第59話 真実の愛とは

僕は今迄で最大のピンチを迎えている。


それは、必ずと言っていい程、1日1回以上...恐怖の化け物に会うからだ。


そして、その化け物は他の人から見ると、世界一の美少女に見えるのだ。


南条麗華...最低最悪の化け物に出くわす。


僕に何か構わなくても良いんじゃないかな...世界一何でしょう...アメリカかヨーロッパに行ってくれないかな?


日本から居なくならないかな。


僕は朝起きるとまず、ゼロに手を合わせる。


この世界の神様は...僕から見たら醜いまるで南条麗華のように...


だから、もし存在したら


「世界一の美少女と友達になれるチャンスを貰えて幸せでしょうに」


とか言いそうだ。


そして、僕にとっての生神様の貴子さんに手を合わせる。


そして、それから四人と一緒に登校だ。


「「「「おはよう黒木くん(君)(様)」」」」


「おはよう」


その後、東吾くんと合流する。


東吾くんは最初、この登校には参加していなかった。


だが、南条麗華が待ち伏せしているのを知ると現金な物で合流するようになった。


此処までが僕の楽しい時間...ここからが...恐怖に何時出会うか解らない時間。


家を出て学校までの一本道...必ず彼奴は顔をだす。


今日は電柱の裏に居た。


別に何かしてくるわけではない、だから文句も言えない。


ただ、穏やかに...僕の世界を凍り付かすような恐ろしい笑顔で微笑むだけだ。


頼むから、僕の視界から消えてくれないか。


本当にそう思う。


「翔くん、ほらあそこ南条麗華が君を見て微笑んでいるよ」


「東吾くん、僕にはもう好きな人が居るから、、彼女を見ても何とも思わないよ」


「翔くん、君は沢山の人と付き合っているんだ、南条さんを加えても良いんじゃないか」


「東吾くん、こそ、南条さんが好きなんじゃないか」


僕にとって、究極の化け物なんだから、東吾くんにとっては究極の美少女なんだろうな。


「な、南条さんを嫌いな男なんてこの世に居ないだろう? 彼女は世界で一番綺麗な人だ」


ここに居るよ...世界で一番...南条さんを嫌いな人間が。


「だったら、東吾くんが付き合えば良いんだよ」


「出来るなら、している」


「そう、だったら僕が橋渡しするよ」


「ちょっと、翔くん何をするんだい」


僕は東吾くんの手を引くとそのまま南条麗華の方に向かう。


これから僕は人として最低の事をする。


だけど...本当に怖いんだ...だから先に謝っておく...ゴメン。


「南条さんだよね?」


気持ち悪い笑顔が更に気持ち悪くなる。


多分、喜んでいるのかも知れない。


「そうですよ」


「僕の友達の東吾くんが君の事を好きなんだって...だから付き合ってくれるかな」


「あの、私の好きなのは...黒木君なんだよ...」


心が痛い...酷い事しているのは解っているよ。


前の世界の僕は人に拒絶されっぱなしだったから...君がせめて人間に見えるなら友達にはなれたかも。


だけど、僕の目には君は化け物にしか見えないんだ。


「僕にはもう将来を誓った彼女が居るんだ...だから、南条さんの入り込む隙は無いんだ...ごめんね」


最低だよ僕は、自分が何回も言われて心が傷ついた事を君に言うんだ、、恨んでくれてい良いよ。


そして、もう二度と僕の前に現れないでくれ。


「そうですか...その将来を誓った彼女と言うのは、その周りの醜い人達ですか?」


「君にはそう見えるかもね...僕には彼女達こそが美しく見えるんだ」


本当にそう見えるんだよ...僕には。


「嘘ですね...男なら絶対に私みたいな美少女を好きになるに決まってます」


「そんな事ない...僕は彼女達を愛しています」


「嘘です、そんなにブサイクで醜い女...好きになる人いる訳ないじゃないですか」


良かった。君が心まで美少女じゃなくて、もし君が心まで美少女だったら、僕は罪悪感に苛まされただろう。


君が自分の外見に自信を持ち、他人を貶す性格で良かった。


君は前世で僕を傷つけた人間...この世界では東吾くんや白百合さん達を傷つけるような人間。


つまり、敵だ。


「ここに居ます。僕にとっては白百合さん達は君なんか敵わない、いや君よりも何百倍も綺麗で可愛い人達だから...君は綺麗で可愛いんでしょう? だったら彼女持ちの僕なんかじゃなく、君を好きになってくれる人と付き合えばい良いんじゃないの?」


