Root 24 八・二四の意義。
――それは何か? 君は知ることになる。革命前夜にも似た、その響き。
そう。ある種の革命だったの。
八月二十四日に誕生して、八月二十四日を心臓の鼓動が続く限り待ち侘びた少女。その生き様がこの芸術棟と、ふるさと祭りを学園に誕生させた。その発案者が、今この場にいる。誰にも触れられることはなく迷彩色のまま、そっと片隅で見守ってくれていた。
笑顔が大好きな令子先生。
だから彼女は、いつも満面な笑みを僕らに見せてくれる。
それは心臓が蘇った今も……
最先端技術による元々とは違う心臓でも、令子先生は昔のまま。五感をもって絵を描くスタイルも同じ。奇跡ともいえる再会の日のことは、今でも涙なしでは語ることのできない美路さん。……令子先生と美路さんの歴史は、この七不思議の探索により初めて知ったことだけど、同じ思いと言ったら烏滸がましいけど、それでも僕も同じ思い溢れる。
引っ込み思案だった僕を変えるキッカケとなったのは、まさしく令子先生。
そして自由を失いながら死を待つ病気だった僕を……
救ってくれたのは、紛れもなく彼女との出会いだった。生きる一念も……
彼女はその身で全部、刻んでくれた強烈に。奇跡を起こすほどの、僕の好奇心を揺り動かしてくれた。絵を描くということ。もっともっと生きたいという、その一念に。
そして今、令子先生も僕も誕生日を迎えた。
令子先生が三十三歳。僕が十五歳。この芸術棟で行われたパーティ。祝ってくれた縁ある人々。仕上がった作品たちが、その光景を見守っている。明日の搬入を待ち侘びて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます