第7話 はがすな~

 俺のよく行くバイク屋が潰れていた。


 月一のペースでオイル交換してもらっていたなじみの店だ。


 近所の人と思われる、中年のおばさんが通りかかったので詳しいことをきくと、ご主人は肺がんで亡くなったとのこと。


 仕方なく別のガソリンスタンドで給油がてらオイル交換してもらう。


 しかしおじさんが貼った、走行距離を書いたシールがどうしても剥がれないと店員が言う。


「あ~その横にでも貼っといて」


 俺は気にせずに、大学の寮に帰ってきた。



 部屋からマイナスドライバーを持ち出してふるいシールを剥がそうとすると、「…………」


 なにやら声がする。


 俺はシール剥がしの作業に再度取りかかる。


「はが~すな~」


 なにやら恐ろしくなってきた。おじさんの霊魂がこのシールにこもっているのか……


「羽賀素直!」


 同級生が俺に後ろから抱きついてきた!




 …………俺にはやっぱりホラーは書けない…………





 ……あと「指」っていうのもあるんだけど、もう読みたくないよね。




 鬱




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