用語集

 

 いつもありがとうございます、ろんです。


 作者の力不足で、だんだん話がごちゃついてきてしまったので……用語を整理したものを載せます! 


 ※今回は箸休め感覚の回なので、本編ではないです。


 

 分犬法

 二年前──とある青年によって提案され、瞬く間に世間に浸透していった、新たな法律。その内容は、全ての国民を『犬』という漢字が入った地位ステイタスで割り振るというもの。

 主導者である青年を導犬リーダーとし、警察官を忠犬クレバー、警備員やボディガードを番犬ガード、優れた能力を持つ者を名犬フェイマス──といった形で分けられる。これらは四強よんきょうと呼ばれ、選ばれた者しかなることが出来ない。

 それに属さない一般人は基本的に、主人マスター飼犬スイート野犬ビターとされている。



 地位ステイタス

 分犬法による新たな支配体制の根底にある、身分制度のこと。与えられた地位によって、これからの生活を左右する程重要。



 導犬リーダー

 日本を導くたった一人の存在。その孤高の王座には、分犬法を発案した青年が鎮座している。かつて日本を主導していた政府を撤退させ、新政府の王に成り上がった。

 分犬法の発令宣言以来、その姿を現したことはない。メディアに関わることはまずなく、国民の中には彼の顔を知らない者さえいる。経歴は勿論、本名すら知られていないので、全貌は未だ謎に包まれている。



 番犬ガード

 導犬や、政府が関係する建物を徹底警備する屈強なガードマンのこと。元々ガードマンの職に就いていた人達がそのまま引っこ抜かれて、分犬法が出来てからは番犬となっている。体格が良く、筋骨隆々な男のみで構成された、一種の特殊部隊でもある。

 また、ありとあらゆる守りの術を極めており、日々トレーニングを重ねている。

 一切の隙も許さぬ、鉄壁の番人達。



 忠犬クレバー

 政府に忠実な警察官の総称で、日本全土の警察官に与えられた地位である。因みに老若男女問わない。

 分犬法によって得たのはその地位だけではない。彼ら、彼女らには政府からの給付金が送られるのだ。政府上層部の思惑は判明していないが、幾重にも渡って給付される多額の金に悪く思う者はいない。

 分犬法の施行前、どんなに優秀で誠実だった者も、莫大な富に溺れてしまっている。

 金に魅せられた、憐れな傀儡達。



 名犬フェイマス

 スポーツ、文化、学問──様々な観点から、輝かしい功績を残した者や発展に尽くした者に与えられる、称号のような地位。世間体から見ても有名人揃いなので、テレビに出ることはしょっちゅう。

 四強で唯一、一般人でもなることが出来る。何か一つ非常に優れた能力を持っていれば、名犬になれるチャンスを得られる。

 


 ペア

 主人マスター飼犬スイートが組む、所謂いわゆるカップルのようなもの。男女の組み合わせは自由。女が主人、男が飼犬という例もある。また原則として、家族同士と18歳未満には禁止とされている。

 ペアになる手順はこんな感じです。

①恋人と仲を深める

②パートナーと話し合った上で、役所にペアの申請を  

 しに行く(どちらが主人・飼犬になるかなど)

③申請完了後、指定された病院で検査をしてもらう

 

 ここまでが公的な手順です。


④互いの心を繋げる為に、スキンシップで愛を育む。(要はイチャイチャするってことです)


 ペアは結婚とほぼ同一視されているが、一つ違うのは『国から推奨される』ということ。一時的な援助を受けることも出来る程、ペアとなった人達は政府に手厚く庇護される。なので、沢山の人がこぞってペアを組むことを目指している。

 晴れてペアになることが出来た者は、異常な程の愛で固く結び付く。その愛の強さゆえ、飢えたペアは子を儲けてもすぐに飽きてしまう確率が非常に高い。

 しかし、相性が合わずにトラブルが起きてしまうペアもごく稀にいる。



 主人マスター

 飼犬とペアになることで、初めて意味を成す地位のこと。基本的に、飼犬より優位な立ち位置であることが多い。

 飼犬を躾したい、第二の親のような存在達。


 飼犬スイート

 主人とペアになることで意味を成す地位のこと。主人に絶対的な信頼や愛情を寄せている者が殆ど。そして元々の名字が無くなり、名前のみで生きていくことになる。イメージとしては、婿(嫁)入りしたら自分の名字が変わる感じ。

 また、主人と何らかの理由で揉めてしまった飼犬を保護し、新たなパートナーを見つける為の手助けを行う施設がある。

 なに不自由ない環境で育った、夢見がちなペット達。

 


