第讀話 なんでわかんだよ

古今東西、ありとあらゆる学生達が待ち望んで止まない季節。

さまざまなデメリットを帳消しにするメリット。

そう、世界は新世界へと突入した!

と、御大層な事を言ってはいるが要するに夏休みである。


「あー、クーラー涼しい」


夏休みに突入して3日が経過した。既に課題は終わらせており、後は夏休みが終わるまで悠々自適に過ごすだけ。

そう、例年ならば。しかし今年は。


プルルルル プルルルル


「ん?」


俺がクーラーで涼んでいると電話が鳴った。

相手はどうやら健一けんいちらしい。

ピッ。


『おっ、出た出た』


「おう、どうした健一なんか有ったか?」


『有ったもなにもこれからだろ?』


「あー、そういえばそうだったな」


正直忘れていた。この三日間課題を終わらせる事に集中していたからか七不思議は頭の片隅に追いやられていた。


「それで七不思議関係でどうしたんだ?」


『あぁ、これからみんなでそうの家行くからちょっと待っててな』


「えっ」


『じゃあなー』


ピッ


「切れたか。はぁ、全く」


とりあえず部屋の掃除等をして待とうと思っていたら。


ピンポーン


「あれ?もう来たのか?」


とりあえず健一がいる事を確認して。

すぐ開けるぞ、と鍵に手をかけようとした時に違和感に気づいた。


なんでだけなんだ?

さっきの電話ではと一緒に来るって。


ガチャ


「漱、早く開けてくれよ」


それにすぐ着くなら「もう着く」って言うもんじゃないのか?


ガチャガチャ


「漱、暑くて死にそうだ。早く開けてくれ」


「な、なぁ、健一。一つ質問いいか?」


「勿論、それで開けてもらえるなら。早く言ってくれ」


それを聞いて俺は体の後ろで手を組んでチョキを出した


「お前さ、


「あぁ、勿論」


「後ろで手を組んで


「ほら、答えたんだから早く開けてくれ」


ガチャガチャ


おかしいだろ、だって


ガチャ


「なんでわかんだよ」


「あけろ」


ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ


何分程続いただろうか、永遠に続くかと思ったそれはピタリと止んだ。

そのすぐ後。


「おーい、ついたぞー」


「ここが漱の家?案外大きいんだね」


「本当ですね」


三人の声が聞こえた、思わず体が震える。


「さ、三人か?」


「?あぁ」


「誰と勘違いしてるんですか?」


それじゃあ


「なぁ、俺の質問に答えてくれ」


「良いぞ、手っ取り早くしてくれよな」


それを聞いて俺は後ろで手を組んで手をチョキの形にした


「今、俺は何してるか分かるか?」


「分かるわけねぇだろ」


ガチャ!

バン!


「みんなぁ!」


「おい、ビックリしたじゃ、おい!どうした!?何があった!!」


「とっ、とりあえず落ち着きなさい!」


なんか、気が、遠のいて、いく






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