第66話 東吾と麗華

私の名前は南条麗華。


少し前まで美しすぎる美少女って呼ばれていました。


ですが、今、私は...ホームレスになっています。


麗華の会という会も持っていたけど...


北條東吾との婚約を会員に勧めていたらいつの間にか瓦解してしまった。


気が付いたら会員が一人も居ないのよ...うふふ。


100億円どころか今の私は無一文ね。


しかも、北條を怒らせたのが解ると両親や親族は私を捨てたわ。


「南条の家にお前は要らない」ですって。


散々麗華の会があった頃はやれ誇りに思うだ、何だ言っていたくせに。


親子は他人の始まり。


まさにそうね。


学費も払えないから学校には行ってないし、仕方ないからゴミ箱漁って生きている。


アルバイトはしないのかって?


北條から嫌われた私には無理ね...空き缶すら拾っても買ってくれないのだから。


男だったら体を売ればお金になるのに女だから、どんなに綺麗でも売り物にならないもの。


そりゃそうだ、男はお金を貰って、仕方なくSEXの相手をするんだから、幾ら美少女でも売り物にならない。


二条家の前を通った時に「強く生きるんだよ」とお金をくれたけど、この家も北條に嫌われているから私の援助なんて出来ない。


それでも、たまにゴミ箱の上にお弁当を置いて置いてくれる...唯一の味方かな。


「もう、何日、ご飯食べてないか解らないや、公園に水を飲みに行こう」


電柱に貼り紙がしてある。


「北條家...メイド募集...当家のお坊ちゃま東吾様のお世話をお願い致します。 給料は面談時に話し合い、最低50万は保証します。 住み込みOK、賄い3食でます。」


「北條家のメイド...しかも東吾つき...誰も申し込まないでしょうね」


「私も、落ちた物ね...死ねなくて...ホームレスして...辛いから 北條家、転落人生じゃない、いいわ、最後まで、もがいてやる...」


私は、北條家へと足を進めた。


北條家のインターホンを鳴らした。


おかしいな、いつもなら直ぐに出てくるブサイク3人メイドが出て来ない。


代わりに北條東吾が出て来た。


何で此奴がでてくるのよ。


「何かようか」


気持ち悪い、正直吐き気がする。


だがここは我慢だ。


「あの、貼り紙を見て、メイドの応募にきました」


「うん、メイドか? 本当に...じゃぁすぐ面接しよう」


きもいけど仕方ない。


「はい、お願いします」


綺麗な応接間に通された、なのに何故か汚い


「じゃぁ履歴書だして」


「ありません」


「あの、面接受けに来たんだよね?」


「はい」


「何でないの? 」


「その、お金が無くて、買えませんでした」


こんなこと言うの本当に恥ずかしい、だけど本当の事だ仕方ない。


「仕方ないね、じゃぁ名前は?」


「南条麗華...です」


「南条...えっ南条麗華...本物」


「ええ本物です...笑うといいわ、どうせ、どうせ私なんか雇ってくれないのでしょうから...じゃぁ」


「いいよ、身元も解るから...採用」


「採用してくれるの?...オエ、ゲボドパ」


私は胃になにも無いのに盛大に吐いた。



メイドになった私の初仕事は自分のゲロ掃除という不名誉な仕事から始まった。


「また、吐かれても困るから、最初に吐かないコツを教えるよ」


「はい」


「こっち向くな...また吐くぞ...いいか、吐かないコツは顔を見ない事だ...そうだな、やや下の目線、喉から下を見るようにする事だ、場合によっては足元を見るようにする事だな」


「東吾様 ...なんでそんなコツを知っているのですか?」


「あのさぁ、驚くかも知れないけど、北條家の中では俺が一番まともだ」


「他の方は? 」


「多分、こっちには来ないと思うけど...僕から見ても化け物だ」


「化け物...まさか?」


「うちのメイドは見た事があるか?」


「1人は...ああいう人こそが化け物だと思いますが」


「あれを1化け物と計算したら、1万化け物位差がある...まぁ極力、顔を見ない事だ」


「そうですか、所で、私は何をしたら宜しいのでしょうか? 正直、メイドなんて初めてですから」


「料理はできるか?」


「少しは...」


「なら、掃除と料理、洗濯をしてくれれば良いぞ」


「それだけで?」


「あぁ、それだけで良い...後は出来る事をすれば良い」


「解りました」


「それじゃ...俺の顔を見るのが辛そうだから、俺は部屋に帰る、流石に、そんな状態じゃ...女性として不憫だから...風呂に入って、今日は休め...明日までに服を用意してやる」


「はい」


あれ、此奴...顔以外は案外良い人じゃないかな...


