第72話 白百合さんの焼きもち

僕は東吾くんを見ていた。


正直、気持ち悪い。


だって美しい王子様みたいな美少年と化け物みたいな女が二人でイチャついているんだ。


恐怖しか感じないよ。


だけど、東吾くんをみて初めて自分という物が解かった。


あれは、他から見た僕の姿だ。


あの麗華が、東吾くんの恋人か...嫌だな...Wデートとか言ったら...断ろう。


正直、麗華を見た時は化け物の中の化け物に見えた。


よく見るとこの距離でも..充分醜くくて怖い。


「黒木くん...何を羨ましそうに見ているのかな?」


やっぱり、黒木くんも美女の方が良いんだ...そりゃ天下の麗華さんだもんね。


「別にみてないよ」


「嘘...食い入るように見ていたじゃない? 麗華さん」


「違うよ...僕が見ていたのは東吾くんだよ」


「本当にそうかな?」


嘘だよ..絶対に麗華さんを見ていたよ。


「いやぁさ...東吾くんとは友達だからさ、そのうちWデートとかしなくちゃいけないのかな?とか、あの人とも仲良くしなくちゃいけないのかな?って考えていたんだ」


「そうか? そうだよね」


「あっ...もしかして白百合さん焼きもち焼いた?」


「焼くに決まっているじゃないですか...黒木くんは本当にかっこ良いんですから」


「そう...だったら凄く嬉しいな」


「何でですか?...」


「だって焼きもち焼くって事はそれだけ僕を好きだって事でしょう? 凄く嬉しいよ」


「あの...あまり焼きもち焼かせないで下さいね...お手柔らかにお願いします」


「だけど、焼きもち焼いて怒っている白百合さんが可愛いから...またするかも知れない」


「まったくもう、黒木くんは....仕方ないですね」

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