第58話 究極美少女現る

私の名前は南条麗華。


世間では、美しすぎる美少女と言われている。


美が二つあるのは間違いじゃないわ。


美少女を超えた美少女って事なの。


私くらい美しいと男女比なんて関係ないの。


ようく考えてみて、どんなに女が多くてもその中で一番なら関係ないと思わない。


つまり完璧美少女の私には関係ないの。


他の女の子は男に沢山貢ぐけど、私位になるとご飯奢るくらいで大体の男は付き合ってくれるわ。


しかも2回に一度は割り勘にして貰えるのよ。


本当に美少女すぎてごめんなさい。


ちなみにどれくらい凄いかというと国民的な美少女コンテストで5年連続優勝中なのよ。


多分私より綺麗な美少女は居ないわ。


私には美少女仲間がいるの。


その仲間の一人が湯浅萌子とかいう、そこそこ可愛い子。


学園ではクイーンとか呼ばれているけど大したことないわ。


私に比べたらね...まぁ普通に美少女ではあるのだけど...


私たちは美少年の情報を共有するなかなのに...いきなりもう情報は要らないっていうのよ。


おかしいわよね...だから調べたの...


そうしたら、黒木翔様に行き着いたの。


正直驚いたわ、だって私と釣り合う位に綺麗な美少年なんだもの。


どうやら萌子は振られたみたいね。


貴方位の美少女じゃ無理よ。


私みたいな究極美少女じゃなきゃ無理よ。


黒木様、今から麗華が行きますから待っていて下さいね。





黒木様の住所は調べたわ。


凄いわね、こんな豪邸に住んでいるなんて、流石、この南条麗華が認めただけの事はあるわ。


さてと、私はその先の路地で待ち伏せでもしようかしら。


なんか不気味なメイドがこっちを睨んでいるから、まぁあんなに不細工なら私が羨ましくて仕方ないと思うけど....


声を掛けるのかって...掛けないわ。


だって、私は究極の美少女だもの。


そんなことしなくても、男なら直ぐに声を掛けてくるわ。


私はただ、彼の視界に入ればいいの、それだけで彼はメロメロになるんだから。


そこ等辺の美少女じゃないのよ、美しすぎる美少女なのだから。


ほら、早速、黒木様がきたわ...さぁ私の虜になりなさい。


ほら、この私から...見つめてあげるわ...ほらね、凍り付いた様に動けなくなったでしょう。


皆んなと同じ反応。


当たり前か、世界一の美少女が見つめているんだもん、、釘付けになるわよね。


この視線が欲しくて沢山の男が、割り勘で良いから一緒に食事してって来るの。


だけど、黒木様なら割り勘なんてしないで奢ってあげるわ...貴方は特別。


この世で唯一私と釣り合う男だもん。


あらっ目を反らしちゃった。


案外、初心なのね。


近くのブスなんか見ちゃって、どうしたの?


そうか、私程の美少女に見つめられた事が無いから動揺しているのね。


仕方ないわね...今日はこの位でいいわ。


もう、黒木様は私の虜...時間は沢山あるんだし...また今度でいいわ。


見つめただけで、こんなに喜ぶなんて、私は黒木様なら、手だって繋いであげるし、ハグだってしてあげる。望むならそれ以上の...女が言う事じゃないわね。


あれっ、私は男にこんな感情を抱いた事はないわ...なんで私がハグ...なんて考えているの?


その先って...


あっ...もしかして...好きになっちゃったのかな...



「凄い、南条麗華だ...実物初めてみた...あぁあ歩美もあんな風に美人さんに生れたかったよ」


「流石に麗華ですわね、凛としてお綺麗ですわ」


「流石に、美しすぎる美少女...綺麗だ」



怖い怖い怖い怖い...怖すぎる。


見た瞬間から、体が生きるのを拒絶したくなる。


顔を見た瞬間に、今迄生きてきて楽しかった事が全て無くなったような喪失感が起きた。


楽しかった思い出なんて一瞬で忘れてそれを何倍も上回る苦痛が押し寄せる。


多分、これが物理的に無理って事なんだと思う。


さっきから吐き気と頭痛、悪寒と震えが止まらない。


「流石の黒木くんも麗華には夢中になるのかな」


違う...恐怖で硬直しているんだ。


そうだ、白百合さん。


僕は、白百合さんの肩を掴むと白百合さんを見つめた。



嘘、辞めて...あんなに綺麗な麗華と私を比べないで...辞めて。


「うん、白百合さんはすごく可愛いいね」


あれっもしかして黒木くんの中じゃ私の方が上なのかな...まさかね。


「あの、黒木くん、嬉しいけどあんまり見つめられると照れちゃううよ」


「ごめんね、白百合さんもう暫くこのままで居させて...お願い」


「うん、良いよ」




「歩美の前で二人の世界を作らないで欲しいかな」


「しかし、南条麗華は凄くお綺麗ですわね、、私くしもああいう姿で生れたかったですわ」


何を言っているの金剛さん。


あれ...本物の化け物だよ。


映画でもテレビでもあれ以上の化け物見た事ない。


夢に入る縞々服の殺人鬼や湖によく出る怪物よりも怖いよあれ。


本気で...


「なんで、そんな事、言うの金剛さん、僕は今のままの金剛さんが好きだよ...だから今のままでいて」


「そそそそうなんですの、なら私は何時までも今のままでいますわよ...この醜い顔も黒木様に愛されるなら嬉しいですわね」


「金剛さんは綺麗だよ...凄くね」


「黒木様、、里香は里香は...幸せです」


「今度は金剛さんと世界作っている...」


ようやく居なくなってくれた。



おぇゲロゲロゲロゲロ、...僕は吐いた。


あれ、意識も遠くなっていく...嘘...僕はもう駄目かも知れない。




「うん、知っている天井だ」


「黒木様、大丈夫ですか、、体調が悪かったのなら言ってくださればよいのに」


「もう大丈夫だよ、心配かけてごめんね」


「良かった、目を覚ましたんだ」


東条さんの制服、ゲロまみれだ。


それでもおぶってきてくれたんだ。


「東条さん、ごめんね、制服汚しちゃって」


「気にしなくていいよ...役得もあったから」


「東条さん、それはセクハラになると思う」


「歩美もそう思うな、、でも背が高いと羨ましいな、歩美も背が高かったらお兄ちゃんをおんぶできたのに」


おんぶをするという事は男の尻が触れる、さらに背中に男の胸を感じられる。


例え、ゲロまみれでもこの世界では役得だ。


所で、さっきこっちを見てきた女性誰。


皆んな知っているようだったけど...


「さっきいた女性だけど一体誰」


「知らないのですか、黒木くん」


「じゃぁ歩美が教えてあげる」


良かった、ああいうのが沢山いる訳じゃないんだ。


あれが山ほどいたら、僕は家から出ない、引きこもりになる。


多分、あれが東吾くんにとっての貴子さんたちの姿なのかも知れない。


うん、馬鹿にして悪かった。


本当に良かった...世界一の美少女ね...うんだからあれなんだ。


最近は学校の女子もどうにか見れるようになれてきた。


恋愛対象には絶対にならないけど...


ハロウィンだと思えば...友情位は育めるかも知れない。


だけど、あれは...恐ろしい。


多分、長く一緒に居たら、、死にたくなる。


だけど、もう会う事も無いだろう。


世界一の美少女が僕に構う事は無いと思うから。


だが、黒木は知らない。


真の恐怖はこれから始まるという事を。



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