これで顔がせめてまともなら、、良いのに...



私がお風呂に入っていると音がした。


何をしているのかのぞいてみた。


女の服を漁っている、やっぱり変態だ。


男の癖に、女の服や下着を見るなんて...逆ならまだしも...


あれっ、彼奴定規を持っている、ただの変態じゃ無いのかも知れない。


何を計っているんだ、彼奴、まさか胸の寸法とか計っているのかな?


別に被害はないから放って置くか。


東吾は採寸した紙を持って、黒木の家へ向かった。


そこは、東吾にとって...恐怖の館だ。


「あの、翔くん、母さんはいるかな?」


「貴子さん? いるよ、東吾くんは親友だから声なんか掛けずに入っても良いんだよ」


「異性がいるのにそうはいかない...それじゃ上がらせてもらうよ」



「母さん、玲奈姉さんに美優も居るのか、ちょっと良いですか」


「東吾、お久しぶりね...元気にしてた?」


「なんだお兄いちゃんか」


「東吾...何かよう」


凄く機嫌の良い母さんに機嫌の悪そうな姉妹...どうしたんだろう。


「先日、話していたメイドなんですけど」


「そうね、決まらないわよね」


「それが決まったので報告にきました」


「そっそう、決まったのね...良かったじゃない」


「はい...住み込み希望なのでどの部屋使わせたら良いのかと思いまして」


「どこでも好きにしていいわ、母はこれからこっちにいる事が多いと思うから好きな空き部屋使って」


「ありがとうございます、後、服とかも持って無さそうなんですが...」


「いいわ、50万位あげとけば良いんじゃないかしら...もしかして今日の服も無いのかしら」


「ええっ」


「じゃぁ白金にメイド服でも作らせるから...寸法を聞いてきて」


「これです」


「用意良いわね、きょうの所は私の服、あっ白いクローゼットの方は駄目よ、黒い方なら好きにして良いわ」


「ありがとう母さん」


「それで、採用したメイドの名前は、なんていう人なの?」


「南条麗華さん...すごく綺麗な人です」


「そう、南条さん、有名な方ね」


「はい」


今度、話を聞いて見ようかしら?


何を考えて居るのかじっくり聞かなきゃね。



結局、あのあと、東吾様の「今日は疲れているだろうから、休んで良い」


と言う言葉に甘えて休ませて貰った。


久々の布団が凄く心地よい。


お風呂に入って、暖かい所で眠れる、久々に幸せを感じる、うん、幸せだ。


少し前までは当たり前だった事が、違う、当たり前じゃない、この布団、重さを感じない。


この敷布団凄く沈み込む...こんな布団初めてだ。


まるで雲の上で寝ているみたい、うん...


気がついたら朝になっていた。


あれっ私寝ちゃったのか...しかし凄く目覚めが良いな。


しかし、この部屋改めて見ると凄いなぁ...多分三十畳位あるんじゃないかな?


応接セットもあるし、トイレにシャワールームもある...決して使用人の部屋じゃないよこれ。


応接セットに、何故カップ麺? 


手紙? 何が書いてあるのかな?


南条さんへ

今日は、色々準備が必要だと思うからお休みにして頂いて結構です。

とりあえず、出かけるのにも服は必要だと思うので母の服を置いておきました。

それを着て下さい。

とりあえず、女性なので服や下着をはじめ、必要な物が沢山あると思います。

男の俺には何が必要なのか解りませんので、

支度金として50万置いておくので使って下さい。

北條家の身分証明も用意しましたのでお持ち下さい。


追伸、俺は飯が作れない、だから朝食はカップ麺を食ってくれ


                              東吾



あの人は何を考えているのかな、私は使用人でメイドなのに...


