とある開戦(はじまり)の風景 1

説明回です……字がいっぱいですみません。

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  真奈美を家に送り届けた後、俺は自宅に帰った。



 戦闘が終わって怪我も汚れも消えたはずなのに手には血の感触が残っている気がして風呂に入った。風呂から出た後、自室に戻ってベッドに寝転がると、人差し指をこめかみに当てて『アドブレイン』を起動すると学校のサーバーに侵入して情報を確認した。



 20年ほど前から出生時に高性能インプラントを体に埋め込み、それを媒介に戸籍等の各種証明だけでは無く、電子マネーなどの生活に必要なものなど、物理的な媒介を使わずに使用出来るようになった。


 進化した通信環境のお陰で……余程の田舎に行かない限りは……どこでもネットワークが使用出来て、それを使用するためにも昔のようなコンピューターやタブレット端末などは必要なく、全て脳内で確認出来るようになっている。


 今時、コンビニで買い物する時も、電車やバスに乗る時も財布からお金やカードを出す奴なんて見かけない。


 今ではインプラントを拒む年寄りや、手元に保管出来ないと不安な人間、道楽主義の金持ち、身元がはっきりしない人間以外は全てその恩恵を受けている。



 俺は手元のメモ帳……今では高級品だ……を開いて情報の違いを確認していく。さすがに生徒全員を確認するのはしんどいが、命が掛かっているからにはやらない訳にはいかない。


 能力者同士の戦闘で負けた人間は存在が消える……学校のサーバーだけではなく、世界から全ての情報が消えていて、そいつが存在した事を確認出来なくなる。そして一体どういう仕組みか分からないが、


 ……だが、紙に書いた情報は消えたりしない。


 俺はそれに気付いて、毎日消えた生徒がいないか確認している。……それが何に役立つかは分からないが、どんな些細な情報でも生き残るための武器になると信じて。


「当然だが吉田川は消えている……他にも3人消えている。


 余程ヘマをやらない限りは、学年を跨いで能力者を見つけて殺す事は難しい。今日は3年の生徒3人が消えている……しかも同じクラスだ。


 正確には分からないが、俺の見立てでは各クラスに能力者は3~4人いる。能力が付与された時点で大げさなリアクションをする奴は多かった。だから自分のクラスメイトが最初の敵になる可能性が高い。


 今回の3人は、同じクラスの奴が一気にやったか、両隣のクラスの奴がやったか、どちらかの可能性が高いだろう。すぐにこちらに影響する事は無いだろうが、こういう情報は能力者が減ってきた時に重要だと考える。


「俺と同じ事をやっている奴は何人いるんだろうな?」


 そうつぶやきながら俺はボールペン……これも高級品だ……で吉田川と顔も知らない上級生の名前に横線を引いた。 



 1ヶ月ほど前、授業中に突然、音声アナウンスが流れた。全員では無く能力者に適合した人間のみにだ。俺は授業中に素知らぬ顔で『アドブレイン』を使用している事が多くノーリアクションだったのだが、明らかにキョロキョロ周りを見回している奴がいた。


 その中には真奈美や吉田川もいた。詳細は省くが、その声は俺たちに対して……


「おめでとう、君たちは能力者アビリティホルダーに選ばれた……与えられた能力アビリティを使ってより優秀な能力を選別してくれ」


「選別は能力者どうし能力を使っての戦闘行為で決める。」


「テストに非協力的な者……他の能力者に対して能力を使わない者は間引きされる」


「戦闘行為で相手を死亡させても、相手の存在は消えるから罪には問われない」


「戦闘系の能力を能力者以外に使用しても何も起きたりはしないが、使用した能力者にはペナルティが発生する」


「状況に応じてルール変更や強制的な戦闘も発生するのでその都度連絡をする」


 ……などと、一方的な宣言をすると、そのタイミングで一通のメールが送られて来た。元々肘をついてこめかみに手を当てていた俺はそのままメールを開封する。


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 能力名『ストック×メール』


 状況に応じてヒントとなるメールが送られてくる。詳細はレベルアップと共に情報が開示されます。

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 このメールを見た時点で俺はまだ危機感を抱いたりはしなかった。




 ……その日のうちに、この能力でまでは。




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あまり深く考えないで書く「エクスプローラーズ」に比べると、こちらは何度も書いたり消したりで悪戦苦闘しております。

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