第32話 全員とつきあい始めた。

今日の私は今迄とは違うのだよ。


何故なら、昨日、黒木君というそれは凄くカッコいいお兄ちゃんが出来たからだ。


最も、お兄ちゃんと言っても血は繋がっていない。


ただ、妹みたいに思って貰えているだけ。


だから、将来的には妹から恋人になってお嫁さんも夢では無いのだよ。


昨日までとは今日からは違う。


その為には...白百合京子と仲良くならなくちゃいけない。


黒木君と白百合京子の仲は有名だから。


まずは、2人の妹分になって、頑張って第二彼女を目指す。


そんなところからスタートしなくてはならないかな。


同い年だけど、仕方ない。


話せる時間はある程度あった方が良い。


なら、突撃するのは昼休み。


一応、美味しそうなお弁当は買って来た。


昨日、お母さんに言ったら、いそいそとデパートまで行って買ってきてくれた。


お昼になった。


さぁ突撃なのだ。


あれっ? 白百合京子以外にも二人いる。


ふーん、そうか、やっぱり女の友情なんて紙よりも薄いんだね。


「黒木君...貴方の妹 歩美ちゃんが遊びに来ましたよ」


二人は凄い形相でこちらを見てくる。


私は形式的に挨拶をした。


「あれっ金剛会長と東条副会長もこちらにいらしたんですか?」


そう、私は生徒会の書記なのだ。


「あれっ歩美ちゃんって二人の知り合いなの?」


まぁ、多分同じ生徒会だよね。


「「「歩美ちゃん」」」


嘘、黒木君が、苗字でなく下の名前で呼んでいる...嘘だ。


黒木様が...下の名前で呼ぶなんて...悪夢ですわ。


黒木君に下の名前で呼ばれるなんて...羨ましい。



「うん、歩美は生徒会で書記をしているんだよ」


「そうか、うんそれなら、知り合いでも可笑しくないか」


「うん、しかし金剛ちゃんも東条ちゃんも、最近構ってこないから可笑しいなと思っていたんだけど黒木君の所に来ていたんだね」


「もしかして、友達付き合いの邪魔していた? ごめんね」


「別にいいよ。だけど歩美も1人で寂しいから加わっても良い?」


僕は白百合さんの方を見た。


白百合さんはやれやれって顔をしている。


うん、多分OKっていう意味だ。


「歩美ちゃんなら大歓迎だよ」


「わーい、ありがとう、お兄ちゃん」


これ言われると弱いんだよな。


「お兄ちゃん? ちょっと西城さんどういう事なのですか?貴方と黒木様は同い年でしょう?」


「そうだぞ、西城...図々しくないか?」


「薄情な、金剛ちゃんも東条ちゃんも歩美知らない」


二人とも歩美の事なんかそっちのけで黒木君と遊んでいたんだ。


ふーん、でも私でも一緒だから責められないけど。


「歩美ちゃん、そんなこと言わないで皆んな仲良くしようよ」


「そうだね、お兄ちゃん」


「なんだか黒木様嬉しそうですわね、別に意地悪とかじゃなくて、詳しい事が知りたいだけなのですわ。教えてください」


「あっ 私も知りたいです」


僕は昨日あった事を話した。


「そんな事があったんだ」


「それで、妹みたいな喋り方をしているのですわね」


「うん、歩美が妹みたいな喋り方をしていると黒木君が喜ぶから」


「そうなんだ、確かに西城は子供っぽいからな」


「うん、東条ちゃんみたいに大きくないからね」


「私のどこが大きいんだ」


「背も大きいし、胸も大きいよね?」


この世界では背が高くて胸が大きいのはブサイクの象徴で男に嫌われる体型の代表である。


「西城...君は私に喧嘩を売っているのか?」


「黒木君...東条ちゃんが歩美をいじめるよ」


歩美ちゃんは僕の後ろに隠れた。


「案外、目ざといのかな?」


「西城さんはああ見えて結構腹黒いのですわよ、白百合さんも気を付けた方が良いですわよ」


「あれっ金剛ちゃん何か言った?」


「何も言って無いですわよ」


いつもの様にお弁当を食べ始める。


いつもと違うのは今日は5人だという事だけだ。


「ところでお兄ちゃん、三人とはどういう関係なのかな? 白百合ちゃんは彼女なのは解るけど?」


「白百合さんが第一彼女で金剛さんが第二彼女、東条さんとは友達?になるのかな」


「ふぇ、白百合ちゃんが第一彼女で金剛ちゃんが第二彼女か...もう既に2人も彼女が居るんだね」


