十二

 その後の話?そう、そんなことが聞きたいの。ヌクラーの力は本物だった。だけれども人間には使いこなせなかった。暴走したヌクラーは死の光を撒き散らして、その場にいた人間は次々その毒牙にかかっていったわ。いいえ、毒なのかどうかも、私にはわからない。けれど、あれはまさに死の光と呼ぶにふさわしいものだった。死の光を浴びた人間は次第に体が弱っていって、一月と経たずに死んでいった。人間はなんておぞましいことを考えるのかしら。目の前の餌につられて、その先が崖だったとしても、そんなことを気にせず跳び上がってしまう。愚かしいったらないわね。

 でも、まあ、人間とひとまとめにしちゃうのも、良くないことね。そこから何かを感じ取れる人間もいたわ。その男は死の淵にいながらにして、

「俺にはこれで良かったんだ」

 と言っていたわ。彼があの光を浴びてから何を考えたのか、私にはっきりとはわからない。その人の考えや思いはその人だけのものでもあるでしょう?それを完全に理解しようだなんて、傲慢じゃない?愚かで傲慢ときたら、もう見られたものじゃなくなっちゃう。

 私?ああ、私は人間と違って、精霊やマナの加護があったみたいで、しばらく寝込んだだけでこの通りよ。そうね、私はただ運が良かっただけかもしれない。人間として生まれるか、エルフとして生まれるか、そんなこと自分で決められないじゃない?それを誇ろうなんて、それこそ傲慢よね。

 ま、この話はこれでおしまい。これから人間たちがどうしていくのか、私たちももう少し興味を持って見ていくのも一興かもしれないわね。

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終焉のファンタジー 木造二階建 @nikaidate

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