会話だけの小説

比嘉君人

第1話 身長





鈴木「田中さ。身長何センチ?」

田中「俺は…170‥くらいだけど。なんで?」

鈴木「あ、嘘だ」

田中「なんで嘘なんだよ」

鈴木「溜めがあったから。動揺してる?」

田中「動揺なんてするか!溜めがあったって。そんなの言い出したら、うちの婆ちゃんなんか1分以上溜めあるよ。ヒトラーとかジョブズの比じゃないぞ!」

鈴木「なんか訳わかんないような例え入れて煙に巻くのやめてよ。

もう一回聞くけど、田中170じゃないでしょ?」

田中「170あるって!そんなに信用できないか?」

鈴木「じゃあ、例えばさ。スマホで月収100万円稼げましたって広告信用できる?」

田中「できない」

鈴木「変な仮面つけて占い師は?」

田中「信用できないね」

鈴木「パチンコで倍にして返すって友達」

田中「信用できるわけない」

鈴木「身長170くらいっていう人」

田中「信用できるわ!同じ括りにされてるのかよ!」

鈴木「じゃあ、今ここで測ろうよ」

田中「え」

鈴木「証明したほうが早いじゃん。こんなにぐちぐち言われなくて済むし」

田中「でも保健室とか開いてないんじゃ」

鈴木「今メジャー持ってるよ」

田中「なんで持ってんの?!」

鈴木「んー。田中をメジャーで締め殺すため?」

田中「急に怖い。なんで疑問形なんだよ。自分の行動把握しとけよ」

鈴木「まあ、とにかく測ろう。田中真っ直ぐ立って、メジャーの先踏んでよ」

田中「はいはい」

鈴木「背伸びしてないよね?」

田中「わかってるって」

鈴木「えっとねー、169.4だね」

田中「まじ?放課後だから絶対縮んだか」

鈴木「6mmも縮まないでしょ。これからは正々堂々169って公言してね」

田中「なんで公言しなきゃいけないんだよ」

鈴木「田中が前可愛いって推してた寿さんは、170以上がいいって言ってたよ」

田中「まじかよ、、」

鈴木「因みに私は身長なんて気にしないけどね?」

田中「それってどういう意味だよ」

鈴木「背伸びせずにありのままの田中が好きってことだよ」

田中「…いや、俺も好きだよ」

鈴木「あれ、溜めがあったけど?」

田中「すいません、動揺しました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

会話だけの小説 比嘉君人 @hikakimito3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