第弐話 冒険のパーティは四人って決まってんだ

「夏休みに七不思議を調べようぜ、か」


「あぁ、楽しそうだろ?」


そう言う健一けんいちの顔は殴りたくなるほどまでに爽やかだった。

まぁ、長い夏休みの暇つぶしになると思えば。


「良いぞ、今のところ夏休みに予定ないからな」


「やったー!」


俺が了承すると健一は飛び跳ねて喜び、更には喜びの舞さえも踊っていた。

その様を見て少し笑っていると突然ピタッと動きが止まり、大丈夫かと声をかけると。


「じゃあ次は探検チームのメンバー探し行くぞ!」


「それには賛同するけど突然どうした、それに何人程集めるんだ?」


「2人かな」


「なんで2人だけなんだ?もっと居た方が良くないか?」


「おいおい、こんな所にお約束もしらねぇ奴がいるぜ」


そう言うと健一はやれやれといった感じで。


「冒険のパーティは四人って決まってんだ」


「お前の基準がモンハンとかドラクエとかなのが分かった」


と、したり顔で言ってきた。正直早速ながらこのパーティから抜けたい気持ちを抑えて質問をした。


「それで、誘おうとしてるやつはもう居るのか?」


そう言うとどうやらもう目星は大体ついているようで教室を見渡した。


「それで、結局誰を誘うんだ?」


「それはな、っと。早速居た、ほらあそこだ」


そう言って健一は窓側を指し示した。

そこには眼鏡をかけた黒髪ロングの女子生徒が座っていた。


「おまえ、もしかして七不思議は二の次で」


「そんなんじゃ無いよ、彼女。町田まちだ 未来みくさんって言うんだけど。大のオカルト好きで連れて行ったら喜びそうだし、絶対役立ってくれるよ」


そういうと健一は未来に話しかけた。


「ねぇ未来さん、今暇?」


「えぇ、大丈夫ですよ。それでどうしました?」


「実は七不思議につい「行きます!」て、そ、そっか、ありがとう」


凄いな、あの健一を押しているとは。

しかしビックリした、穏やかな口調だったから油断していたがあんな大声を出せるなんてな。

俺がそう驚いていると彼女はこちらに気づいて自己紹介をしてきた。


「あっ、どうも初めまして町田 未来と言います。以後よろしくお願いします」


「こちらこそどうも初めまして、やなぎ そうと言います。以後よろしくお願いします」


「カッチカチやんけ」


俺と未来が自己紹介をすると健一が関西人のような言葉遣いでツッコミを入れてきた。


「まぁこれから共に行動するんだからタメ口でいいんじゃない?そっちの方が話易いでしょ」


「そう、だな。うん、これから宜しく」


「えぇ、こちらこそ宜しくお願いします」


「オカルト少女が仲間になった」


「お前は何言ってんだ」


唐突にゲームの説明口調になった健一に思わずツッコミを入れてしまった。

とりあえずもう一人誘ってくるために移動を促す。


「とりあえずもう一人誘いに行こうぜ。じゃないと昼休み終わるぞ」


「おっけー、あっ」


「あっ?」


「昨日掃除の途中にほっぽり出してサボってたのバレて昼休みに呼び出しくらったんだよ」


「自業自得じゃねぇか」


「ちょっと走って行ってくるから先誘っといて!」


そう言うと全力で走り去って行った。

ふぅー。


なんだアイツ。








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