第8話 【IF】【書き下ろし】 公園の幻想的美少(幼)女 溝口梨々花 【下】 ~夢の終わり~
私には友達が誰もいない。
醜いというだけで誰も私を愛してくれない。
お父さんは誰か知らない...だけどお母さんは私を見る度に暴力を振るう。
「折角、男と結婚出来たのに、お前のせいで台無しだ、お前のせいで、お前のせいで...」
私だって好きで醜くく生まれた訳じゃない。
普通の女の子に生まれたかったよ。
凄く毎日が辛い、こんな顔だから勿論、男の子から嫌われる。
そして女の子にはさらに嫌われる。
「梨々花、近づかないで、あんたが居ると智樹くんが気持ち悪がるから」
確かに解るよ...だけど1人ボッチは辛いよ...
1人は嫌だよ...
何時もの様に1人で寂しく遊んでいると1人の男の人が目に入った。
凄く綺麗な男の人...醜い私と違って、綺麗で美しくてこんな容姿に生まれたら絶対に幸せだと思う。
まるで絵本の王子様が飛び出してきたのかな? そう思える位綺麗だった。
そんな人がさっきから私を見ている...そんなに醜い私が目障りなのかな。
それとも、見世物感覚で見ているのかな?
兎も角、まるで観察するような目で私を見ている気がする。
不味い、目が合ってしまった。
何か変な目で見ている気がするよ。
少し腹が立った。
醜い私が、そんなに見たいの?
「お兄ちゃん、何見ているの?」
男の人にかける言葉じゃないのは解るよだけど口から出てしまった。
不味いかも知れない...男の人が急に黙った。
この人...やっぱり凄く綺麗だ、周りの女の人からは明らかに避難の目が向けられていた。
幾ら子供でも、男の人に嫌われる様な事はしちゃいけない...それは常識だし、これはモラル違反かも知れない。
だけど、男の人はとんでもない意地悪な言葉を発してきた。
「君が可愛いから見惚れていたんだよ...ごめんね」
そんなに怒っているんだ、この醜い私が、可愛い...酷いよ。
慣れていても、心が傷つくよ...だったら醜いからとか化け物って正直にいってよ...
モンスターガールなんてあだ名の私に《可愛い》...そうかこのお兄ちゃんは私を虐めたいんだ。
周りの人の目が怖い...男に謝らせるな。
そう言う目で皆が私を見る。
「そんな嘘つかなくても良いよ? そんなに怒って無いからさぁ」
男が謝っているんだ...本当は虐めでも許すしかない。
「嘘じゃ無いよ、本当に可愛いから見てたんだよ」
そこまで虐めたいの...本当に心が痛いんだよ、やめて。
「そこ迄言うの? 本当にそれを言い張るなら遊んでくれるの?」
周りの目が避難に完全に変わった《遊ぶ》という言葉が性的な脅しに取られるかもしれない...犯罪者になるかも知れない。
言い過ぎちゃった。
※この世界の話。
この世界は男女比が1対10なので、何でも男性に有利です。
例えば、《男性がトイレに少女を連れ込み悪戯をしました》どうなるのでしょうか?
答えは、少女に喜ばれ、両親からも喜ばれます。
女の子は子供のうちから《男性が貴重》な事を教えられていきます。
1クラス40名の小学校があったとして本来は4人は男性がいる筈ですが引き籠りが男性には多いので1名いるかいないかです。
こんな世界ですから、もしいい大人が少女に悪戯しても、ただの悪戯なら「よい思い出をありがとう」
逆に性的な物なら「嘘、セフレになれるの」《この世界の男性の多くは性的な事を嫌いますからこれはラッキーなのです》
そして男性が50歳位で少女が8歳だとしても真剣に好きだと言う話なら、喜んで婚約して結婚出来る年齢になったら、かなり高額な持参金で結婚になる...そんな感じです。
逆に少女とはいえ嫌がる男性に悪戯したら、犯罪者の烙印が押され、人生が終わる場合すらあります。
ある、少女はひとの良いおじさんを騙してキスしようとしました。
子供だから許されはしましたが、人格端正施設送りとなりました。
また、動画が流れてしまいかなり困った事にもなりました。
こんな世界なのです
(説明終わり)
「お兄ちゃんの思っている変な事じゃ無いよ? 普通に遊ぶだけだよ...?」
多分これでセクハラにならないよね...大丈夫かな。
「それじゃ、遊ぼうか?」
嘘、これは何かな...まさか本気で言っているのかな...
もし、これが嘘じゃ無いなら、私はなんて酷い事をしていたんだろう。
だけど...本気なのかな?