「うん、そうだね」


「歩美も3人目の彼女になりたいかな?」


「ちょっと待った...3人目の彼女は私だ」


「東条ちゃんは別に彼女じゃないよね? だったら関係ないよね?」


「確かに私は彼女じゃないな? だけどお前も彼女じゃないだろう?」


「そうだけど...だから、今から告白するんじゃないかな? 少なくとも先に告白したのは歩美だよ?」


「わっ私だって告白したんだ」


「って事は、断られたの?東条ちゃん可哀想...」


「嫌、違う...勘違いされただけだ」


「白百合ちゃんは私が第三彼女じゃ嫌かな?」


「私は、黒木くん次第かな、前に黒木くんと話したんだけど、最低人数の5人を目途に家族みたいに付き合いたいって言うのが黒木君の理想だから、それを応援したいだけだよ...だけど、答えはもう決まっていると思うの」


「えっ、それって」


「黒木くんが西城さんを妹みたいって言ったんでしょう?だったら、それは家族にしたいって事だよね? そうじゃないかな黒木くん」


「そうだね、確かに西城さんなら付き合いたいと思う、東条さんもね」


「だって、西城さん...さぁ頑張って」


「あの、黒木君...その私を彼女にして下さい」


「あのさぁ、西城さんに聞いても良い?」


歩美ちゃんじゅなく西城さんって呼ぶのは真剣な話なのかな?


「何でも聞いて」


「勿論、彼女にはなって貰いたいけど、条件付きなんだけど良い?」


うわぁ付き合って貰えるんだ。


なら、どんな条件でも飲むよ?


当たり前じゃん。


「彼氏になってくれるなら何でもするよ? 黒木のお兄ちゃんの為なら何でもするよ?」


「恋人兼、妹になって下さい」


それで良いの?


そんな事なら嫌じゃないに決まっているよ。


「妹? 勿論良いけどどうして?」


「さっき、白百合さんが少しだけ話したけど、僕が本当に欲しいのは家族なんだ、勿論、血は繋がって無いけど恋人になってくれるなら、家族のように大切にしたい、他の男みたいに今だけとか飽きるまでとかじゃなくて、年寄りになって死ぬまで一緒にいたい、そう思うんだよ」


「本当に、本当なのそれ、嘘じゃないの?」


まずい、私死んじゃうのかな?


こんな幸せな事なんて絶対に起きない。


夢じゃないよね。


「うん」


「いいよ、歩美、黒木君の彼女になるよ、そして妹にもなるよ...これって黒木君の妹と彼女両方になれるって事で良いんだよね?」


「勿論」


「じゃぁ第三彼女は西城さんで決定だね...黒木くん」


「あの、黒木様...西城さんが妹兼、彼女って事は私くしはどうなるのですか?」


「金剛さんはお姉さん兼彼女かな...ほら、何となく生徒会長のお姉さんってカッコ良くない?」


「お姉さん兼彼女ですか? 凄く良いですわ、確かに歳も一つ年上ですわね」


「黒木君、私は、私は」


「白百合さんは...うーん恋人、奥さん...そんな感じ?」


「家族の役割が無いのは寂しいですが、奥さんは凄く良いですね」


「皆んな楽しそうだな...私を除け者にして」


物凄く暗い、魚の目の腐ったような目で東条さんが言い出した。


「貴方がいけないのですわ、さっさと告白しないから」


「告白はしたんだが...まぁ良い」


「あの、東条さん、私からのアドバイスですが、早くしっかり告白しないと駄目ですよ?」


「白百合さん...それはどういう事?」


「はぁ、何を聞いているんですの貴方わ。白百合さんの言いたい事は、黒木君は5人までしか付き合わないという事なのですわ。もう3人埋まってしまいましたので、後枠は2人しかないのですわ...貴方がヘタレだから...第三彼女は西城さんに盗られてしまいましたのに...本当に真剣みがありませんわね」


「そうだな...すまん黒木君、解りにくい告白で...剣道ではなくちゃんとした異性として付き合ってくだしゃい」


「せっかくのクールビューティーなのに噛んだのですわ」


「うるさい、金剛」


「うん、良いよ、だけどさっきの話で大丈夫? お姉さん兼彼女で」


「勿論、いいさ...ありがとう」


こうして僕たち5人は正式に付き合い始めた。

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