第18話 本編スタート 黒木翔 ~ここは何処?~

僕の名前は黒木翔。


先週までは派遣でどうにか生活していたけど、この度、見事にクビになりました。


頑張って次の仕事を探してみたけど、このご時世、見つからなかった。


頼れる両親も居ない僕は家賃も払えずアパートも追い出された。


だから僕は漫画喫茶で寝起きしている。


だが、とうとう漫画喫茶に泊まるお金も無くなった。


このまま、乞食になるか、死ぬしかないのかな?


世の中不公平だ。

サイフの中は1000円だけ、今日からは漫喫にも止まれないな、どうしよう。


とりあえず、最後のお金でカレーでも食べよう。


多分これが真面な物が食べれる最後の日だ。


だが、幾ら歩いてもいつも食べていたカレー屋が無い。


あれっここは秋葉原なハズだよね。


今迄、何年も通った街だけど、こんな場所知らない。


おかしい、メイドさんも居ないし、アニメ関係の看板もない。


よく見ると、秋葉原に居たはずなのに周りはまるでオフィス街のようだ。


キョロキョロと周りを見回す。


本当に知らないここは何処なんだ。


「どうかなさいましたか?」


女性に声を掛けられた。


振りむいて後ろを見ると化け物が居た。


逃げなきゃ、僕は走って逃げた。


「どうかなさったのですか? 男性が走るなんて事情をお聞き...」


又、化け物だ、逃げなきゃ。


だが、何処に行っても化け物しかいない。


この世界は何時から化け物しか居なくなったんだ。


しかも、この化け物はメスが多いのか男のタイプは余り見かけない。


幸い、醜い以外に問題は無く襲ってこない。


ならば、仕方ない、相手にしない事にしよう。


だが、この化け物たちは僕を放っておいてくれない。


「あの、どうかされたんですか?」


「困っている事があるならご相談ください」


「道に迷っているなら道案内しようか?」


対応は凄く親切だ、ただ、人間に見えないだけ、そう考えよう。


そして、僕は何時までもこうしてても仕方ない。


かといって、見知らぬ化け物と話すのも怖い。


僕は、化け物を避けるように歩いた。


ようやく、お目当ての交番を見つけた。


交番に入って話しかけると婦警の恰好をした化け物がいた。


怖いし、気持ち悪いけど我慢して話しかけた。


「あの...すいません」


「どうかされました? 」


「あの、道に迷ってしまったようなのですが、秋葉原駅はどっちでしょうか?」


「秋葉原ですか、そんな場所は聞いた事はありませんよ」


「あの、だったら淡路町でも構いません。」


「それはどこですか? 」


どうしよう、ここは僕の知らない世界なのかも知れない。


ならば、仕方ない...


「あの、どうやら僕は、その記憶を無くしてしまったか、可笑しくなってしまったみたいです」


「そうですか、だったら持ち物を見せて頂けますか?」


「はい」


「何も身元が解るものがありませんね」


「そのようですね」


「貴方は貴重な男です。 記憶がなく行くところが無いのならこちらから、男性保護施設に連絡しますが良いですか?」


「男性保護施設ですか?」


「知らないのですか? 男性の場合はそこに行けば衣食住の面倒を見て貰えます。記憶もあやふやなら、とりあえず入所して見るのが良いとおもいますよ」


これでとりあえず、住む場所は貰えそうだ。


「お願い致します」


ここは何処か解らない。


化け物しか居ないけど、とりあえず、生活の基礎は手に入りそうだ。


元よりは良かったのかもしれない。






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