第64話 お風呂パラダイス

「それで、白金、南条麗華はどうなったのかしら?」


「そこまでする気は無かったのですが、何故か東吾様の結婚相手を探す話になりまして...達成報酬100億円渡す話しになりました」


「それ、絶対に達成できないですね」


「だから、無理強いする気も余り無かったのですが...話が進んで、出来なかったら麗華の会の解散という話になりました」


「白金さん...それは私も酷いと思います、何故止めてあげなかったのですか?」


「それは自滅していくのが面白いからですよ園崎さん」


「相変わらずの趣味だね」


「えっえ..だけど本当に無理強いして無かったんだけど...」


「それも、そうね実年齢を晒しただけだから、厳重注意で充分だわ」


「それなのに、白金ちゃん...鬼だわ」


「なっ、面白いから良いじゃないですか?」



トントン


「失礼いたします」


「あれっ黒木様...どうかされたのですか?」


「あのっ皆さんをお風呂に誘いにきました」


「「「「えっ」」」」


「あの黒木君...今なんて言いました」


「黒木様、聞き間違いですよね...白金にはお風呂のお誘いに聞こえましたよ」


「本気で誘っていらっしゃるんですか?..冗談ですよね」


「ごめん、鼻血が...何を言っているんです」


「じゃぁ、僕先に入って待っているから...出来るだけ早くきてね」


結局4人は、おどおどしながらお風呂に来るまで15分位掛かった。


「遅いよ、、早く服脱いで入ってきて」


「あはははは、もしかして私欲求不満ななななのかな...黒木君にお風呂に誘われる幻覚が見えている」


「貴子さま...白金にも見えます...ですが、さっきから鼻血が...」


「園崎はそんな失態を犯しません、しっかりバスタオルを巻いてますよ」


「私は、、準備OKですよえへへへへ」


「結構、恥ずかしいんで早く入ってきてください」


「「「「「解りました(わ)」」」」


これは夢なのでしょうか? 黒木君にお風呂に誘われるなんて。


私達も誘われていますから夢じゃないですよ?


もう、死んでも良いかもしれない。


「じゃぁ、皆んな湯船につかって...」


嘘、黒木君、上半身、裸...なっなっ


「じゃぁ、貴子さんから、背中流すから出てきて」


「あっあっあの、しぇなかでしゅか」


「はい、流すからそこの椅子に座って...」


「ひゃぃ」


これは絶対に夢だ見ちゃいけない夢...現実の訳がない。


黒木君が私の背中にお湯を掛けてくれた。


「貴子さん、ごめんなさい」


「?...どうしたの...黒木君」


「僕が、絵夢さんを保護したから、凄く迷惑かけたでしょう?」


「別に何もしてませんよ?」


「言いたくないなら何も聞きません...だけど、皆んなここ暫く僕が見つめると困ったような顔をしてました...だから勝手に感謝します」


それより、ちょっと待って、そんな背中...優しく洗われたら...駄目、駄目、壊れちゃう、私壊れちゃううから...


「はい、終わったよ...前は流石に...無理だから自分で洗って下さい」


目の前に半裸の黒木きゅんが...


「風邪引いちゃううよ...湯船で暖まらないと...」


「ひゃぁあい」


気づかれちゃったのかな。


本当に凄いわ、私の感情迄読み取るなんて。


もう、本当の家族以上なんじゃないかな。


うちの娘たちでも私の顔色なんて読み取れませんのに。



「はい、次は、白金さん...座って」


「はい」


優しくお湯を掛けられた。


目の前に、黒木様の胸が、胸が、、


「はい、じゃぁ石鹸付けて背中洗うね...」


「うん、く、らめー背中がゾクゾクして...本当に駄目だよ、黒木様」


「あはははは、白金さん、面白い」


「だけど、本当にごめんね、、多分、僕、白金さんに嫌な仕事をさせたんだよね?」


私もまだまだ未熟ですね。 こんな簡単に見破られるなんて。


だけど、それが解るという事は、、日頃から私を見ていてくれる事ですよね。


本当に優しい、貴方の笑顔の為なら、喜んでどんな事でもしますよ。


「私は、貴方のメイドですよ...ご主人様の為なら何でもする、それがメイドですわ」


「はいっ出来た、湯船で温まって下さいね」


「はい」


「それじゃ、園崎さん」


「はい、おおおおお願いします」


「くくくくすぐったいですわ、、黒木様っつつ」


「そう、じゃぁ少し緩くしますね」


「あっあっあっ、あん駄目です...駄目」


「園崎さんもごめんなさい」


「良いんですよ...黒木様、黒木様を助けるのはメイドの仕事なんですから、何時でも頼って下さい」


凄いな、私の顔色なんて解る物なのかな


今迄、見破られた事なんて無いのに


だけど、それっていつも見てくれているって事なのかな



「はい、終わったよ、良く温まってね、最後でごめんね、古木さん」


「あにゅね、はい」


「何言っているか解らないよ、座って、座って」


「ふぁい」


「古木さんもごめんね」


「良いんだよ、気にしなくて」


「そう...だけどありがとう」


「きゃっ黒木様、、駄目、駄目駄目、そこは許して...」


「はい、もう終わったよ」


「それじゃ、どうもありがとう...僕は恥ずかしいから先にあがりますね。」






「参りましたね...白金、まさか気づかれたのですかね」


「気づいてはないでしょう...だけど、私達の表情から、何かあったか察したみたいですよ」


「それっていつも見てくれているって事ですわよ」


「参ったな、プロの暗殺者の私が顔色を読まれるなんて、、」


「だけど、貴子さま...鼻血出しながら言われても威厳無いですよ」


「あのサービスじゃ仕方ないでしょう、お風呂よお風呂、あんな事どんな男がしてくれるっていうの、ねぇねぇ、あんな事されたら、何だってしたくなるじゃない、あんなお礼なんて...代わりに何を上げたらよいか見当もつきません」


「そんな事言われたら私だって一緒です、もう黒木様に言われたら...上場企業の100や1000喜んで潰しちゃいます」


「それは私も一緒ですよ...油田でも何でも欲しがるならだまし取って捧げちゃいます」


「あれは、凄い、あれをしてくれるなら、直ぐに独裁者だろうが何だろうが...殺してきちゃうよ」


知らないうちに黒木は世界の中心になりつつあった。



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