第19話 黒木翔 ~男性保護施設~

男性保護施設についた...


僕には涙しか浮かばなかった。


化け物のようなのは女だけかもと淡い期待を持っていたのだが、、、男も化け物だった。


僕自身、決して面食いでは無い。


寧ろ理想は低い方だ。


例えば、クラスの女子に告白されるとしたら、多分5~6人除いて断ったりしない。


だって、僕なんかと付き合ってくれる女の子なんてまず居ないから。


その5~6人だって友達からで良いならOKする。


その僕でも嫌悪感がこみあげるんだ。


レベルで言うならゴブリンやオーク、西洋の妖怪クラス。


実際にモンスターな訳では勿論ないよ、ちゃんと人間には見えている。


そうだな、よくテレビでドキュメンタリーとかで整形に失敗した人とか、事故に遭った人の醜い写真が出る事があるでしょう?


あれを数倍酷くした感じ。


そんな人しか居ないんだ。はっきり言ってあんまりだ。


「ようこそ男性保護施設へ」


「あ はい」


「最初に施設に入るに至って規約についてご説明させて頂きます。」


この施設は男性専用の施設なので女性の連れ込みは厳禁。


門限はなく何時でも自由に出入りして頂いて構わない。


一日2万円のお金を支給する。


その代わり、積極的に女性と触れ合うように努力する事。


女性とデートする時は別に5万円支給。


女性と結婚した場合は祝い金として500万支給、その代わりここをでて貰う。


「あの何で、そこまで優遇されているのですか?」


おかしい、いくら何でも話が旨すぎる。


「そこからのご説明が必要ですか? あぁ記憶が曖昧なお方でしたね」


「はい、お手数をお掛け致します」


「今から数百年前に戦争があったのは知っているわね」


「すいません。知りません」


「その戦争で核兵器が無数使われたのよ。人類の半分以上が滅びたわ」


「そんな事が...」


「その後、生き延びた人類は見事に世界を復興させたけど、、その後大変な事が起きたのよ」


まさか、それでこの世界の人間は醜くなったのか


「何がおきたのですか?」


聞くのが怖い、それが元で化け物みたいな外見になってしまったのか?


「正常な男性が生れなくなったのよ」


うん、違った


「正常な男子って何ですか?」


「正常な男子って言うのは子供が作れる男の事よ、正常じゃない男子は子供が作れない男の事。ここまで良い」


「はい」


「そりゃ酷かったのよ、男が生れる確率が当時は1%以下、しかもその1%以下の中の7割以上が...その立ちさえしないのよ?」


よくそれで滅びなかったな。


「良く大丈夫でしたね?」


「その後、頑張ったのよ、今ではインポの男性は少ないし、10%は男性も生まれてくるようになったわ」


酷い、せっかく男女比が1対10の世界に来られたのに、、人類が皆んな化け物しか居ないなんて。


「そうですか、それでやっぱり、核の影響で。多少外見とかも変わったりしたのでしょうか?」


この世界の人類が醜いのはやはり放射能とかの影響のせい?


「何のこと? 外見は何も変わってないでしょう? おかしな人ね」


「そうですか?」


「そうよ」


「それで僕はこれからどうすれば良いのですか?」


「そうね、見た所学生さんのようだから近所の学園に通いながら男女の触れ合いを目指して下さい」


本当は僕は24歳なんだけどね。でもゆっくり学校なんて通った事無いから、、良いかも、、


「解りました」


「後、何か聞きたい事はありますか?」


そうだ、これだけは聞かないといけない。


「僕の外見ってどうですか?」


「普通に美少年だと思いますが...何か?」


僕から相手が化け物に見えるのだから、相手からは僕が化け物に見える...なんて事はなかった。


良かった。

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