第16話 【IF】 黒木のアイドル物語 君は僕の唯一のアイドル...釘宮恵

僕にとってこの世界は辛い事ばかりだ。


男女比が大きく男に偏って、本来は男にとっては天国の様な世界。


だけど、僕の目は凄く可笑しい。


殆どの女性が、気持ち悪い化け物の様見える。


テレビのアイドルはとんでもない化け物。


女芸人は少しは真面な化け物に見える。


兎も角、どうしてなのか? 今の所僕の周りの女性で真面に見える存在は居ない。


幸い...いっそうの事目を潰してしまおうか?


そう考えていた。


だが、駄目だ...見てしまった以上はもう、この目を潰しても全ての女性のイメージが化け物に思えると思う。


奇形児、ブス、不細工、キモイ それに女を足して潜っても駄目だった。


何処にも真面に見える女性は居なかった。


美少女、美女なんて贅沢は言わない。


真面なら....そう思って探していた。



この世界は...酷い。


アニメにフィギュアまで醜い化け物人形...何処にも救いがない。


そんな僕の数少ない趣味はライトノベルだ。


小説を購入→表紙を破り捨てる→ページは飛んでしまうが挿絵を破る、これで僕専用の小説が完成する。


そして気に入った物があれば、テレビ番組が聞けるラジオで音声だけを聞く。


画像さえなければ、何とか楽しめる...辛い、耳の保養は良いから、目の保養が欲しい。


今の僕に普通に見える、グラビア写真やプロモーションビデオをくれるならローンを組んでも買うと思う。



諦めきれず探し続けていると、何気なく、ブスで潜っていると気になる記事があった。



《男性が顔も見たくもない芸能人 ナンバー1》


凄く気になる...もしかしたらとはやる気持ちを元に、その醜いという顔の画像を探した。



頭の中に衝撃が走った。


背は低いけど...本当の美少女だった。


昔、秋葉原で見た声優兼アイドル、その姿だった。


僕にとって、唯一存在するアイドル、他は今の所化け物しか居ない。



直ぐに近くのブック市場に行った。


釘宮恵写真集は3冊あった、その全てが100円コーナーにあった。


CDは山ほどありこちらも100円 全種類9枚買いそろえられた。


DVDは4枚ありこれは4枚セットで250円の特売だった。


アニメは買わない...だって絵が気持ち悪いから...と思ったけど安いから買った。


結局、5000円も使わずに一揃え、揃ってしまった。



家にそれらを置いて、神保町迄足を延ばした。


ほぼ引き籠りの僕が此処まで来たのは凄いと思う。



【周り】



「あれって男じゃない?」


「男じゃなくて多分お鍋だよ..だけど綺麗」


「そうだよね、もし男だったら男性専用車両かタクシーに乗るって」



よく考えたらタクシーに乗れば良かった。


そこで、ポスターと追加の写真集を買って帰った。



家中にお札代わりに釘宮恵のポスターを貼った。


ようやく悪夢が少し減った気がした。


不気味な仮面をつけているけどその下は紛れも無く美少女だ、そう考えたら凄く嬉しい。


写真集も同じ仮面をつけているけど、うん化け物じゃなく、その下は...そう考えたら水着も凄く可愛く見えてくる。



僕はオタクではない筈なのに部屋中が《釘宮恵 漬け》になっていた。


だが、とうとう本物に会いたくなった。


どうしたら会えるのだろうか?


