第26話 幸せ過ぎる日常

白百合さんと金剛さんの2人と正式に付き合うようになって数日ようやく僕の精神も安定してきた。


せっかく男女比1対10なんて本来は夢の様な世界なのにその殆どの女性が化け物にしか見えない。


気づかれては居ないと思うけど僕は白百合さんに依存していたんだと思う。


彼女以外の全てが化け物なんだ、だから必要以上に一緒に居たと思う。


白百合さんは喜んでくれていたから良いけど。


お昼休み、日課となったお弁当。


今日からは金剛さんが加わって3人で食べる。


2人を前にすると周りの化け物達が見えにくくなるのが凄く嬉しい。


「私は料理は不得手でして、だから仕出しを用意しましたわ」


「金剛さんって何でも出来そうなのに料理は苦手なんですか」


「まぁ人には得て不得手があるから、白百合さんみたいな本格的な料理は僕には作れないし」


「男で料理するだけでも凄い事ですわ、、男の手料理なんて私し昔におにぎりを食べた事しかありませんもの」


「もしかして金剛さん、あの1万円おにぎり食べにいったの?」


「1万円おにぎりってなに?」


「黒木君、知らないんだ、昔におにぎり専門店があって、そこの名物メニューが目の前で男がおにぎりを握ってくれるというサービスだったんだよ」


「まさか、そのおにぎりが1万円もしたの?」


「そうなのですわ、ただの塩おにぎりで1万円、具が入ったものは1万2千円しましたのよ」


「まさか金剛さん、お金出してそれ食べたの?」


「えぇ 母と私で3個づつ、具入りを食べましたわ」


「えーと、それって7万2千円 おにぎり6個で、払ったって言う事?」


「そうですわ、、白百合さんも食べたのではなくて」


「うちは予約をしたけど順番待っている間に閉店しちゃったから」


「そりゃそうだそんなもの...あれっ予約で一杯って事は黒字だよね」


「えぇ閉店理由が、飽きたからですわ」


「ねぇ、金剛さん、そんなにそのおにぎりは美味しかったの?」


「いえ、不味かったですわね...ただ男が作っただけで」


「そうなんだ」


「昨日、黒木様の手料理を食べた時に思わず嫉妬してしまいましたわ、白百合さんはいつもこんな物を食べていたなんて」


「金剛さん、今日からは貴方も同じ物をたべるんだよ。同じ思いで見られるから覚悟してね?」


「今日からは金剛さんが居るから少し多めに作ってきたよ、それから、金剛さんにお願いがあるんだけど」


「黒木様、何ですの?黒木様のお願いなら何でも聞きますわ」


「苦手で良いから金剛さんも良かったら手料理持ってきてくれない」


「私の手料理を食べて下さるのですか?」


「黒木君は本当に手料理が好きなんだよ」


「女の手料理を食べるなんて凄いですわね...だけど本当に私は不得手でして」


「それでも、金剛さんの手料理が食べたいな...例え焦がした卵焼きでも良いから作ってくれないかな?」


ここれなんのマンガなのですの。

今、白百合さんが言っていた意味が解りましてよ、確かに制汗剤とタオルが必要ですわね。


「黒木様が食べてくれるなら、頑張って作ってきましてやぁ」


「金剛さん噛んでいるよ...でも強烈でしょう?」


「強烈なんてものじゃききませんわよ、これ、殆どマンガやライトノベルの世界じゃありませんか」


「大げさだな二人とも」


相変わらずだな黒木君は。


失敗作でも良いから手料理が食べたいなんていう男は架空の世界しか居ないのに。


ほら、金剛さん、すごい顔になってる。


ここは絶対天国だと思いますわ。


そして、あーんを繰り返し食事は進んで行く。


最近は今迄と違い、周りに余り化け物はいない。


実際には居るけど距離がとられている。


同じ事をして欲しいと言われるのが嫌な男が、この場所での昼食を嫌がったからだ。


逆に1人で昼食をとっていた女はすこし距離をとって遠巻きに眺めている。


「そうだ、せっかく三人で付き合い始めたんだから写真を撮り直さない」


「いいね、黒木君撮ろう」


「へっ?」


黒木様はいきなり私と白百合さんの肩を抱き寄せると頬っぺたがくっつきそうなほど接近してきた。


そして、自分のスマホを取り出して写真を3枚撮った。


あっ、黒木様が離れてしまう。


「黒木君、今度は私の番」


「はい、こんな感じで良いかな?」


また顔がくっつく位、黒木様が接近してきた。そして両腕は私と白百合さんを抱きしめている。


「うん、これで大丈夫だよ」


今度は白百合さんがシャッターを切った。



ああ金剛さんフリーズしちゃた。


解るよ、これ普通じゃ絶対あり得ないもんね。


だけど、これが黒木君の日常だから、ドキドキが止まらなくなっちゃうでしょう?


