第25話 二人目の彼女
最近の黒木君は放課後、私と帰らない事がある。
黒木君はちゃんと報告してくれるから心配は無いのだけど、いつも一緒が当たり前になっているからちょっと寂しい。
それが凄く贅沢なのが解るんだけどね。
今日、黒木君は金剛さんと一緒にシオリ作りをしている。
今思えば「私もつきあうよ黒木君」というのが正解だったと思う。
だけど、仕方無いじゃない。
私は黒木君と付き合うまでほぼ1人で過ごしていたから、こういう時に頭が回らないんだもん。
多分、黒木君の家族計画で狙っている二人目は金剛さんなんだと思う。
金剛さんは生徒会長をしていて数回しか話した事は無いけど、私に対しても普通に接してくれていた。
多分、素晴らしい人だと思う。
黒木君は本当に凄いな、金剛さんは本当に優秀な人だ。
外見と言うハンデが無いなら間違いなくこの学園のナンバー1の女の子だろう。
最近になって思うんだ。
黒木君は外見とは関係なく女の子の内面を見ているんじゃないかって。
だってそうじゃ無ければ私なんかを彼女に選ばないもの。
次の日、いつもの様にお昼を黒木君と過ごしていると、金剛さんが近づいてきた。
来るべき日が来たんだな。
そう思った。
「こんにちは、白百合さん」
「こんにちは、金剛会長、何か御用ですか?」
金剛会長は正直いって嫌いじゃない。
寧ろ、好きかも知れない。
この学園で数少ない私にも普通に接してくれた人だ。
黒木君が家族として選んだのがこの人で良かった、と思う反面二人の時間の邪魔をされたくないそんな感覚が走った。
だから、返事は少し冷たい感じになっていたかも知れない。
「黒木君と一緒で構わないから少しお話がしたいのですわ」
やっぱり、この話しだ。
「あの、僕は席を外した方が良いですか?」
どうなのかな、見苦しい話になるから外して貰った方が良いかな。
「一緒で構いませんわ」
「私も黒木君が一緒の方が良いと思う。」
そうだね、黒木君は当事者だもの、やっぱりいて貰った方が良いよね。
解っているけど、確認の意味で聞いてみる。
「所で、今日はやっぱり、黒木君についてのお話しですよね」
「そうですわ、黒木様についての事ですわ」
やっぱりそうだ。
「大体、の事は何となく解りますが、一応教えてください」
将来一緒の家族になる可能性があるのだからちゃんと聞かないと。
「黒木様の第二彼女になりたいので許可がほしいのですわ」
「第二彼女ですか? 第一彼女じゃなくて?」
「正直、貴方じゃなければ押しのけても第一彼女を目指しますが、白百合さんなら第二で充分ですわよ」
正直驚いた。
実の妹の奈々子ですら私を出し抜こうとする。
だけど、この人はどうしてそんな事が出来るのだろう。
「私なら...ですか? 何故ですか?」
理由が聞きたかった。
誰だって一番に愛されたいそう思うはずだ。
「だって、貴方は私の知っている限り、凄い努力家なんですもの。それに私は貴方と一緒に居て楽しそうにしている黒木様も好きなのですわ」
そうか、そんな風に見てくれるんだ。
この人は黒木君だけでなく、私も黒木君の一部と捉えて好きなのかな。
「それは、大雑把に言うと黒木君と一緒に私も気に入ってくれたという事なの?」
やっぱり、そうだ。
「そうですわね。それに、恐らく黒木様にとっての一番は白百合さんなのですわよ。恐らく私以外の誰であってもそこは不動だと思いますわよ」
そうか、黒木君の一番は私なんだ。
まずい、顔がどうしても赤くなっちゃうよ。
改めて他の人から言われると照れちゃうよ。
「だから、このお話は、白百合さんが駄目っていうのであれば諦めるそういう話しなのですわ、ですがもし許して頂けるなら、私くしもその輪の中に加えて欲しいのです。」
「そういうお話しでしたら...断れる訳ないじゃないですか。 黒木君が多分、私が良いって言えば良いよ位の事は言っているのでしょう?」
この人ちゃんと私の事まで考えてくれている。
この先一緒に居るならこういう人じゃなきゃ駄目なんだ。
「その通りですわ。だけどあくまでも白百合さんが良いならの条件つきなのですわ」
本当は二人きりが良いけど...それは叶わない。
だったら、金剛さんの様な人で本当に良かったかも知れない。
「仕方ない...良いですよ」
ちょっとがっかりした顔になるのは勘弁してほしい。
言えただけ自分を褒めたい位だ。
「まぁ、嫌かどうかと言えば嫌ですけど、遅かれ早かれ黒木君はモテるからこうなると覚悟はしていたし、相手が金剛さんなら、良いですよ」
多分、金剛さんじゃ無かったら私はこの場で答えを出せなかったと思うよ。
「ありがとうございますわ」
不細工な笑顔が素敵に見えた。
最も私よりは綺麗なのだけど。
「私くしも黒木様程ではないでが白百合さんも大好きですわ」
これは金剛さんなりに私の事も好きなんだという告白だ。
あれっ私しいつの間にか金剛会長でなく、金剛さんって呼んでいる。
もうとっくにこの人に心を許しちゃっているんだ。
「私も黒木君程ではないですが金剛さんも好きですよ」
うん、多分私も黒木君以外に好きな人って考えたら金剛さんしか居ないな。
「それでは、白百合さんの許可も得ましたので、告白させて頂きますわね。 黒木様、私と付き合って下さいませ」
金剛さんは颯爽と告白をした。
告白をし終わった後、気絶しかかっていたけど。
「金剛さん、そのうち慣れると思います。黒木君と付き合うとこういうのが毎日になるので」
多分、驚きの連続になると思う。
「これが毎日なのですか? まさに夢の様な毎日なのですわ」
これって、多分いつも程ではないよ?
「楽しいのですが、汗はかきっぱなしで、心臓はドキドキしっぱなしです。制汗剤とタオルは用意した方がよいですよ」
「そうですの? 有難うございます」
気が付いたら汗なんてかかない体質の私が汗だくになるんだよ?
黒木君が食事に金剛さんを誘った。
大丈夫かな金剛さん。
私は黒木君といつもの様にあーんをして食べさせあっている。
金剛さんは顔を真っ赤にして固まっている。
白い肌がまるで茹蛸のように真っ赤だ。
《黒木君...》
黒木君は私が言いたい事が解ったようだ。
「「金剛さん、あーん」」
悪い笑顔でおかずを箸で摘まんで金剛さんの口元へ運んだ。
金剛さんは震えるように口を静かにあけた。
解るよ、これ凄い破壊力だもんね。
最近は少しは慣れたけど、最初は凄く照れたもの。
ほら、周りの女性の顔が凄く歪んだ。
あっ金剛さんもあーんしてきた。
2人っきりも良かったけど金剛さんも一緒でも楽しい。
多分、金剛さんも私と境遇が近いからかな。
最初、黒木君がとられる、そう思ったけど違った。
私たちの楽しい輪に金剛さんが加わって更に楽しくなった。
そんな感じだ。
これが多分、黒木君の言っていた家族なのかも知れない。
金剛さんの顔はまるで蕩けそうだった。
だけど、金剛さん知っている。
これ、まだ序の口なんだよ ?
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