第71話 IF 別の世界の黒木くんと白百合さん

目が覚めた。


豪邸ではない。


ここは、そうだまだ両親が居た時に住んでいた昔の家だ。


やはり、あれは夢だったのか...


僕は階段を降りて下に降りた。


母が朝食を用意している。


いつも食べていた、みそ汁と納豆とご飯、と卵。


僕はいつもの様に急いで食べる...時間は8時15分急いで登校。


友達は殆ど居ないから...一人で走って登校。


教室には遅刻ギリギリで滑り込んだ。


後ろの窓から2番目の席...そこが僕の席。


ここの席から...僕は白百合さんの後ろ姿を見る。


可笑しいな...全校一綺麗で可愛いい、白百合さんは僕の憧れなのだけど..何でこんなに苦しいのかな。


あれは夢だ...彼女が僕の恋人な訳がない。


だから、僕はただ眺めているだけで満足している。


授業が終わる。


いつもの様に白百合さんを眺めている。


また、かっこ良い奴が告白している。


そして撃沈している。


今日は野球部のキャプテンか...


僕みたいなモブは相手に何かして貰えないのが解っている...なのに..どうして苦しいのかな。


不思議な夢を見た。


白百合さんと僕が美味しそうにお弁当を食べている。


しかも、あーんと仲良く食べている。


考えれば考えるほど苦しくなる。


もういいや、楽になろう..僕は今日...告白する。


夢の中の白百合さんが喜んでくれたお弁当を作る。


さぁ勝負だ。



「白百合さん、ちょっと良い」


「黒木くん..どうしたのかな」


白百合さんを僕は屋上に呼び出した。


「白百合さん...僕と付き合って下さい」


「ごめんなさい...黒木くん..私好きな人がいるのごめんなさい」


「そう..ごめんね..迷惑かけて」


「ううん...こっちこそ」


現実は辛いな...


「そうだ...白百合さん..いつも学食でしょう、良かったらこれ食べて」


僕は、無理やりお弁当を渡して走っていった。


夢の様にいかないな...夢だとお弁当を白百合さんは「おいしいよ」って食べてくれたのに...


教室に帰った。


周りの目が、何やってんだ...そう言う目だ。


怖くて白百合さんの方が見れない...





私は恋をしている。


夢の中の私は凄く醜くだれも愛してくれない。


それなのに、たった一人の男の子は私を愛してくれた。


いつも顔を見たいのに見れない。


仲良く、お弁当を食べていた。


実際にはこの世の中に居ない人。


だけど、この夢を見た日から私はもう誰も好きには成れなくなってしまった。


学園一の北條東吾...憧れた時はあるけど、夢の中の彼にあってからはもう気にもならなくなった。


北條君がほかの誰かと話しているのを偶然聞いた。


内容はなぜ私を口説かないのかという事だった。


北條君は言っていた。不思議な事に彼女は好みなんだが、口説こうと思うと「白百合さんは渡さないよ」そう聞こえてくるんだそうだ。


それ、夢の中の彼が言っていた事だ。



昼休み、私は黒木君が押し付けたお弁当を手にしていた。


はっきり言って憂鬱だ...何で私が振った男の弁当を食べなきゃいけないんだろう。


だけど、これ男なのに私の為に作ったんだろうな...男のくせにお弁当...仕方ない今日だけは食べてあげよう...


可笑しいな..このハンバーグ..おいしいよ...何で涙が出てくるの?


この卵焼き..食べた事がある..何処で...夢の中で。


そうだ、夢の中のお弁当は私が作っていたんじゃない...彼が作っていたんだ。


黒木翔くん...私の一番大切な人...思い出した。


私は食べかけのお弁当を閉まった...私の一番大切な人を傷つけてしまった。


黒木くん...黒木くんは何処に...いた。


「黒木くん...世界で一番大好きです..付き合って下さい」


「僕も、白百合さんが大好きです。付き合って下さい」


あの時の言葉だ...私の顔は涙でグチャグチャだ...黒木くんも一緒。


「「とりあえず。また弁友からはじめようか」」



ねぇ黒木くん...白百合京子は何処に行っても黒木くんの恋人だよ


...もう、金剛さんや西城さんに触れさせないからね...


「白百合さん..どうしたの?」


「何でもないよ..翔くん」


クラスの喧騒はやかましい位騒がしくなった。


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