多分、私の知り合った男の中で、一番やさしい人。


なのに、体が、目が全てを拒絶してしまう。


恋愛?無理だ、だけど、女に50万そんな男は他には居ない。


なんで、美形に生まれて来なかったのかな、贅沢は言わない、せめて普通のキモメンに生れて来なかったのかなそうしたら私は、確実に好きになったと思う。


だけど、目があったら吐き気がするんじゃ、恋愛は無理だ...


さてと、久々の買い物だ...今日は目一杯楽しもう。


「さてとまずは服から買おうかな」


「すいませんが、麗華さんにはお売りできません」


そうか、こんな時の為にこれか、東吾って気配りできるんだ。


凄いな。


「そうですか?」


「すみません、北條に嫌われた者には何も売れませんわ」


「私に物を売らないと、貴方やこの店が北條に嫌われますよ」


「何を冗談を...貴方程、嫌われて」


「はい、これ...」


「これって、北條家の身分証明書」


「これ出しても譲って貰えなかったって帰ったら言うわよ」


「すいません、本当にすいません、どうか報告はやめて下さい」


凄い、土下座する人間、初めてみたわね。


「別に、怒ってないですよ、そうね、同じ事が起こると面倒くさいから、私が北條家と和解した、、その事を広めて下さい、それでどうですか?」


「解りました、直ぐに広めますので許して下さい」


麗華は知らない...この身分証明書はこの世に5枚しか無かった。


その5枚の所有者は、白金、園崎、古木の三人のメイドと白百合奈々子...そして最後の1枚がこれだ。


北條ゆかりの者の証明。


これさえ出せば、総理とも面会は出来るし、皇族の園遊会に記帳なくしては入れる。


又、お金だって無制限に貸してくれる。


究極の保証カードだ。


買い物すればするほど心の中に引っかかりが出来る。


つい数日前にはゴミ箱を漁っていた。


そこから、救い出してくれたのは...多分世界で一番醜い男。


だけど、世界一の美少女と呼ばれた私でも女だから...誰も助けてくれなかった。


案外、お似合いなのかも、落ち着きなさい、それは間違いだから...


さてと、服も日常品も買ったし料理の本でも買って帰るかな...


まだ、何も作れないから、ほか弁でも2個かってかえるか...あれっ...2個、.なんで




さてと、食堂にメモして、ホカ弁を置いて


食え   麗華より


これで良いか...あれっ手紙が置いてある。


南条さんへ


母の行きつけのフランス料理店から鴨料理をケータリングして貰いました。

冷蔵庫にありますので良かったら、食べて下さい


                        東吾


忘れていた、彼奴はお金持ちだった...


せっかく弁当買って来たのに...無駄になっちゃったじゃない。


だけど、不細工とは言え、男が此処まで女にするかな...


これじゃまるで、私が男で東吾が女みたいじゃない...


あれで、外見が真面だったらな...


落ち着きなさい、私...今、何を言おうとしたの?


まさか、外見が真面だったら...ないわね。


だけど、麗華は仮は返す...女なのよ...


絶対に...借りは返すんだから...




俺は今...驚きを隠せない。


ついに、俺の元にもメイドが来たんだ...しかもとびっきりの美少女だ。



最近、俺は1人で過ごしている。


母も姉妹も翔くんにべったりだ...それは良い...逆に怖い思いしないで助かる。


三人のメイドも翔くんの家に行った...これも目には凄く優しい。


だけど...俺の世話は誰がするんだ、まぁ金はあるから良いんだけど...


だけど、俺って、友達は翔くんしか居ないじゃないか、あそこが化け物屋敷になったら、うん元のボッチだ。


白金は「メイドの募集を掛けたから大丈夫」って言ったけど...大丈夫じゃ無いだろう。


仕えるのが北條家...しかも俺付きなんて来ないよね。


白金...「来ますよ」なんて言っているくせに、顔が笑っているんだよ解っている...