一応、第一彼女だから助け船ださないとね。


「金剛さん、スマホ貸して」


「はい ふぇ」


フリーズしている金剛さんからスマホを受け取った。


「黒木君、今度は金剛さんの分」


「うん、こんな感じで良いかな」


「大丈夫だよ、、いくよはいチーズ」


私は同じ様に3枚写真を撮った。


「しし白百合さんこれこれはなんでしゅか」


「金剛さん、昔の私みたいに噛んでるよ?」


「噛みもしますわよ? あんなに黒木様が接近してくるんですもの」


「私も黒木君も、一緒に撮った写真をスマホの待ち受けにしてるの、だから金剛さんもどうかなと思って」


「スマホ?」


今気が付いたように金剛さんがスマホの写真を見た。


「黒木様の写真...勿論、私しも待ち受けにしますわよ...これって幾ら払えば良いんですの?」


「あの、金剛さん、そういう事言うと黒木君が不機嫌になるから」


「金剛さんも白百合さんも...その彼女でしょう? お金なんて取らないよ?」


そうでした、黒木様はそんな利己的な人では無いんでしたわ。


「そうでしたわね...ごめんなさい」


「でも、せっかくだから報奨を貰おうかな? 明日のお弁当に必ずハンバーグを作ってくること、それでどう」


「わかりましたわ、美味しいハンバーグを用意致しますわ」


「期待しているよ」


「はい」


「そう言えば、今日は金剛さんは忙しいの?」


「今日は生徒会の用事も無いから何もありませんわ」


「そう、じゃぁ校門で待っているから一緒に帰ろう」


「解りましたわ」


はぁ、白百合さんがいった意味がようやく解りましてよ。


これってまるでドラマの主人公になったような物ですわ。


これでもかって楽しい事の連続。


嬉しくて、嬉しくて心臓のドキドキが止まりませんわ。


汗は書きっぱなしですし、顔はこれでもかと赤くなりますわ。


私は汗は余り汗をかかない方ですがタオルは気が付いたらびっしょびしょ...


絞れてしまう程。


凄い、毎日ですわね。


つぎの休み時間も遊びにきますのよ、、驚きましたわ。


「金剛さん、遊びに来たよ」


そう白百合さんの声が聞こえたと思ったらその横に黒木様が...


ただ、お話しをしているだけで、クラスの皆んなが注目してますの。


白百合さんに聞いたら


「もう慣れました」


ですって、これって慣れるのかしら?


放課後、僕は白百合さんと金剛さんを待っていた。


金剛さんは僕と白百合が手を繋いでいるのをみると羨ましそうに見ていた。


反対側の手はカバンを持っているから手を繋げない。


金剛さんがちょっと寂しそうだ。


僕は白百合さんの手を離した。


「あっ」


白百合さんの顔が曇った。


「白百合さん、金剛さん、三人だと手が繋げないから、今日は腕を組んで帰らない?」


「う腕を組むんですか?」


白百合さんはオズオズと僕の腕に手を回した。


同じ様に金剛さんも手を回してきた。


うん、両手に花だ。


カバン側が金剛さんになるのは仕方ないだろう。


これ、なんなのかな?


こんな事して歩いている男女なんて見たこと無いよ?


黒木君の顔がすぐ横にあって...凄い。


手を繋ぐどころじゃないよ、これ、本当に黒木君は女の子を喜ばせる天才だね。


これはなんなのです。


こんな事している男女なんてドラマでも見た事ありませんわ。


黒木様のお顔がすぐ傍にあって、凄く幸せですわ。


さっき手を繋いでいるのを見て羨ましかったですが、、これはそれ以上ですわね。


「さぁ帰ろうか」


「「はい」」


「あの、2人とも前を見ないと転ぶよ」


「「転んでもよい(よ)(ですわ)」


仕方ないゆっくり歩こう。


今迄、以上に周りの目が集まっている。


露骨に立ち止まって見ている化け物。


あそこの男女のペアは財布ごとお金を男に出した。


あれっそれでも断るの?


2人は真っ赤な顔で必死に僕の腕を抱え込んでいる。


うん、可愛いから良いんだけどね。


そうこう歩いているうちに金剛さんと別れる交差点についた。


「それじゃ、金剛さん又明日」


「はい、、黒木様又明日...そうだ、思い出しましたわ、実は私二人にお願いがありましたの」


「お願いって何?」


「あの、嫌じゃ無かったら今度、剣道の応援に付き合って欲しいんですの」


「白百合さんはどうする?」


「私はスポーツ観戦って嫌いじゃないから黒木君が決めて良いよ?」


「そう、所で応援相手って誰ですか?」


「一応生徒会で副会長をやっている、東条さんなんだけど、、嫌われ者だから応援する人が居ないのですわ」


「東条さんって歓迎会の時に金剛さんの周りに居た人」


「そうですわ、右にいたと思いますわ」


それなら、あの時にちゃんと人に見えた人の可能性が高いな。


「解った、僕で良いなら応援に行かせて貰うよ、その大会って何時?」


「次の土曜日ですわ」


再び腕を組んで歩いていく二人を見て羨ましかった。


何で、私の家はここから反対方向なのですの。


多分、東条さん死ぬほど驚きますわね。


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