「本当に遊んでくれるんだ? わーいお兄ちゃんありがとう...凄く嬉しいよ」
いきなり抱き着いた、これで突き離すでしょう?
本性を現すよね。
「それで何して遊ぼうか?」
本気なのかな?
「うーん、そうだね砂場で山つくるの手伝って」
「解った」
一緒に砂で山を作った、偶に手が触れるとつい顔が赤くなる。
当たり前じゃない...男の人の手があたるんだもん...それに着ているシャツが汗で濡れて肌が見れるんだもん。
「僕の名前は黒木翔、と言います、名前教えてくれる?」
このお兄ちゃん...名前まで言ってきたよ...これ絶対に虐めじゃないよね。
ごめんね、疑って...男性の中にごく稀に子供みたいなピュアな人が生まれると言うけど、それなのかな?
※普通の世界じゃ知恵遅れの人の事です。この世界では女性を嫌わないからこう呼ばれます。
「え~と溝口梨々花です...お願いします」
凄く楽しいな...こんな夢みたいな事初めてだよ。
そのまま一緒に砂で山を作ったり、トンネルを作っていたら周りの大人と目が合った。
この位犯罪じゃ無いでしょう...羨ましいからってそんな目で見なくていいじゃん、私まだ子供だし...友達も居ないんだから。
お兄ちゃんは周りも気にしないで沢山遊んでくれた。
王子様みたいなお兄ちゃんが遊んでくれる。
凄い夢のような時間。
周りの人は、それをスマホで撮っていた。
気にしない...この時間の方が凄く大切だもん。
生まれてから一度も楽しい事なんてなかったから...凄い幸せ。
一緒にブランコにも乗ったし、お兄ちゃんが抱っこしてのブランコ...えへへ夢みたい。
滑り台も一緒に滑ったよ...抱っこして一緒に滑ってくれるの...こんな事できる女の子はなかなか居ないよね?
周りから憎しみの篭った目が向けられるけど気にしないよ?
今日だけは、今だけは私が主人公だもん、ヒロインだもん。
嘘...肩車、これは...夢みたい。
※子供とはいえ、男性の頭に性器が押し付けられる、この世界じゃあり得ない光景になります。
絶対にこの世界の男はプライドが高いのでしない行為です。
「お兄ちゃん、凄く高い高い..凄く楽しいよ」
女の子なら一度は夢に見る肩車...今迄の事が嘘みたい。
こんなの夢でも見たことが無いよ。
「気に入って貰えて嬉しいよ」
気に入らない訳が無い...これと引き換えなら死んでも良い...本当にそう思う位の幸せだもん。
いよいよ周りの目が怖くなってきたな。
多分、もう動画を持って通報したかも知れない。
同い年位の女の子は泣いているし...終わりにしなきゃ。
多分、お兄ちゃんはピュアな人だ、怖い思いはさせちゃ駄目だよね。
「黒木お兄ちゃん、今日は本当にありがとう」
「どういたしまして」
「凄く楽しかったよ、大きくなったら梨々花と結婚してくれる?」
私の人生は多分、これで終わるかも知れない...最後に楽しんでも良いよね...もう終わりだから。
「梨々花ちゃんが大人になって忘れて無かったらね」
想像以上だよ、まさか指輪をくれるなんて、缶からとったブルトップだけど...これはきっとダイヤモンドより価値がある。
周りが凄く騒がしい。
男の人が結婚の真似事をしたんだ、そりゃ大事になるよ...やっぱりお兄ちゃんはピュアな人なのかな。
だけど、凄く綺麗で王子様にしか見えないよ。
遠くからサイレンが聞こえてきた。
夢の時間は終わったんだね。
「ありがとう」
それだけ伝えると私は公園から走って出て行った。
泣き顔は見せたく無いから...
公園を出て右に曲がった所で捕まった。
「男性保護機関 だんきの者です、ちょっとご同行頂けますか」
「はい」
下手に抵抗したら、黒木のお兄ちゃんに見つかる。
車の中から私を探しているお兄ちゃんが見えた。
私は車の中で見えないように頭を下げた。
結局私は施設送りにならなかった。
ただ、あの公園への立ち入り禁止命令が出されて、引き取りに来たお母さんに凄く怒られた。
動画をアップロードされた結果、街には居づらくなり引っ越した。
お母さんは益々私が嫌いになりお婆ちゃんに預けて何処かに行ってしまった。
お婆ちゃんは私の顔に似ているから唯一私を虐めない人だから、今の方が逆に良いと思う。
黒木おにいちゃん...私一生懸命勉強して偉くなって何時か会いに行くよ...待ってて。
梨々花はプルトップを強く握りしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます