第2話 瞬殺
「…なーんか最近、狩人の数増えてんなあ〜」
空き缶を蹴飛ばす、ボサボサ髪の男が一人。
「財布だけいただいて行こっと」
死体…正確には気を失っただけではあるが男はそのしかばねのような警官の服から財布を抜き取る。
男の名前は、山那 蓮太郎。無職、宿なし。街を練り歩き、ゴミや返り討ちにした警官の服を漁って生活している。
「俺もいい寝床で寝てえなあ…あ!?」
殺気を感じ、蓮太郎が振り向くとそこには帽子を深く被り込んだ男が立っていた。
「賞金首ィ…君ノ首ヲ頂クダケデ私ハ幸福ニ一歩近ヅケル…金ハ幸福ヘノ近道ィ…!」
奇妙な声で呟くと服を脱ぎ捨てる。すると同時に、彼の背後に肉体がところどころにこびりついた肉体をもつ存在が現れた。
・・
「あんたのソレ、なんかキモい笑い方してんなぁ?」
俺のも見せてやるよ、と蓮太郎が呟く。
次の瞬間、禍々しさと気高さを放つ存在が、蓮太郎の背後に現れる。
「我が名は骸…3流のお前達には見ることも記憶に留めておくことも身に余る。消えろ。」
次の瞬間だった。男の右胸を中心とし、空間がねじれる。3秒後には、そこには何も残っていなかった。
「ふぅ…俺の命がそんなに欲しいかね。」
蓮太郎がぼやくと、
「貴様は私を使役できるのだ。帝国を治めていたこの私をだ。国家権力からすれば邪魔なことこの上なかろう。」
骸がそう答え、次の瞬間に消える。
「こんなデカブツ、好きで背負ってるわけじゃねえっての!」
空き缶を蹴飛ばす蓮太郎。飛んだ空き缶はスーツの男の足にぶつかる。
「ああ、悪ぃ…て、俺の命を狙ってるやつに謝る必要はねえか?」
蓮太郎がそう言って睨みつける先には…
オールバックに眼鏡をかけた男がいた。
「安心しろ、まだ殺さん。野犬と同じようにいっぺん生捕りにしてやる。」
そう言い放ち、律はこう呟く。
「《戰慄》。1割顕現だ。」
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