SituationVoice風詩集

雪の降る冬

第1話 TSさせたいお嬢様〜

紅茶はどう?久々にあなたに注いでみたけれど、美味しいかしら?

匂いが透き通っていて、自分好みの味って?ふふっ、嬉しい事言ってくれるわね。


今日はこうやってゆっくりお茶を飲める時間があるようだけど、最近なかなか時間が取れないわよね。

何か忙しい事でも出来たのかしら?


習い事を始めた?

母親に無理やり塾に行かされてる?


あの人はコンプレックスが強そうだから、あなたも大変そうね。

確か、あの人は文武両道の娘が欲しかったのよね?

でも、貴方は男で勉強はそこそこ、運動はダメダメ。

あの人にとっては、あり得ない存在なのよね。


え?何で母親のコンプレックスをそ知ってるかって?

お母様が言ってきたのよ。私と貴方が付き合い始めてから、貴方の親は少しやばい人だから貴方とは関係を切りなさいって。


ふふっ、そんな悲しそうな顔をしないで。お母様に言われただけで、貴方と別れたりしないわ。

でもまあ、貴方は災難ね。あの人のせいで、今まで色んな人から避けられてきたのでしょ?自分の親の頭がおかしいせいで、家では言葉の暴力を受けて、外では蔑む目を向けられて。


あら、手が震えているわ。辛い記憶を思い出したのね。こっちに来て。そう、私のベットへ。私の膝に頭を乗せて寝転がって。

ほら、よしよし。よーしよし。貴方は1人じゃないわ。私がそばにいる。貴方の味方はすぐそばに居る。


どうかしら?落ち着いたかしら?

ごめんなさい?別に謝らなくていいわ。私が貴方にしてあげたいだけなのだから。

ねえ、そのままの姿勢で聞いてて。私は貴方の味方で恋人だけれど、多分このままでいられない。お母様はあの人と関わりを持つことを拒んでる。貴方があの人と絶縁したとしても、きっと許さない。


今にも泣きそうな顔をしないで。

いじめたくなるわ。


何か言ったかって?いえ、何も言ってないわ。

ともかく、現状だと親のせいで私と貴方は別れなくてはならなくなるの。それは貴方も分かるわよね?


いい返事ね。

そこでね、貴方に協力してほしいことがあるの。

私は貴方と恋人のままでいたい。貴方もそうよね?

だから、協力してくれるわよね?


恋人同士でいられるなら、何でも手伝うって?

そう、ありがとう。きっと貴方なら協力してくれると思っていたわ。


でも、何をするかですって?


それはもちろん…て、眠くなってきているわね。


どうにかして起きているから、続きを話してですって?

貴方の返事を聞けたから、また目が覚めてからでいいわ。だから、安心して眠っていてちょうだい。

それに、準備もあるから。


おやすみなさい。



あら、目が覚めたようね。

ここは、どこかって?ここはね、地下室。他人には言えない実験をするための場所なの。

そんなところに連れてきて、しかも手足を鎖に繋がれて、何をするつもりかですって?


それは、私と貴方が恋人同士でいられるためにとあることをするのよ。

とあることっていうのはね、貴方を別人に変えるの。


何を言っているのか?頭がおかしくなったのか?ですって?


酷いわね。恋人に向かっていうセリフではないでしょ?

まあいいわ。貴方も混乱しているのね。でも、貴方は言ってくれたわよね?恋人同士のままでいられるなら何でも手伝うって。


恋人同士でいられることと、この部屋に鎖で繋がれるのとどう関係があるか、ねぇ。


ごめんない。そこは私のせいよ。私が貴方を信じられなかったからよ。もし、今回のことを言ったら断られるかもしれないって。貴方を信じられなかったの。


僕は君のためなら、何でもする?だからこの鎖を外して?


もちろん、ダメよ。だって貴方は男だもの。私の嫌いな嫌いな男なんだから。いつ裏切ってもおかしくないわ。


急にどうしたのかって?雰囲気がいつもと違う?


あぁ、ごめんなさい。こっちの私は見せたことなかったわね。私はね、男が嫌いなの。醜い体、獣のような剛毛な毛、発情しっぱなしの目。

どれもが気に入らない。男というだけで嫌悪感が増す。どうして貴方は男として生まれてしまったの!?


心は綺麗で誰よりも優しく、他人を思いやれて、謙虚。

ここまでいいのに、どうして、体は男なの!?


許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。


怖いものでもみているような顔をして、どうしたの?そんな顔をしないで。醜い体だとしても、私は貴方を愛してるの。だから、今から女の子になりましょう。

貴方の失敗はあの人に男として生まされてしまったこと。女として生まれてきていればきっと人生が百八十度変わっていたわ。きっと、私とも問題なく恋人同士になれていたと思うの。貴方もそう思わない?


喋らないということは認めるのね。よかった、私と貴方は考え方も一緒のようね。

さぁ、話を戻すわ。私と貴方が恋人でいられるように、私は貴方を女の子にしようと思うの。

最初は貴方を別人にして、あの人と無関係にして、お母様に貴方のことを許してもらおうと思っていたの。

ほら見て、あそこ。いっぱいのカプセルに人が入れられてるでしょ?あれは実験体だけど、どれも人間の形から大きく外れてるでしょ。他人にする薬を作るのに本当に骨が折れたわ。なかなか成功しなくて、確かあれで50人程度使ったのよね。


でもね、中々上手くいかなくて、そこで私思ったの。別人にしなくても、女の子にして仕舞えばいいじゃないって。そもそも、何で私の嫌いな男に変えないといけないのかなって。体を変えるなら、女の子にすればいいじゃないって。

それに、体の一部をだけを変えればいいのだから、薬を作るのも簡単だったわ。

それがこれ。この注射の中に入ってる紫の液体。


これが貴方の体の中に入れば、全身燃えるような苦しみで暴れててしまうことになるでしょうけど、私と恋人のままでいられるわ。どう、嬉しい?

涙なんて流して、泣くほど嬉しいのね?


最後に聞くけど、貴方は協力してくれるわよね?まぁ、元々断られても、紅茶に睡眠薬を入れていたから、無理矢理でも女の子にしていたんだけどね。


これで苦しむのが最後になるのなら、構わない。私のためなら薬の投与を拒まない、ね。

ありがとう。気兼ねなく注射を打てるわ。


ちょっぴりちっとするかもしれないけど、我慢してね。

はい、力を抜いて。そう、そのまま。薬が入っていくわ。

あと少しだからね。はい、これで投与はおしまい。


あ、暴れないで燃えるような苦しみに襲われているのね。でも大丈夫。私がずって貴方を抱きしめてあげる。

苦しいわよね。辛いわよね。

でも、今を耐えればもう貴方は苦しい思いをしなくて良くなるの。いつまでも貴方は私の中で笑顔でいられるようになるの。


落ち着いてきたわね。もうこれ以上の苦しみはないわ。鎖も外してあげる。

あら、疲れて1人で立つこともできないようね。

瞼は今にも閉じてしまいそう。

いいわ、そのまま目を閉じてしまいなさい。後のことは全て私が責任を持ってやってあげる。だから貴方はもう休んで。次に目が覚めたらきっと、そこは楽園よ。

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