期待なんかしてない...これから俺は1人でも強く生きていくんだ。


1人で俺がたそがれていると、インターホンが鳴った。


ちぇ 彼奴らが居ないから俺がでるのか。


「何かようか」


どうせ何かの営業だろう、親切にする必要はない。


「あの、貼り紙を見て、メイドの応募にきました」


嘘、来てくれたんだ、、凄く綺麗で可愛い。

鼻が曲がりそうな程臭いけど、、


「うん、メイド...本当に...じゃぁすぐ面接しよう」


もう採用で良いんだが、形上は面接しないとな。


「はい、お願いします」


何処かで見た顔だな、、しかし見れば見るほど綺麗だ...芸能人かな?


「じゃぁ履歴書だして」



「ありません」


何で履歴書無いんだ 俺をからかっているのか?



「あの、面接受けに来たんだよね?」


何を考えているのか、おかしいだろう。


「はい」


「何でないの? 」


「その、お金が無くて、買えませんでした」


履歴書や写真も買えない位貧乏なの? じゃぁ仕方ないな。


「仕方ないね、じゃぁ名前は?」


「南条麗華...です」


「南条、えっ南条麗華、本物」


汚くてまさかと思ったけど南条さんだ、なんで、これは夢じゃないかな。


まさか覚めたりしないよな。


「ええ本物です、笑うといいわ、どうせ、どうせ私なんか雇ってくれないのでしょうから...じゃぁ」


「いいよ、身元も解るから...採用」


断る訳ない、絶対に断らない。


「採用してくれるの?...オエ、ゲボドパ」


俺を見たんだな...吐くのも仕方ないな。



吐かないコツを教えなきゃ...多分そんなに長くは居てくれないと思うけど...


嬉しいな...翔くん以外でこんなに話したのは初めてだ。



家事について聞いた...料理が出来るらしい。


だったら、いつかは彼女の手作り料理が食べれるのかな...


本当はただ彼女がこの屋敷に居てくれるだけで良いんだ...


だけど、そういう訳に行かないか...


だったら、掃除、洗濯、食事、それだけ頼もう、別にさぼってもいいぞ。


世界一の美少女が、こんなに汚い恰好をしているなんて、何かあったに違いない。


しかも顔色も悪くやつれている...俺をみたせいでもあるが。


今日は風呂にでも入って貰って...休んで貰おう。


あっ少し笑ってくれた...やっぱり、麗華は綺麗だ。


本当は良くないかも知れないけど。


彼女が風呂に入っている間に服が気になったから見てみた。


何日も来ていたんだろうな、ボロボロだ。


新しい服が必要だよな、これじゃかわいそうだ。


とりあえず、寸法を計ろう、多分母さんに近い体型かな。


母さんは要らない服が沢山あるかことわってから貰おう。


あと、メイド服も必要だ。


仕方ない、これか、僕は勇者になる。


怖いけど行くしかない、翔くんの家へ...


相談は無事終わった。


何かあるといけないからと母さんが身分証明書を作ってくれた。


心配性だな母さんは....



さて...しっかり寝ているな、俺が翔くん位の美形なら添い寝するんだが。


不細工の俺じゃ気持ち悪がられるだけだ...

母さんから借りた服を置いて、お金を置いて、手紙も書いた。


俺が翔くんみたいに料理が出来たら、お弁当も置いとくんだが、俺は家事が一切出来ないからカップ麺で我慢して貰おう。


俺みたいなブサイクと顔を合わせたら、せっかくの休みが台無しだ、俺は部屋に戻るよ。



後は夕食に、鴨料理を頼もう母が食べるような高級料理店だから旨いと思う。


喜んでくれるかな。



南条さんが帰ってきた。


鴨料理を美味しそうに食べている。


うん、本当に良かった。


あれっ、テーブルに何か置いてある...手紙もある。


食え  麗華より


嘘、、初めて女からプレゼント貰っちゃったよ...だけど、弁当じゃ食べなくちゃ。


「本当に旨いな...これ」


何で、このお弁当食べると涙が出てくるのかな...おかしいな...


有難う、南条さん...多分君は此処には長く居てくれないと思う。


僕みたいなブサイクな男に好かれても嬉しくないかもしれないけど...


君が此処を出て行っても、君を守ってくれる男が現れるまで..


僕が守るよ...