 New!! 帰巣ホーム本能シック

 ペアが離ればなれになることで露わになる、一種の潜在意識のようなもの。風邪のような症状が出ることが多く、離れている期間が長い程悪化しやすくなる傾向がある。

 症状が出始める時期は、ペアによって早かったり遅かったりする。

 主な症状として、前述のような体調不良に加え、無性にペアにすがりたくなってしまうという精神の揺らぎも見受けられる。ペアと身体的に触れ合うことで回復する。

 ちなみに主人と飼犬、どちらにも影響する。



 野犬ビター

 特殊で過酷な環境下を耐え抜き、生き続けた者達のこと。ただ、この名は誉れではなく、ある意味差別用語のようなものである。身勝手な主人と飼犬の夫婦が急激に増加したこともあり、現代では親のいない子供を指すことが多い。

 分犬法施行に伴い、孤児院や児童保護施設にいる子供へ一斉に与えられた地位。職員には、酷な現実を知らない子供達に正しい事実と知識を教える義務がある。

 また、かつて身寄りのない子供を保護していた施設が、そのまま野犬保護施設になっている。

 野犬として成人まで育った人達は、政府から申し分程度の支援金を受け取ることが出来る。当然、その量では生活するに足りず、安い賃金で働き続けるしかなくなってしまう。

 野犬は主人・飼犬のようなペアを組むことは一応許されている。といっても、野犬同士なので正式なペアではない。

 廃れた運命を背負い、堪え忍ぶことを強いられた者達。



 狂犬マッド

 人智を超えた能力を一つ授かる代償として、同じ重みのものを一つ失った人達のこと。この総称は地位というより、人々の恐れる感情から生まれた差別用語である。授かった能力と失ったものは人によって様々で、言葉の通り千差万別。また、能力の高さと失ったものの重さは釣り合うようになっている。成長するにつれて狂犬としての性質が濃くなるので、幼少時代に判断されることは少ない。


 加えて狂犬達は、常識外れな考えを持っている。それを上手く利用した者の中には、社会で大成功を遂げることもある。勿論、狂犬であることを隠した上で。そうでなかった者は異常者として尚更忌避され、最悪の場合忠犬によって投獄されてしまう。

 なので大抵の狂犬は、波風が立たないよう、社会に完全に溶け込んで生きている。

 偽りの世でただ息をする、悪者ヴィランのレッテルを貼られた者達。





 登場人物

 


 つかさ ゆき(飼犬スイート) 20歳


 本作の主人公で受け。飼犬なので名字はないが、戸籍上はつかさとなっている。義兄のゆいとは、分犬法が制定されてすぐにペアになった。当時幸は18歳。また、母親を幼い頃に病で亡くしている。

 病室に縛られた生活、そして結の束縛に嫌気が差し、外の世界へ飛び出した。かなり恐れ知らずで、好奇心に満ち溢れた性格である。無鉄砲で、後先考えずに動いてしまう。病弱──だったはずだが、結の元を離れてから何故か調子が良くなってきている。しかし日光には弱いことは変わらず、肌が瞬く間に炎症を起こしてしまう。

 

 乱のことは、親しい友として受け入れている。年の近い男子と話した経験が無かったので、殊更嬉しいそう。そして、乱が食人をしている理由がきっとあるはずだと信じ、それを打ち明けるくれるまで待つことを選んだ。


 明るい茶髪と、チョコレート色の美しい瞳の持ち主。肌が陶器のように白く、繊細な印象を与える。

 身長は165センチメートル、筋肉が少なめで子供のような体格をしている。

 一人称はオレ。



 らん(狂犬マッド) 19歳

 本作のもう一人の主人公で攻め。野犬ビター保護シェルター“故郷ふるさと”で幼少期を送っていて、職員には野犬だと勘違いされている。

 世間からは、凶悪な食人鬼として恐れられている。その異名は“悪食あくじき”。文字の如く、悪人だと認識した者のとある部分を食べる。憎悪で濁りきった目と特有の雰囲気で判断し、その者の悪い部分を食らう。一応殺しはしない主義。

 忠犬クレバー(警察)と秘密裏に関係を持っている。そのことを幸に話す勇気はまだない。


 驚異的な身体能力を得た代わりに、一切の味覚を失っている。何の変哲もない食べ物は言うまでもなく、意志で食べている人肉ですら、心の底から美味しいと感じたことはない。その分身体能力は凄まじく、人間には到底辿り着けないレベルのパルクールを行うことが出来る。

 味覚を除いた五感(聴覚、嗅覚、視覚、触覚)も、ある程度優れている。対人戦闘において、並外れた強さを誇る。


 飄々とした物言いをしたり誤魔化し癖があったりなど、かなり感情が読み取りにくい性格をしている。普段は比較的穏やかな物腰だが、空腹状態になると途端に気性が荒くなる。腹の鳴る音がスイッチのようなもの。しかし二重人格ではなく、単にお腹が空いて気が立っているだけ。お腹が空くと無性にイライラするあの感じ。

 そんな性格もそうだが、口調もしょっちゅう変わる。


 ボク、◯◯ー  対あまり親しくない人 

         小馬鹿にする感じ

 ボク、◯◯   リラックス状態 対親しい人

 俺、◯◯    ???

