第50話 ゲーム作り

海で楽しく遊んだ後、僕は貴子さんに呼び出されていた。


貴子さんの寝間着はパジャマでは無く、薄いネグリジェだった。


うん、目のやり場に困る。


「黒木君、これから玲奈と美優も来るからちょっと待っててね」


「はい、所で何のお話しですか?」


「この間、やったゲームあるでしょう?」


「確か、「婚活女子、人生は奪った者勝ち、、奪っちまえばこっちの物」でしたっけ」


「そうそれなんだけど、実は欠点がこの間ので解かったから黒木君に協力して貰えないかなと思ってね」


「欠点ですか?」


「そう、欠点」


「それはなんだったんですか?」


「それはね...読み手の男がいない事よ」


「確かに、あれは男の読み手がいないと成立しませんね」


「それでね、黒木君...声優をやってくれない」


「声優ですか?」


「可能なら、写真付きでお願いしたいんだけど」


「それって声優って言うのかな? 出来たら写真無しの方が嬉しいんだけど 写真無しじゃ駄目ですか?」


「まぁ、それでも大丈夫だわ」


「なら、引き受けます」


「ありがとう、報酬は売り上げの5%でどうかな?」


「充分です、本当に良いんですか?そんなに貰って」


「えぇ、、勿論よ」


「それで、その仕事は何時からすればいいんですか?」


「今から大丈夫かな、協力者として玲奈と美優も呼んであるからもうすぐ来ると思うの」


「お母さん何か用? 美優これから寝ようと思っていたんだけど」


「だったら寝てても良いわよ...残念黒木君がいるのに...じゃぁ美優お休みなさい」


「美優全然眠くないよ、うん眠れなくて困っていたの」


「そう、それなら良かったわ」


「母さん、用って何?」


「少し、玲奈に手伝って貰いたい事があるんだけど」


「もう、夜中だよ、明日じゃダメなのか?」


「だったらいいわよ、他あたるから...せっかく黒木君が居るのにな」


「それを早く言ってよ...大丈夫さ...うん」


あれれ、何で2人が必要なのかな。


ただの録音なら僕1人で充分なハズなのに。


僕は貴子さん達、三人についていった。


そしてその先には、、収録室があった。


本当に北條って凄いな...何でもある。


「ここは、趣味で私達が歌を歌うスペースです、まぁカラオケ室みたいな物ですね」


「その割には凄い機材ですね、何だか高そうな機械も沢山ありますね」


「テレビ局に比べたら大した事ありませんわ」


普通はテレビ局と比べないよね、、流石、北條家としか言えない。


「ところで貴子さん、なんで玲奈さんと美優ちゃんが猿轡をされているんですか?」


「彼女達は黒木君の相手役兼モニターです」


「つまり、黒木君には彼女達に順番にカードの内容を読んでいって貰います」


「カードを読むだけで良いんですね」


「はい、ただそこに相手がいると思って話して下さい、その為に二人には来てもらいました」


「成程、その方が雰囲気が出ますね」


「ええ」


最も良いカードはかなり抜いているんですが、、


「だけど、猿轡は可愛そうな気がするんですが」


「これは収録です、余計な音が入ると不味いんです」


「それじゃ仕方ないかな」


僕は2人相手に交互になる様にカードを読んでいった。


「君の事を愛している、もう離さない」


「お前なんか生きている価値はない死んでくれるか?」


「僕は君無しじゃ生きていけない、ずっと傍に居てくれ」


「お前みたいな汚い女見たこと無い...消えろ」


玲奈さんや美優ちゃんは、赤くなったり、青くなったり凄く忙しい。


だけど...可愛いな...本当に好かれているのが解る。


だって、これはあくまでカードを読んでいるだけなのに、凄く嬉しそうな表情になったり、凄く悲しそうな表情になったりするんだから。


だから僕は、失恋カードの時には弱めに、恋愛カードの時には心を込めて読み上げた。


すると、どうだろう恋愛カードを読み上げる時の顔の表情が、まるで蕩けるような顔に二人ともなった。


そして残りのカードは2枚。


まずは玲奈さんのカードから


「世界で1番君を愛しています、、死ぬまで、いや、死んでからも一緒に居て下さい」


そして僕は玲奈さんの猿轡にキスをした。


