第73話 薔薇姫 麗子のチャンス

私の名前は二条麗子、少し前までは 薔薇姫と呼ばれていた。


だが、馬鹿な事をした為に、今は樽に詰められている。


これが婚姻の為の出迎えなんて悪い冗談だ。


樽に裸で入れられて糞尿垂れ流し...暗いし臭いし...何も見えない。


両親があそこまで反対してくれたのが解る。


こんな事する位だ、真面に結婚する気など無い筈だ。


何度死のうと思ったか解らないが、だけど、私が死ぬと二条家の責任問題になるかも知れない。


そう考えたらそんな事は出来ない。


このまま海外の変態国王に贈られて、いたぶられて、辱めを受け殺されるのだろう。


そして、糞尿が樽の中で固まり体にこびりついた頃...樽は開けられた。


私は水は与えられたが食料は与えられていない。


体は干からびた老婆の様ね。


匂いもきっとホームレス以上に臭いはずだわ。


周りから嘲笑が聞こえてくる。


私を馬鹿にする声だ


「これはこれは...何と汚いメスだろうか?」


此奴が結婚相手か...あれっ今死ぬのなら..実家に責任が行かないだろう?


衰弱した体で体がふらつくのは当たり前だ、運が良いな...下はコンクリートだ。


私はタイミングを計る...勢いをつけた様に見えないように、それで後頭部を確実に打ち付けるように転んだ。


ぐしゃ、頭蓋骨が確実に砕けた...これで確実に死ねるだろう。


私は薔薇姫、どれ程落ちようと、自分の心だけは渡さない。


抱きたいのなら...この汚い死体を抱くが良いわよ。


先に逝くわね麗華さん、多分、貴方も私のように酷い目に逢っているんでしょうね...ごめんなさい。


私は絵夢とは違う、惨めになんか生きない、誇りを持って死んでいくわ...



死んでいく彼女は知らない絵夢や麗華が幸せに生きている事を....


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