第67話 お風呂、その後に

「貴子さん、こういう事だったのね? だから自分達だけでやるなんて言ったのかしら?」


「何の事かしら小百合さん」


「昨日、黒木さんとお風呂はいりましたよね?」


「えぇ...それはもう天国のような時間でしたわ」


「それは、例の事へのお礼ですよね、私最初手伝うって言いましたよね?」


「そうね」


「手伝っていたら、お仲間に入れて貰えましたよね?」


「そうだと思うわ」


「じゃぁ、私が入れなかったのは貴子さんが手伝わせてくれなかったからですよね?」


「そうだね、だけど、汚れ仕事は小百合には似合わないから、、」


「私だって、企業のトップなのよ今迄汚い事は多少はしてきたわ」


「今回は、多少じゃないんだよ...だから仲間に入れなかった」


「そうなのね、じゃぁ仕方ないわ...気を使ってくれたの」


「まぁね、小百合は友達だから...」


「友情の為、そう言うなら仕方ありませんわ、貴方が内容を言わないという事は凄く残虐な事なのでしょうから、でも、友情と愛情は別よ? 私もあの子の母親役何だから、次からは気を回さなくてよいわ」


「解かった、次に何かやる時は必ず声を掛けるよ」


「そう、解ったわ」




「黒木くん、何で私を差し置いて 貴子さん達とお風呂に入るのかな?」


僕はまたピンチを迎えている。いつもは輝く湖のような目をした白百合さんが、濁った眼をして聞いてきた。


「あの、それはお礼で...つい...」


「黒木様は、お礼でつい女性とお風呂に入られるのですか?」


氷のような冷たい目をした金剛さんに睨まれた。


「ただ、背中を流してあげただけだよ、やましい事はしてない」


「お兄ちゃんは背中を流してあげたんだ、へぇ」


いつも愛くるしい歩美ちゃんがまるで能面のような顔をしている。


「うん、そうだよ」


「黒木君、不潔だな、不潔な黒木君は」


何で東条さんは刀をもっているのかな...


絵夢お姉ちゃんが歩いている...仕方ないプライドは捨てよう。


「絵夢お姉ちゃん...助けて」


絵夢お姉ちゃんは僕と白百合さんを見回して...


「ごめん、黒木ちゃん、私には無理」


そう言って立ち去るのかと思ったら、何故か白百合さんの近くの椅子に座った。


良いなライトノベルの主人公は思いのままに行動出来て、現実はちょっと行動を起こすとこれだ。


仕方ない、自分で自分の首を絞める事になるかも知れない...


幸いな事にうちのお風呂は大きい。


「解かった、そんなに一緒にお風呂に入りたいのなら...今度から皆んなで一緒に入ろう」


「「「「「えっ」」」」


「黒木くん、それ本気なのかな、もう一切取り消しはきかないかなにゃ」


白百合さん、噛んだ、、。


「黒木様様様、は本気で言え、聞きません、今更嘘なんて聞きません」


「お兄ちゃんとお風呂、お風呂と」


「お姉ちゃんも勿論OKだよね」


「うん、良いよ...皆んな大切な人だから」


だけど、これだけの美人の体を見て耐えられるか、自分が寧ろ心配だ。


あれっ東条さんが静かだな。


立ったまま気絶している...


ただの混浴の話なのに...


黒木は知らない、この世界では一緒にお風呂に入るなんて行為は殆どない。


もし、普通の男性に、混浴のお願いをしたら、まず断られる。


その位この世界の男は何もしない。


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