は男爵や騎士爵の子が虐められていたらしいけど...


今は私がその代わり...


他にも平民の子も居るけど、皆怖くて縮こまっているしか出来ない。


何処からも助けは来ない...仕方ないよね。


だから、私は痣だらけ...



いつもの様にトボトボと街を歩いていると...見つけてしまった。



私のお父様...勇者ソラン様。


つい近くまで走っていってしまった。


「うん、どうしたガキンチョっ」


「わたわたわた...私」


どうしよう、緊張して話せない...


「なんだ、お前、女か...薄汚れていて解らなかったが、なかなかいい面しているな...良いぜ」


お父様は私を優しく抱きしめてくれた。


凄く良い香りがして頭がふわふわしてきた。


そのまま、私はお父様に連れられ近くのホテルに...


そこで気がついてしまった。


私は裸にされ...そのまま。


「やめ、やめて」


流石に親娘でこれは不味いと思ったが...


「大丈夫、優しくするから」


結局は行為に及んだ...しかも途中からは私は自分から腰を振っていた。


行為が終わったあと、お父様が優しく私の髪を撫でてくれていた。


そこで、私は自分が娘である事を告白した。


「うそ、お前がマーニャ、ロリアンの娘なのか?」


「はい」


「そうか、ロリアンは?」


「無くなりました」


その後、お父様は私の体見回すと...


「お前虐められているのか?」


「はい...平民ですから」


「馬鹿だな、お前は半分は平民だが、半分は勇者の血が入っているんだぜ...そうだちょっと待っていろ」


そう言うとお父様はネックレスに何かを言っている様だった。


「どうしたの? お父様」


「ああっ、これをやろうな...もし困ったらこれを握りしめて祈れ」


「綺麗なネックレス...ありがとう」


「良いんだ、お前は俺の娘で...まぁ愛人だからな」



愛人...少し引っかかったけど、お父様は綺麗だし。


いいや、何故かそう思ってしまった。




学園に翌日通うとまた同じ様に虐められた。


廊下で今日は豚の真似だそうだ...


教師も近くにいるのに見て見ぬふり....まぁ上級貴族の子もいるから当たり前ね。


私が四つん這いになって這いずり回っていたから、胸からペンダントが見えてしまった。


「良い物持ってますね、貰いますわね」


「いや」


「おや平民の癖に逆らいますの?」


「これだけは嫌..助けてーーっ」


「だれも貴方を助けなんてしませんわ」


教師までもが、「平民でしょうに、さっさとペンダントを献上なさい」


そう言っていたが...ペンダントが光り輝き、お父様が映し出された。


「ひっ ソラン様」


教師がしりもちをついた。



《神を恐れぬ愚か者よ...勇者の血を継ぐ我が娘を蔑ろにする者》


周りは何が起きたのか見ていた。


そして、学園の警護についていた騎士が騒がしさから駆けつけてきた。


「何事だ..ソラン様」


「騎士よ...そこの娘を今直ぐ斬り殺せ」


騎士は女生徒の顔を見た、その女生徒は侯爵家の令嬢ユリアーヌだった。


「私は貴族よ如何に勇者でも、そんな無体はできない...」


《勇者保護法、第32条、第一項 勇者の持ち物を盗もうとした者は例外なく死刑である》


これは勇者の持ち物は、聖剣を始め重要な物が多い事から出来た特例である。


「ですが、一体ユリアーヌ様が何を盗もうとしたのでしょうか?」


《マーニャが付けているネックレスは俺が貸した物だ、それを奪おうとした...教師も見ていた筈だ》


「本当ですか」


《そうだろう...よもや嘘はつかんよな!》


「...はい」


教師は恐怖で震え、逆らう事など出来なかった。


「こうなっては仕方ない、赦されよ」


「待って、謝りますわ...そうだ」



「煩い罪人が」



「たす」



騎士は剣を抜き、ユリアーヌを切り捨てた。


《マーニャは俺の娘だ、逆らう事は俺に逆らったと同罪だ、もし危害を加えたらその領主の土地には一切討伐には向かわないからな...また困った事があったら何時で言うんだぞ...》


光が消えて、お父様の映像は消えた。


その日から私の生活は変わった。


教師も、生徒も私を虐めなくなった。


それどころか、逆に何でもお願いを聞いてくれるようになった。


「そのブレスレット綺麗ね」


「どどうぞ...」


「ありがとう」


何でも皆がくれるし...教師もマーニャ様と言う様に変わった。


お父様は学園の隣の建物を買い上げると私をそこに住まわせた。



まるで貴族のお屋敷みたいで使用人までいる。


良くお父様は通ってきて...二人で愛し合っていた。



うん、幸せだ..



もう私に逆らえる者は学園にいない。


普通に授業を受けられる...本当に平和だ。


欲しい物はくれと言うだけで貰えるんだから...




だが、そんな幸せななか、お父様のソランが死んだ...


また惨めな生活に逆戻り、いやそれ以下の生活になった。


国からも支援はなくなり...皆からは【父と交わった】汚らわしい子と同じ平民からも蔑まられた。


私は父の子を妊娠していた。


「ごめんなさい、赤ちゃん産んであげれなくて」


私は部屋から追い出される前に首を吊って死ぬ事にした。


私は勇者の娘だから、神様がきっとあの世での生活を保障してくれる。


だけど、それ以上にお父様に逢いたい...待っててねお父様、いまマーニャが行きますから...


マーニャは勢いよく椅子を蹴った。



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