Root 23 日付変更線と靴。
――脱げた片方の靴。それはきっと、硝子の靴。ルージュも一緒に溶ける時刻。
シンデレラの魔法が解ける時刻。それは何を意味するのか? それまでは二十三日、八月の……夏休みももうすぐ終わりを迎える。この鐘の音と同時に魔法が解けるように。
でも、想像してみて……
それが証拠に、ほら! 大きな窓から見えるの。魔法が解けたのなら、また新たなる魔法にも似た摩訶不思議。確かに、ここから見える芸術棟は光っていた。鮮やかな白色。
でもそれは、夢への誘い。
清き心の子供みたいな、御伽の玩具箱のように。
遊び心満載に作られた芸術棟。なら、芸術棟と呼ばれる前は何と呼ばれていたの?
僕が思うには、
――令子先生。
よって今日は、ビッグなバースデー。
同じ誕生日。その日は毎年恒例の学園で行われる『ふるさと祭り』……
僕ら美術部も、催し物を披露するの。それが作品。御伽の夢へと誘う、芸術棟での不思議な世界。音声化される、そこで起きた僕らの冒険が開催される。多分、映像も交えてになるのかな? 何せ、僕らは美術部だから、見せる世界観なので。
それが多分……
題するなら『ハヅキルートの冒険』となるのかもしれない。ファンタジーのように思えるかもしれないけど、この世界はリアル……現実の世界。紛れもなく現実の世界なの。
だからミステリーが生じる。謎多き芸術棟。そこで起きる不思議なこと。今日だって例外では決してない予感。その前にもう一寝入り。スヤスヤと、スヤスヤと。
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