アイドルならコンサートに行けば会える。


だが、釘宮恵さんはもう引退していた。



仕方なく僕は《男性保護機関》の出張所に相談しに行った。


案外、僕は現金なのかも知れない、普段は怖くて歩きたくない道を普通に歩けた。



「はぁ、元アイドルと付き合いたいの? その女は結婚してないんだよね」


相談員を男と女と選べたので男性を選んだ。



「はい」


「それじゃ、住所を聞いて押しかければいいだけじゃねぇ...まぁ9割大丈夫だろうよ」


「あの、相手は人気者ですよ?」


「はぁ~女は飢えているからさぁ、あんたが最後までやってやるって言えばもう離れる訳ないだろうよ、ここに相談する位だから、それも念頭に入れているんじゃねーのか」



話を聞いていて良く解らない。


仕方ない、ので女性に変わって貰った。


女性のアドバイザーの方はまるで刑務所の面会室みたいな作りの部屋だった。



「確か、黒木さんは記憶が無く施設に入っていたのですよね」


「はい」


「まず、アイドルの方は、半分男性とお付き合いしたくて活動している方が殆どです、アイドルの事を愛$(ドル)って言ってお金で愛を買う様な人と馬鹿にする隠語がある位です」


「どういう事ですか?」


「半分は、お金を貰うのでなく、お金を払って露出をして男性と付き合いたいそう言う方が多いですね...まぁ真剣に芸能活動している人も居ますが少数ですね」


マジか...アイドルだけは違うと思っていたが、そんな事無かった。



「アイドルや女優は違うと思いました」


「流石にハリウッドとかは違いますが、それでも男性からのファンレターは返さない事は無いらしいです」


「だったら、僕がアイドルと付き合いたいと言ったら紹介とかして貰えるのですか」



「連絡先位ならお教えしますよ? 一体誰なんですか? その幸運な女性は?」


「釘宮恵さんです」


「あの山姥声優ですか?」


「...」


「あっすいません、あの顔に問題があって引退された方ですよね」


「はい」


僕には凄い美少女なんだけど...そうなるのか?



「最初に言って置きますが、殺したいとか? 嫌がらせ目的じゃないですよね」


「何で、そんな事聞くんですか?」


「いえね、そう言う方が、多かったので」


「違います、あの素敵な声が凄く好きなんです...だってあの」



「解りました、本来はこんな事はしないのですが、両手全ての指紋採取と、決して嫌がらせではなく交際目的という誓約書を書いて下さるなら、彼女の個人情報をお渡しします」


「宜しくお願い致します」



凄いなこの世界は男性に限り...個人情報の保護は無いに等しい。


釘宮恵さんみたいな状態でなければ、芸能人の住所や連絡先が簡単に教えて貰えるんだから。


「あの...こんな簡単に教えて大丈夫なんですか?」


「何を心配しているんですか?」


彼女は何を言っているか解らない、そんな顔でこちらを見た。


「そうですね、例えば男性に襲われたり、そのレイプとか...」


男性にだって不細工はいるし、凄く嫌いなタイプの男性なら嫌がるだろう。


前の世界だって、実際に女性が男性を襲った事だってあった。


「あはははっ黒木さんは面白い人ですね、確かに好みの男性じゃ無ければ嫌でしょうが1回こっきりなら女性は拒まない可能性が高いですよ? 万が一妊娠でもしたら莫大な一時金が入りますし、男性を満足させたという事で、その関係が立証されたら《優良母体認定》が貰えますからね、第一、女嫌いの男性が襲うなんて夢物語です」


「それ本当ですか?」


「はい、もし黒木さんが女の子襲うなら、私に問題無いって言われたと言って貰っても良いですよ...あははは可笑しい、あっ怪我はさせないで下さいね、殴ったり蹴ったりは暴行ですから」



何だか凄いな。



結局僕は、釘宮恵さんの電話と住所メアドとパーソナルデーターを貰った。


ただ、パーソナルデーターはあくまで本人の申告だから誤魔化しが入っているらしい。



後は、連絡するだけなんだけど...相手はアイドルだよ...そう簡単に出来ない。



心臓がドキドキする...


何回もスマホをとりだしては、手にして置くを繰り返した。


その結果、26回目で勇気を出して電話番号を押し切った。


「この電話、釘宮恵さんのお電話ですか?」


「そうよ!それで何かよう!」


夢にまで見た彼女の声が返ってきた。





※ 一応こちらは IFの物語にする事にしました。


  このヒロインを出してしまうと他のヒロインが食われてしまう可能性がある為です。


  その代り、この恋愛の話は数話連続で完結予定です。


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