4
サクッ……サクッ……
静かな音が部屋に響く。男の手にあるナイフが、何度も何度も人形の腹を突き刺す。布はその勢いに耐え切れず、少しずつ中身を露わにしていく。白いわたが宙を舞う。
「……ダストリーはいつ消えるのかな」
男は瞬きもせず人形を見つめる。かわいらしい男の子の人形は、何度腹を抉られても、決して笑顔を崩さない。男と同じでその表情は動かない。
サクッ……サクッ……
「早く、早く消さないと。救世主……友……師……。あの人の仇を、仇を、取らないと」
男の口角がゆっくりと上がっていく。少しずつ、少しずつ、笑い声が隙間から漏れ出る。その間も手は止まらない。一回一回確実に、同じペースで、人形の腹が抉られる。わたが外気に触れる。舞っていく。
(時の子もそろそろ手に入る。それまでの辛抱だ)
「ははっ。脳での会話か」
(君が導入したんだろう)
サクッ……サクッ……
男がゆっくりとまぶたを閉じ、顔を声の主に向ける。同時に双眸が現れる。
(ああ。いい手段だとは、思うよ)
男は静かに言葉を発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます