無料サービスについての考察

刻堂元記

無料サービスについての考察

 最近、お金を使わなくても利用できるサービスが増えてきている。しかし、無料サービスの浸透により、一部の利用者はある価値観を抱くようになった。それが、サービスは無料で使えて当然だとする思想だ。


 当たり前ではあるが、ほとんどのサービスは膨大な費用と時間を投資することで実現している。そのため、サービスが無料で利用できて当然だと思ってしまう価値観そのものが、サービス提供者の存在を無視した自分勝手な考えであると言わざるを得ない。


 加えて、無料で入手可能な物は大切に扱わない人が多い。これは、使わなかったとしても再度無料で手に入るからという楽観的な思考と、無料サービス利用者の行動が消費から浪費に変化している事が原因だと私は分析している。


 それなら、無料サービス利用者の行動が浪費となった背景には何があるのか。それは、最初にも述べたような無料サービスの増加が挙げられる。もちろん、理由はそれだけではない。人の時間は有限であるということもまた、無料サービス利用者の浪費を促進している要因の1つなのだ。


 そして、インターネットの世界には、限られた時間で多くの無料サービスを利用したいという需要に応えるかのように様々な物が、機能やサイト、あるいは動画として提供されている。だが、短時間で多くの無料サービスを利用したとしても、その中身を満足するまで味わうことは決してできない。例えるなら、料理を早食いするようなものである。


 では、サービス提供者がサービスを無料で公開するわけは何なのか。それは大きく分けて、2つに分類することができる。1つ目が、広告や課金といったシステムの導入により利益を得るため、多くのサービス利用者が必要であるというもの。2つ目が、サービス利用者に少しでも楽しんでほしいという気持ちから生まれた善意だ。そうして、大半の無料サービスは1つ目の理由の方に該当する。


 私たちは、世の中に溢れかえっている無料サービスの価値やありがたみをついつい忘れがちだが、それでは良くない。サービス提供者に感謝しながら、時間をかけて無料サービスを利用しようとする姿勢が大事なのである。

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