第7話 【IF】【書き下ろし】 公園の幻想的美少(幼)女  溝口梨々花 【上】

※ これは、時系列で言うなら、この物語が始まる前の話です。

 

  作品、本編と繋がるかどうかは未定です。



僕は心が疲れていた。


僕には他の人には言えない秘密がある。


毎日が辛い...


引き籠りには余り成りたいと思わないから、我慢して散歩に出かけた。


やっぱり、駄目だ...此処は...


自販機でジュースを買い、公園のベンチで休み小説を読んでいた。


小説は良い、文字だけだから、嫌な思いをしないですむ。


暫く休んでいると一人の少女に目がいった。


僕は、ある事情で人の顔を見ないようにしている。


だけど、僕は、その少女に目が釘付けになった。


黒髪のショートヘアに、大きく綺麗な目。


子供特有のずんぐりむっくりした体形でなく、スリムですらっとしている足。


実際の世界なら、バレーを習っているようなマドンナみたいな凄い美少女。


二次元なら...魔法少女。


アダルト漫画なら...子供に見えない、大人びた少女。


そういう風に見える。


僕はロリコンでは無い、だけど、彼女の美しさに、つい見入ってしまう。


正に、魔性の少女。


それが一番近いかも知れない。


幾ら心が疲れているからって、相手は子供だ...手を出してはいけない。


頭は解っている。



うん、大丈夫だ。


だが、どうしても目で追ってしまう。


不味い、目が合ってしまった。



「お兄ちゃん、何見ているの?」


ヤバイ、ヤバイどうしよう?


いいや...正直に言おう、こんな美少女に嘘をつきたくない。


「君が可愛いから見惚れていたんだよ...ごめんね」


不味い、見ている人に通報されないかな、幾ら男性が優遇される世界でも、ロリは不味いよね、多分。


何かやらかしてしまった気がする。


「そんな嘘つかなくても良いよ? そんなに怒って無いからさぁ」


「嘘じゃ無いよ、本当に可愛いから見てたんだよ」


僕は何を言っているんだ? この子多分小学生それも低学年位じゃないかな? 少女ですらない、少し大人びているけど幼女だ。


「そこ迄言うの? 本当にそれ、言い張るなら遊んでくれるの?」



遊ぶ...変な事を想像しちゃったじゃないか...不味い、これじゃ変態だ。



「お兄ちゃんの思っている変な事じゃ無いよ? 普通に遊ぶだけだよ...?」



そうか、そうだよな、ハァ~気が滅入る、幾ら精神的に落ち込んでいてもこれは無い。



だけど、こんな可愛い幼女相手なら普通に遊ぶのも悪くないよね。



「それじゃ、遊ぼうか?」


「本当に遊んでくれるんだ? わーいお兄ちゃんありがとう...凄く嬉しいよ」


いきなり抱き着いてきた、子供なのに凄く良い香りがする、シャンプーかな。



「それで何して遊ぼうか?」


「うーん、そうだね砂場で山つくるの手伝って」


「解った」


一緒に砂で山を作った、偶に手が触れるとつい顔が赤くなる。


彼女も顔が赤くなっている気がするけど、子供がそんな事考えるわけ無いから気のせいだと思う。


よく考えたらこの子の名前も知らない。


「僕の名前は黒木翔、と言います、名前教えてくれる?」


「え~と溝口梨々花です...お願いします」


やっぱり凄く可愛い、耳まで真っ赤にしている。


そのまま一緒に砂で山を作ったり、トンネルを作っていたら、周りの大人と目が合った。


不味いな、だけどこんな楽しい時間は邪魔されたくない。



不審者を見るような眼差しを我慢して、遊び続けた。


僕はロリコンじゃないと否定が出来なくなってきた。


偶に見えるパンツにブラウスから除く鎖骨と小振りな胸...それに喜ぶなんて変態じゃ無いか?



それからあとも望むままに遊んだ、一緒にブランコにも乗ったし、滑り台も一緒に滑った。


何より梨々花ちゃんが喜んだのは肩車だった。



「お兄ちゃん、凄く高い高い..凄く楽しいよ」


「気に入って貰えて嬉しいよ」




いよいよ周りの目が怖くなってきた。


耳を澄ますと《通報》とかいう声が聞こえてきた。


良く見ると僕たちを見て泣いている子供がいた。



多分、本当に不味いのかも知れない。


梨々花ちゃんもそれを聞いたのかも知れない。



「黒木お兄ちゃん、今日は本当にありがとう」


「どういたしまして」


「凄く楽しかったよ、大きくなったら梨々花と結婚してくれる?」


不味い、一瞬ときめいてしまった。


どうせおままごとに違いない、なら答えは決まっている。


何か小道具は無いかな?


あれが良い...僕は近くに落ちていた缶のプルトップをとって指輪の代わりにして左手薬指に嵌めてあげた。


「梨々花ちゃんが大人になって、忘れて無かったらね」



梨々花ちゃんは顔を真っ赤にして周りを見渡すと...小さな声で「ありがとう」と言って走っていってしまった。



「あっ」



慌てて走って追いかけたが、何処にも梨々花ちゃんは居なかった。


これは幻だったのか...かき消すように、美(幼)少女は消えてしまった。


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