第61話 小さな挑戦者

今日、僕は珍しく1人で帰っている。


いつもの様に待ち合わせて帰ろうと思ったのだが、今日は忙しいらしい。


公園の前を通ると後ろ姿が可愛い女の子が突き飛ばされて転んでいた。


あれは悪質なナンパ方法だ、歩美ちゃんが以前やられていた奴だ。


僕は様子を見ていた。


あそこで、男性が顔をみて好みなら、そのまま告白に入るのだろう。


あれっ可笑しいな...顔も確かめずに立ち去った。


という事は...ナンパで無く...暴力?


あんな小さい子に...男を追いかけるか?


いや、それよりも女の子だ、、、起き上がって来ない。


怪我しているのかな...やばい、助けなきゃ。


「大丈夫ですか?」


「痛いよー、大丈夫じゃないかも?」


やっぱり近くで見るとかなり小柄だ。


どう見ても小学生にしか見えない。


僕は手を貸す事にした。


「はい」


僕は彼女に手を貸して起こしてあげた。


「ありがとう、お兄ちゃん」


気持ち悪い。怖い怖い怖い怖い


ここまで悪寒が走るのは南条麗華の時位だ。


こんな醜悪な化け物に触っていたくは無い。


だけど、小さな子供が怪我しているのも事実だ。


僕の中で良心と恐怖が戦う。


勝ったのは良心だった。


「だけど、本当に大丈夫?、大丈夫でも無いか、、足怪我しているね、、立てる?」


「えっ、、ごめんなさい、立てないみたいです」


うっ、仕方ないか。


血が出ている足に持っていたタオルを巻いてあげる。


そして僕は彼女に背中を貸す事にした。


何故、おんぶにしたかと言うと顔が見えないからだ。


脳内変換


これは歩美ちゃんみたいな女の子 歩美ちゃん、歩美ちゃん


美優ちゃん、美優ちゃん、奈々子ちゃん


僕は少しでも早く大通りに行こうと走った。


彼女と少しでも早く別れたい...だから、躓いてしまった。


「大丈夫なの、お兄ちゃん」


正直、足が痛い、、だけど、それ処じゃない。


「だい大丈夫だよ」


「でも足痛そうだよ?」


「気にしないで」


僕は足の痛いのを気にしないで彼女をおぶった。


外見はともかく、良い子なんだな。


僕からここまで醜く見えるんだから、凄く可愛い子なんだろう。


僕は足が痛いのを我慢して大通りまで歩いた。


そしてタクシーを呼んだ。


「えーと」


「私は 絵夢です、お兄ちゃん」


「じゃぁ 絵夢ちゃんどうする、病院と家とどっちが良い?」


「じゃあ 病院でお願いします」


「それじゃ、運転手さん病院まで」


僕は1万円札2枚を取り出した。


「じゃぁ絵夢ちゃん、これで病院代を払うんだよ」


「待って、お兄ちゃんは?」


「ごめんね、これから予定があるから、、じゃあね」


本当にごめんね、僕は薄情だと思う。


だけど、僕は耐えられないんだ。


彼女を見送った後、、僕は盛大に吐いた。


自分ながらよく頑張ったと思う。


だけど、彼女には罪はない、まして子供が怪我しているんだ人間として助けないのはおかしい。


黒木は、震える体と頭痛を我慢して足を引き摺りながら、タクシーを呼んだ。


その黒木の姿を小さな二つの目が見つめていた。


そして、これから更なる恐怖が黒木を襲う、その事をまだ黒木は知らない。





【絵夢サイド】



私は黒木翔を見張っている。


彼の周りはいつも不細工な女で固まっている。


そのままストレートにいっても邪魔されるだけだ、


だから、ひたすら見張っていた。


運よく、見張り続けて3日間ようやく黒木翔が一人になる瞬間に立ち会えた。


私は、一緒に見張って貰っていた、お兄ちゃんの1人に彼に見えるように突き飛ばして貰った。


はっきりいうよ、女の魅力はロリに尽きる。


だって、男は大きな胸やお尻が嫌いなんだからね。


しかも、どんな男でも妹には優しい。


麗華が男と割り勘にする事が出来るのを自慢しているけど、、私は奢って貰っているからね。


最も、上限300円位だけど...だけど他に奢って貰っている女なんかいないんだから間違いなく勝ち組だよ。


しかし、痛いなぁあの馬鹿、突き飛ばせっていっても限度があるよ。


本当に使えないな。


あっ近づいてきた。


「大丈夫ですか?」