ありがとう





「なんで、お前はバケツを持っているんだ?」


「いや、これがあれば吐いても安心だから」


「ところで、この真っ黒な物体はなんだ?」


「パンを焼いたんだけど...少しこげちゃって」


「そうか」


「あっ...スープは自信あるよ?」


「これはインスタントだよな?」


「そうとも、いいますね?」


「料理は得意じゃ無かったのか?」


「少しはできるよ...インスタントのカレーとかハンバーグは得意よ」


「そうか、ありがとな」


いきおいで出してしまったけど、あのパンは炭みたいよね...本当に食べるの?

ブサイクとはいえ男が...


「あの、それ出したけど、食べない方が良いよ」


「お前が作ったんだろう...食べる」


何で、何で、そんな嬉しそうに食べる訳...他の男なら床に叩きつけるでしょうに。


幾ら..私が作ったからって...


ようし、決めたわ...


私は此奴に慣れるように頑張ろう。


まずは、どうにか顔が見れるように...なってやる。


私は、決意を込めて東吾様の顔を見た。


オエッコポ..ゲハ...


うん、バケツを持っていて良かった...うん。


「南条さん、何で吐いているんだ、無理して俺を見る事無いのにコツは教えただろう」


「これは、私の意地ですから放って置いて下さい」


「そうか、無理はするなよ」


「今日、ちょっと午後外出してきて良いですか?」


「別に構わないが、何処に行くんだ」


「お隣に行って、奥様やお姉さま、妹様にご挨拶と先輩方にご挨拶してこようと思いまして」


「そうか、頑張れよ」


あそこは怖くて俺はいけないからな。


「はい」


「その後は、今日は休んで良いぞ」


あそこから帰ってきたら仕事にならないだろうしな。


「それじゃ有難くその後は休ませて頂きます」



昼食は抜いた、酔い止めの薬も飲んだ、バケツも持った、準備OK


さぁ...頑張れ...私



「あらっ麗華さん、お久しぶりですね」


「白金さん、その節は、力不足で申し訳ございませんでした」


「いえ、こちらこそ、ごめんなさい無理難題吹っ掛けて、ごめん」


「いえ...大口叩いて出来なかった私の本当の力不足です」


「そう、そう言って貰えると助かるわ、それで今日は何の御用?」


「東吾様つきのメイドになったので、北條家の皆さまにご挨拶と、先輩へのご挨拶、その後お時間があれば黒木様にお会いできればと」


「最初の話は解るけど、最後のは何かしら? まだ黒木様に未練があるのかしら...ねぇ麗華さん」


「いえ、違いますよ、ただお詫びが言いたいのと聞きたい事があるのです」


「そう、それは同席でも良いのかしら、」


「はい、、白金さんなら、構いません」


「そう、それじゃ奥様からご挨拶いくわよ」



「貴子様...新しく入ったメイドの南条を連れてきました」


あちゃぁ...あの子か、ちょっと罪悪感があるわね。


「何で、バケツを持っているのかしら?」


「最初位はちゃんと顔をみて、ご挨拶をしようと思いまして、ウエ、ゴボゲハ」


「何気に失礼ね、貴方、顔を見なければ良いだけなのに?」


「すみません、だけど、相手の目をみて話しをしたかったんです、メイドの分際ですみません」


「正直、失礼だけど、その気持ち、嫌いじゃないわよ、同じ事、娘たちにもするつもりでしょう」


「はい」


「そう、頑張りなさい」


「はい」


どう見ても悪い子じゃないわね、しかも東吾のメイドをしてくれるなんて...

悪い事したわ、白金が...


