第2話 勇者の死
「魔王が再び復活したと言うのか? ならば勇者ソランを呼べ」
先の魔王を倒してから約15年。
次の魔王が現れ再び世界は暗黒に飲まれようとしていた。
だが、この世界には勇者がいる。
魔王を倒した報酬に爵位に領地、そして王族でも無いのに沢山の妻を娶る権利を与えた。
女達は、ソランの甘いマスクに惹かれたのか婚約破棄をも何とも思わなかったようだが...
そこまでの権利を与えたのはこの時の為だ。
騎士が呼びに行くとソランは奴隷商にいた。
「何かあったのか? 俺は新しい奴隷が入ったと聞き見に来たのだが」
「魔王が復活しました、いまその軍勢が王国の門の前まできています」
「そうか、なら俺が行くしかないな? そこエルフとそこの貴族っぽい女、国につけておいてくれ、あとで屋敷に頼む」
不思議な事にこんな最低な事をしているのに、何故かソランを憎む者はいない。
充分なお金や財産を持つソランなら、態々国に買わせなくても奴隷なら幾らでも買える。
だが、そうしない...
それだけでこの男の底が知れるが、だれも咎めない。
「勇者ソラン様、おひとりで大丈夫ですか?」
「聖女も王女も最近相手にしてなかったから機嫌が悪いんだ、元王女も含んで、もうBBAだから、そんなに抱きたくないってーの!女のヤキモチって奴だな、全く30過ぎのBBAなんだから若い女にヤキモチ焼くなよな...仕方ないから俺が行くよ、今の俺なら魔王以外は相手にならないから、安心だ」
勇者ソランは城門を開かせ、たった一人で魔王軍に戦いを挑んだ。
聖剣を使い、沢山の魔族を葬るが...キリがない。
「嘘だろう...こんな数」
「貴様が勇者だな、だがどうだ、この数の暴力は...この人数で掛かれば例え魔王様であっても裁きキレぬわ、更に魔族四天王のうち二人も投入しているんだぜ? いかにお前が勇者でも...おい!」
「剛腕、貴方が話している間にもう討ち取ってしまったよ」
そこには勇者ソランの首を千切り高々と上にあげている魔族がいた。
他の魔族より強そうな彼女は恐らく、新四天王といった所だろう。
「何だ~俺の出番は無しか...なぁこれってこんな人数で来るような奴か?100人で充分じゃないか?」
「馬鹿だね~この人数だから人間が襲って来ないんだろうが、そんな人数で行ったら勇者以外の人間が出張って来るでしょう」
「そうか」
勇者を殺し満足したのか、魔族の軍勢はそのまま引き上げた。
勇者が魔王を倒した時は18歳...それから15年経ち、今は33歳。
この世界の寿命が50~60と考えれば充分ピークを過ぎている。
新しい魔族に勝てないのは当たり前なのかも知れない。
それと同時に何かが割れた様な気が人々を襲った。
何が起きたのかをこの後人々は思い知る事になる。
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