「黒木さん程...カッコよくて素敵な人なんて居ないじゃないですか」


「あのさぁ...何でそんな事言うのかな、君を愛してくれた人に失礼じゃないかな」


「何で...そんな事...好きでも無い人に好かれても嬉しくない...迷惑なんですよ」


「僕はそういう人は好きになれません、はっきり言います...僕は愛するより愛されたいんです」


「黒木さん程の人なら...誰だって愛します、それこそ私だって」


「じゃぁ、僕の顔が、君がさっき拒んだ東吾くんの顔だったら愛してくれたのですか?」


「....」


「もし、僕が事故でこの顔を失ったら...嫌いになるんじゃないですか」


「それは黒木さんだって同じじゃないですか?」


「そうかも知れませんね...だけど、彼女達ならそれでも傍にいてくれると思いますよ」


こんな不細工な女なら、男なら傷物でも離れないに決まっている。


「そうですか...なら黒木さんはその不細工な女たちが好きなんですよね...だったらキス位できますよね」


これは黒木さんじゃ無くても出来ないわ。男が人前でキスなんてしない。


同じ曲面で私がして欲しいって言ってもしてくれる男は少ない。


世界一の美少女の私でも難しい事をこんな不細工な女にする人がいるわけないわ。



「ごめんね白百合さん」


僕は白百合さんの唇にキスをした。


「チュッ」


「これで良い?」


嘘、あの醜い女にキスなんて、、


「黒木様、白百合さんだけなんてズルいですわ」


「歩美もして欲しいかな」


「私にはないのか」


僕は全員にキスをした。


「男、男がキスをするなんて...」


「これで解ってくれたかな」


「あの、聞いていいですか?」


「何を聞きたいの?」


「何で、そんなに彼女達に優しく出来るのですか?」


女にこんなに優しい男は他には見た事がない。


自分ならまだしもこんな化け物みたいな女なのに。


「彼女達は僕に全てをくれるから、だから僕は彼女達に全てをあげるんです」


「だったら、私が全てを捧げるなら、黒木さんも全てを捧げてくれるんですか」


「貴方には無理ですね」


「そんな事ありません」


「だったら、その美しさを捨てれますか? 世界一綺麗だと言われるその美貌を捨てられますか?」


「...」


「だから、貴方には僕たちのよう恋愛は無理なんです」


「解りましたわ...今の私は悔しいけど、中身まで美少女でないようです...何時か又、貴方の言う本当の愛を手に入れた時に又来ます...それじゃ失礼します」




怖かった。


本当に怖かった。


これで、多分大丈夫だよね。


あれっ最後に又来るって....終わって無いのか?



【彼女達の気持ち】


「私くしは自己嫌悪になりましたわ」


「そうだよね」


「うん、歩美も同じかな」


「私もだ」


「本当にそうだよね、あんなに愛して貰っていたのに黒木くんの事を疑ってしまったんだもの」


「仕方ないと思いますわ、白百合さん、相手はあの南条麗華なんですから、、好きにならない黒木様が凄いだけですわ」


「歩美もそう思うよ、最初に目を合わせた時、お兄ちゃん気絶した位なんだから、恋に落ちたと思っても仕方ないよ」


「そうだよ仕方ないさ」


「だけど、南条麗華に言った言葉...嬉しさで思わず泣きそうになったよ」


「うん、歩美驚いたよ、もう南条麗華を見ても何とも思わないよとか絶対に普通の男は言えないよね」


「そうだな、南条を加えると言う東吾の話も一蹴だもんな、東吾は後で...まぁ今回は良いか」


「歩美は感動が止まらなかったよ...だって、あんなに好きだとか愛しているなんて言われた事ないもん」


「それは私だって一緒だよ、、いきなりキスだよ、、あんな情熱的な事絶対に他の人はしてくれない」


「本当に黒木様って人は...私くしたちを愛してくれていますわね...だって全てを捧げている...なんて言われたら...だれだって嬉しいに決まってますわ」


「あの、そこで考えて貰いたいの?」


「何をかな?」



お弁当は手作りで用意


宝石を貰って一生傍にいるって告白


合鍵


部屋


その全てを黒木くんが用意。


「あのさぁ...これってどう考えても言っていた通り、全てを捧げられていないかな」


「歩美も...今考えて見たんだけど、これってもう結婚以上だよね」


「本当にそう思うな...よく考えたら...ヒモみたいだな」


「そうですわね、私達尽くしてもらってばかりで何もしてませんわ...気持ちで良いなら...もう全て捧げていますけど」


「そうだな」


「だから、私達も何かサプライズしない?」


「サプライズ...良いですわね...それで何をしますの」


「思いつかない...」


「並大抵の物じゃ無理ですわ...必要な物はご自身で用意するか、もしくは貴子さまがあげてしまってますもの」


「北條家の三人はある意味、何でもあげれるから比べちゃだめだよ」


結局、何も思いつかず、黒木に欲しい物が無いか聞く事にした。


結果、黒木が欲しがったのはお願い券だった。


券1枚で一つお願いを聞いて貰える...そういう良く子供が親にあげる券。


彼女達は後で考えてみた。


よく考えたら、黒木くんに頼まれたら、断る事は無い。


そう考えたら何もあげていない...


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