「私を含め、他のメイドも母屋にはあまり行かないから東吾の事は任せましたよ」


「はい、任されました」


「本当に良い子ね、さぁ娘たちにもあってきて」


「はい、ウェ」


「良いから、早く」




「私が玲奈だ、宜しくな、所で何? そのゲロが入ったバケツ」


「最初位は顔を見て挨拶をしようと思いまして」


「成程ね、吐いた時のバケツか、だけど、私達との接し方は東吾からきいたんじゃない」


「それでも、私は顔を見て挨拶がしたかったのです、うぷぷぷげっ」


「そう、面白いね、君は、うん、頑張んなよ、まぁ東吾は任せたよ」


黒木君の仲間以外では顔を見て話をしてくれる人は居なかったな。

ゲロは吐きながら話すなんて、面白いな。



「美優に挨拶、そう、だけどそのバケツはなにかな」


「その、すいません、おえぇぇぇぇ」


「ああ、吐くからバケツなのね、見なくて良いよ、白金たちだって見ないんだから」


「それでも、私は顔を見たいんです」


「顔は真っ青、体は震えているのに、頑張り屋さんは美優は好きだな、頑張ってね南条さん」




「私が、古木で、こっちが園崎だよ」


「南条麗華と申します、宜しくお願い致します」


「宜しくね、白金さんが酷い事したよね、ごめんね」


「虐められたら私に言ってね、私が間に入るからね」


「ちょっと、2人とも、私が悪役ですか?ねね、私酷い事してないよね」


「酷い事されましたが、大丈夫です」


「ちょっと、南条さん」


「あはははは、白金さんでも取り乱すんですね、怒ってませんよ、白金さんの困った顔を見れたのでおあいこで良いです」


この子凄いわ、麗華の会が作れたわけ解かるわ、黒木様とは比べられないけど...華がある。

そして、貴子様たちとも向き合おうとする行動、私達でも顔を合わすのは難しい...

自分から、それをする何て凄いわ。


「反省したわ、ごめんなさい」


「本当に、おあいこですから」


「そういう事にします」


「園崎さん、そう言えばメイド服は出来ていますか?」


「出来ています」


「じゃぁ、これ制服です、早速着替えて下さい」


「これ、凄く綺麗な服ですね」


「綺麗なだけじゃないですよ、、特殊繊維で作ってあるから、ナイフも刺さらないし、拳銃の弾位なら貫通しません」


「冗談ですよね」


「本当よ、ほら」


「古木さん...それ」


「ねっ軍用ナイフでも切れないでしょう」


「凄い...この服」


「それだけじゃなんですよ...この服その物が...カードも兼ねていて、殆どのお店で何でも買えます、支払いは全部北條にきます...かと言って無駄使いはしないでね」


「園崎さん、、それって」


「この服を着れるのがボーナスみたいな物よ欲しい物は何でも、それこそ家でも何でも買える」


「しかも、これを着た時には北條の使い扱いだから...前に渡した身分証明書証以上、国連の会議中に入って言って、大統領を殴っても、笑って許されるわ」


「それは流石に冗談ですよね?」


「冗談ですよ、真に受けないで下さい...それが可能なのは白金さんのだけですよ...南条さんや私達のは国内限定でしかつかえませんよ...精々が総理大臣に何かを頼める位です」


北條って、凄い、メイドでも政治家以上じゃない...

笑うしかないよ...これ。




「怪物王子...お願いします」


「怪物王子? 僕の事?」


「貴方を除いて怪物王子なんて呼べる人は居ません」


「あの、いきなり押しかけて怪物王子は無いでしょう? 南条さん、まずは挨拶からしないと」


「すみません、白金さん」


「あの、南条さん、うえっ...どうしてメイドの恰好しているのですか?」


「はいっ今日から東吾様つきのメイドになったのでそのご挨拶をしに来ました」


「そう頑張って...では僕はこれで」


「教えて下さい、黒木様、どうすれば、気持ち悪い人達を見ても平然と居られるのですか?どうすれば醜い者を愛する事が出来るのですか、教えて下さい」


「そ、それは解らない」


「解らないのですか」


「そう、気が付いたら、好きになっていましたから、答えにならなくてごめん」


「そう、ですか、好きになったからですか...すいません変な事聞いて」






「絵夢、ごめんなさい、謝って許される事じゃないけど」


「別に良いよ、どうせ年齢をばらしただけでしょう...後は麗子の仕業よね」


「それでも」


「良いわよ...私は見た目は子供だけど、大人なの、歳をバラされた位で怒らないわ」


「そう、それでもごめんなさい」


「まぁ、あの麗華がホームレスをしたんだからもう良いよ、今、私幸せだから」


こんなに傷だらけなのに強いわね。


「そう、流石はホワイトロリータね」


此処に来てみて解かったわ...外見なんてその人の価値の一部なんだって


さぁ、明日からも頑張ろう...





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