うん、凄く美形だね。


ここまでカッコよい人は見た事がない。


「痛いよー、大丈夫じゃないかも?」


甘えた声を出した。


ほら、もう彼は私に夢中だ。


これ程の男性が手に入るなら他の男は要らないかな。


「はい」


ほらね手を貸してくれる。


皆んなロリには優しいいんだよ。


最も、本当の私は24歳、だけど何故か歳をとらないんだよ。


不思議な事に...女からは馬鹿にされるけど...男には受けがいいから充分。


「ありがとう、お兄ちゃん」


とびっきりの笑顔をあげるわ...たまらないでしょう?


ついでに立ち上がる時にパンツも見せてあげる...ここまでサービスなんて滅多にしないわ。


流石に硬直しちゃった?


そりゃそうか、いつも貴方の傍にいるパチモンじゃなく、本物美形幼女が居るんだからそうなるよね。


やはり、ロリは正義だ。


「だけど、本当に大丈夫?、大丈夫でも無いか、足怪我しているね、、立てる?」


「えっ...ごめんなさい、立てないみたいです」


この人、凄く優しいな。


嘘っ...足にタオルを巻いてくれるの。


えっ、背中をむけてきたよ。


まさか、これはおんぶしてくれるっていうの?


私、これからおんぶされちゃうの?


本当におんぶしてくれた。


この黒木、いやお兄ちゃん優しいな。


さっきからブツブツ言っているけど...本当にこのお兄ちゃん優しい。


流石におんぶまでしてくれる男はいないな。


そんなに急いだら危ないよ...ほら転んだ。


「大丈夫なの、お兄ちゃん」


足、挫いたよね、凄く腫れて痛そうだよ?


正直私に身長と体力があったら逆におんぶしてあげなきゃいけない位だ。


「だい大丈夫だよ」


無理して笑っているよね、何でそんなに優しいの。


「でも足痛そうだよ?」


ほら、顔も青いし冷や汗まで書いているじゃない。


「気にしないで」


本当に...素敵な人だな。


足だって痛いのに、さっきから引きずっているよ。


凄いね...こんな事されたら...他の男なんて見えなくなるよ。


絵夢には30人近いお兄ちゃんがいるけど...多分こんな事しない。


あんな怪我した足で本当に大通りまで絵夢をおぶって、うん、、本当に凄い。


この人の事を皆んな外見で見てたけど、、この人の本当の凄さはこの内面だと思うよ。


さっきから青い顔して、辛いんでしょう?


足、痛いんでしょう?


なんで、なんで、そこまで見知らぬ女の子に出来るの?


黒木さんは一生懸命タクシーを探してくれている。


尊敬しかない


この人は麗華や私とは違うパチモンじゃないよ。


大した怪我でもないのに心配かけて、本当に悪い事したな。


ようやくタクシーが見つかった。


黒木さんが名前を聞いてきた。


「私は 絵夢です、お兄ちゃん」


元気に答えた。


「じゃぁ 絵夢ちゃんどうする、病院と家とどっちが良い?」


正直、病院に行く程じゃ無いんだけどな、、ごめんね。


「じゃあ 病院でお願いします」


私には帰る家は無い...だから病院になる。


「それじゃ、運転手さん病院まで」


「じゃぁ絵夢ちゃん、これで病院代を払うんだよ」


何で、何で、何で、何で、、黒木さんがお金渡すの....


しかも2万円も...こんな金額...男が女にくれる金額じゃないよ。



「待って、お兄ちゃんは?」


「ごめんね、これから予定があるから...じゃあね」


予定なんか無いよね...多分体が限界なんだ。


無理しちゃって...本当に。


私はタクシーに乗って角を曲がるとタクシーを降りた。


案の序、黒木さんはタクシーを探していた。


うん、無理しちゃって...


私は外見はロリかも知れないが実年齢は24歳なんだ。


無理して頑張る男の子は大好きだよ。


こんな人は他には居ないな...


これはもう、麗華会なんて構っていられない...本当に好きになっちゃったから。


「もう、他のお兄ちゃんはいらないな...だって本当に好きなお兄ちゃんが出来たから、、逃がさないわよ黒木さん」


優しが自分を追い詰めてしまった事を黒木は知らない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る