 俺、(汚い言葉) 極限の空腹状態 短気モード


 闇夜を映したような深い黒髪と、琥珀色アーバンの瞳の持ち主。野性的な八重歯も特徴的。188センチメートルの高身長で、スラッとしている。ひょろひょろそうに見えるが、実は細マッチョ。

 食人を行う際には、黒い戌面、黒のワイシャツに黒のスラックスを身に纏う。黒いレザーのポーチも携帯していて、中には刃物、黒手袋、長めの布、包帯などが入っている。



 つかさ ゆい(主人マスター) 24歳

 幸の義理の兄。幸の父親の再婚相手の息子である。整った目鼻立ちに柔らかい物腰と、万人受けする性格をしている。しかし、幸を想うあまり、感情が不安定に陥りやすいという弱点を持つ。幸は、彼の心のぐらつきやこの性格が苦手だった。

 その反面、優れた化学者として世に名を馳せている。多岐に渡る研究に身を投じていて、現在は幸の病を治す薬を開発しているそう。化学者としての優秀さから新たな名犬フェイマスの有力候補と謳われているが、それらのスカウトを全て断っている。幸のために時間を空けたい一心。忙しい研究生活の中、毎日幸の見舞いに足を運ぶ程献身的。

 若者にしては珍しく、ひどい難聴持ち。突出した知能から読唇術に長けているが、実際にはっきりと聴き取れるのは幸の声だけ。愛と気合いで聴こえるようになったそう。

 身長は178センチメートルで、深みのあるダークブラウンの髪色をしている。黒に近い瞳で、若干タレ目。

 一人称は俺。



 こうばやしくれ(野犬ビター) 29歳

 野犬保護シェルター“故郷”の職員。明朗快活とした女性で、誰にでも好かれる性格をしている。

 恵まれない家庭環境で育ち、物心ついた頃には児童保護施設にいた。故郷とは別の施設で育ち、高校を卒業してから故郷にアルバイトとして就いた。当時18歳。

 赤毛に近い髪色で、ポニーテールに結わえている。173センチメートルの身長を持ち、スラッとした体型。



 みどさくら(野犬ビター) 80歳

 紅奈を含め、多くの野犬が働く故郷の理事長及び責任者。小柄で、優しい雰囲気を纏った老婦人。タレ眉タレ目でおっとりとした印象がある反面、言動はキビキビしている。大規模で凄まじい災害を幼少期に経験したことから、野犬として登録されている。

 繊細な白髪で、パーマがかかっている。150センチメートル程の身長だが、腰は曲がっておらずしゃんとしている。淑女の模範のようなお方。



 ノクス 6歳

 乱によく懐いた黒いシェパード犬(オス)。いい感じに長毛で、好ましいモフモフ具合。基本的に人懐っこく、社交的な性格をしている。人間でいうと気の良いおじさんみたいな感じ。

 乱の命令は絶対。課された目標ミッションは必ず遂行させる優秀な子。そのご褒美に、乱からおこぼれのお肉を貰うことも……。

 元捨て犬で、死ぬ間際に乱に助けてもらった。



 オマケ

 藍川あいかわ 蒼良そら(飼犬スイート) 25歳

 主人である尊斗との生活に耐えきれず、逃げ出した女性。窮地を乱に救ってもらい、飼犬の保護団体の元に無事に辿り着くことが出来た。

 自分が逃げるついで──というよりほぼ自分の為に幸を逃がしたが、実際には幸のことをそれなりに大事に思っていた。正しい判断が出来ない程、その頃の彼女は追い詰められていた。

 身長は163センチメートル、ロングの黒髪で清楚な見た目。ゆったりした話し口調が特徴的。

 


 藍川 尊斗たかと(主人マスター) 31歳

 年甲斐もなく光り物を至るところに付けた、DQNスタイルの男。

 偶然知り合った蒼良に一目惚れ。ほぼ一方的にペアとなる。それからは暴力と束縛で彼女を縛り続けていた。

 乱に悪食をされ、忠犬に引き渡された後──病院にワケあり患者として送り込まれ、精神的に苛まれながら生活をする羽目になる。

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