二十九話:続・温泉会議

 装備強化。


温泉会議は俺の装備強化の話に。




「ノリオ君、強化石何個ある?」




「百五十個くらい」




「ええっ!?」




 結構レアらしい。


露店を見て回った時もいいお値段でびっくりした。




「シトリ……ちーと」




 シトリの【ふるふる】【幸運】コンボでドロップ率とドロップ量が増えているようだ。 他にも効果があるかもしれない。


 湯船に浮かぶシトリ。 湯船に浮かぶレフィーさんの双丘。 まるでふかふかのベットに寝るかのように体を預けるシトリ。 随分と仲良くなったね。 というか代わってください、お願いします!




「それなら、失敗を考えても十分強化できるね」




「強化ですか」




「うん。 強化してエンチャント。 これが強くなる秘訣だよ!」




 ほう! それは是非やってみないと。




「強化目標はオール七かな」




「オール七?」




「うん。 アイテムポーチ以外の装備を全部プラス七以上にすると、ボーナスオプが発生するの」




 アクセは一つ強化七にすればいいみたい。




 仰向けで浮かぶレフィーさん。 


ぷかぷかと三つの山が湯船の上を進んでいく。




「強化数値分、エンチャントもできるよ〜〜」




 エンチャントは装備にエディと呼ばれるアイテムを使って能力を付与できる。 属性防御を上げたり、ステータスを伸ばしたり。 レアなエディだと経験値アップや特殊効果を発揮する物もあるらしい。




「さっそくやってみる?」




「ここで?」




「うん! 装備と強化石があればどこでもおっけーだよ!」




 とのことなのでアイテムボックスから愛用の短剣・レイダーダークを取り出す。


 


「うーん。 その短剣だとちょっともったいないかな?」




「おぉ……」




 黒い刃でアサシンぽくてお気に入りだったのだが。




「古龍も狩らないとだから、短剣は後で造ろう! ねっ、信?」




「おう。 材料持ち込みなら歓迎だぞ〜」




 ハピさんと乳繰り合ってた信さんは鍛冶師のジョブを持ってる。


アルマは錬金術師、レフィーさんは料理人、ハピさんは細工師だ。




 俺も何かジョブを獲得できるのだけど、何にしようか?




「とりあえず防具強化。 それと属性耐性をエンチャントしとこう」




「古龍対策に火。ファラオ対策で土。 どっちも七十五%必須だぞ〜」




 強化は本当に簡単。 装備と強化石をあわせると緑色のエフェクトを上げて光る。 胴装備であるレッドファングレザー+1で試してみよう。




パパァーン♪


―――――――


 強化成功!


 1→2


―――――――




パパァーン♪


―――――――


 強化成功!


 2→3


―――――――




パパァーン♪


―――――――


 強化成功!


 3→4


―――――――




 どんどん装備を強化していく。


軽快な成功音が癖になる。 まぁプラス三までは百%成功するんだけども。


 俺はさらに強化を進めていく。






「ん?」




 湯船に浮かぶ桃。


シトリの姿がないなと思ったら、湯船の中から勢いよく打ち上げられた。


 空中でふるふる。


水しぶきが、シャワーのように降ってくる。




パパァーン♪


―――――――


 強化成功!


 6→7


―――――――




「おっ。 七まで成功しましたね」




「「「……」」」




 ノーミスで七まで成功。


何故か絶句する三人。 




 俺は装備をどんどん強化する。


温泉に響く成功音。 




パパァーン♪


―――――――


 強化成功!


 6→7


―――――――




 多少の失敗はあったものの高確率で成功を繰り返し、全てプラス七まで成功した。 ちなみに失敗音はトトトン……と、コンガの音がした。 謎だ。




「これもシトリちゃんの効果……? それともノリオ君のリアルラックが高いのかなぁ〜〜?」




「ちょっと俺も試してみるぜ!!」




 トトトン……。


残念な失敗音と共に信さんが湯船に突っ伏した。


 その信さんの頭の上にシトリを乗せるレフィーさん。


容赦なく追い打ちでふるえるシトリ。 やりたい放題だね!






「後はエンチャントか」




「エンチャントも要領は同じだね。 各属性ごとに耐性特化防具を持っておくと何かと便利だよ」




「なるほど」




 敵に合わせて装備を変えればいいってことか。


 


 俺がエディを消費してエンチャントを繰り返していると、レフィーさんが呟いた。




「あ……」




「ほえ?」




 シトリが光っている。


 なんだ?




 ポン。




「箱……?」




 レフィーさんの手の上に小さな箱が現れた。




「ひょっとしてマイレージ?」




 箱を開けると飴細工のようなエメラルドの髪飾りが出てきた。


四葉のクローバーをかたどったそれは、向きを変えるごとに色合いを僅かに変化させる。 




「シトリ……ありがと」




「!」




 レフィーさんのプラチナブロンドによく似合っている。




 あれ? 説明文に契約者にプレゼントをくれるって書いてあったような……。


 


 ……シトリさん、俺のコルルですよね!?




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