第11話、最強魔術が炸裂する
ゴッグワァアァァアン!!
すさまじい大音響とともに、土蜘蛛の足元で大爆発が起こった。毛の生えた太い手足が数本、ちぎれ飛ぶ。
ゴッ、ゴゥン、ゴウン!
何本も土柱が立ち上がり、飛び交う土くれにボッと火がつく。
「ギ、ギイイィィイイィ」
耳ざわりな鳴き声のようなものは、土蜘蛛の悲鳴だろうか。その巨体は見る見るうちに炎に包まれ、
いまや地下室は真昼よりなお明るい。巨大な炎がすべてを照らし出す。
俺は額から流れる汗に目をしばたいた。
地中からはさらに土砂があふれだし、それぞれの
土蜘蛛の真上の天井がメキメキと音を立てて崩れ落ちて、俺ははじめて異変に気付いた。
「
振り返ると、肩で息をしながら蒼白な顔の
俺たちの上にも木片が落ちてくるが、俺の結界が張られたままなので当たることはない。
「
俺が駆け寄ったのと、彼女の身体がゆっくりと倒れたのはほとんど同時だった。両腕に汗ばんだ彼女の背中を支え、俺は叫んだ。
「ここからすぐに逃げよう!」
「
土蜘蛛の様子も確かめず石段を登ろうとしたとき、階段の上に人影が見えた。
「
人影の主が叫んだ。
「
「龍神さまの強すぎる魔力を感じたのでなんとか建物の崩壊を止めようと、わたくし遠隔結界を張ったのですが――」
そんなことができるのか。さすが優秀な巫女だ。
「助かった。俺のせいで
階段をのぼる俺に抱えられながら、
「ただの魔力切れよ。情けないね」
「すまねえ、俺のせいだ。俺が考えもなく全力で術を発動させたから」
彼女を守るために魔物をやっつけようと思ったのに、俺のせいで
魔道学院では修行の際にけがをする学生もいるから、学内に簡単な治療を受けられる部屋があるのだ。
「
「当然だよ!」
俺は力強くうなずいた。が、ここだけの話、もはや腕が限界だった!
「ひふみ よいむなや こともちろらね――」
俺が
「わたくしが
「そうだ
「ご神託がおりたのです!」
「ご、ご神託?」
「はい。わたくし時々、神様のお告げが直接、頭に響きますので」
「そいつぁ便利だなあ」
なんとなく棒読みになる俺。これも
「旧校舎へ入りましたら、ものすごい爆発音が聞こえましたが、一体なにがあったのです?」
「大変言いにくいのですが」
と思わず敬語になる俺。「肝試しがてら旧校舎の地下に降りてきたら、ご大層な封印がありやして、どんな魔物が眠ってるのかな~ワクワク、と封印を解いたところ、伝説の魔獣たる土蜘蛛さんがお目覚めになりまして。いや~まいったまいった」
おっしゃる通りなんですが…… この
「ぜんぶ俺のせいなんだ。
本音を打ち明けると
「
と反論してくれた。彼女の熱い吐息が耳にかかる。きっと熱が出ているのだ。
「
俺が次の言葉を続ける前に、突然
「どうした?」
問いかけるが、
「――
抑揚のない声を発した。
「それ、ご神託?」
俺の背中から
「はい」
と、うなずいたのはいつもの
「土蜘蛛復活のお告げでしょうか……」
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