うん、直接唇にはしてないから...恋人のキスではないよね、、、


次は美優ちゃんのカード


「いつまでも一緒に居ようね、君は僕の天使だから」


今度も同じく猿轡にキスした。


2人が喜んでくれると思ったんだけど、、、2人とも気絶してしまった。


「玲奈さん、美優ちゃん」


「大丈夫でしょう...2人とも気絶しただけだから」


あんなに感情が高ぶっているのにキスされたら、、気絶位すると思いますよ。


だけど、そんなに優しい事をする男性は、、多分貴方しかいないと思いますけどね。


「さぁ、残り4枚は私相手にお願いします」


「貴方が、世界で一番好きなんだ、、結婚して下さい」


「貴方の為に、おししいご飯毎日作るよ、、だから夫にしてくれる?」


「結婚してくれるよな? もう式場は予約したんだ、、俺に恥をかかせるな」


「結婚しようか?」


あれっこれって全部、結婚絡みのカードじゃない。


「母さん、結婚絡みのカードが出ないと思ったら、先に抜いていたんだね」


「お母さん...ずるい...美優もプロポーズされたかったのに」


「これは発案者の特権です...呼んであげたのは誰かしら? 独り占めも出来たのよ?」


「「そうですね」」


死んだ目で貴子さんを見ている。


うん、確かにずるい...と思う。


「黒木君...このデータを媒体に焼いてゲームにつけてランダムに聞こえるようにするからね、、小百合と話してすぐに商品化するから...印税楽しみにしてね」


「「これは女なら絶対に買うね」」


「そうかな」



声優って儲かるんだね...この世界限定


ゲームの音声作成の日から2か月がたった。


何気に、通帳の記入をしたら、300億の金額が通帳に振り込まれていた。


振り込み人を見て見たら...北條カンパニーと書いてある。


うん、貴子さんしか考えられない。


僕は、今日は学校を休んで、、北條邸に向かった。


いつ見ても凄いとしか思えない。


門が開いてそのまま進む園崎さんが僕を迎えてくれた。


いつ見ても綺麗なメイドさんだ。


「黒木様、奥様がお待ちです」


「来ると思っておりましたわ、、黒木君」


「酷いですよ、黒木さん、私とは全然会ってくれないのに貴子とは、何回も会っているなんて」


「すいません、小百合さんは問題ないんですが、メイドさんがちょっと」


「あの子達が粗相をしたのですか?」


「そうでは無いんですが、グイグイ来られると」


「まぁ...それは...だったら外でなら会ってくれますか?」


「そうですね、外でなら...良いですよ」


「本当ね、、約束したわよ」


「おい、小百合、いい加減にしてくれ、先に仕事の話しをしよう」


「そうですわね、すっかり忘れていましたわ」


「あの、この300億って金額はなんでしょうか?」


「これね、あのゲームが1個6000円で1億個売れたから6000億円、その5%だから300億、約束通りの金額のハズですよ」


「そんなに売れたんですか? あのゲーム」


「ええ、ボードゲームだけでなく、テレビゲームも含んで歴代ナンバー1売り上げ更新中。しかも、生産が間に合わないから1億なのよ、まだまだこれから伸びるわよ」


「凄いですね」


それしか言えない。


これだけあれば、最悪引き籠りライフが送れる。


「社会ブームにもなっているらしいわ、不登校の子に 失恋カードの言葉を聞かせたら、直ぐに学校に行ったらしいわよ」


「そうね、高校からも沢山受注が来て、成績の良いクラスは 恋愛カードのCD版を流して、成績の悪いクラスに失恋カードのCDを掛けたら...顕著に差が出たらしいわ」


「そうなのよ、ボードよりも黒木君の声の入っているCDが凄く人気が出ているみたいね?」


「「次は彼氏が優しくて眠れない」というCDと「彼氏が冷たくて死にたくなる」その辺りを企画しているんだけど、どうかな?」


「もし、企画が決まったら言って下さい、出来るだけ協力しますから」


二時間で300億円、時給150億円...異常すぎる。


良いのかな、これ。


流石に、ニートは嫌だから、声優というのも良いのかも知れない。




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