Vol.2:太陽の騎士と宙の浮舟

面倒な場合はここから読んでいいと思います

三分ぐらいでわかる! 『太陽の騎士と嵐の王』!

インタビュー記録4210


対象:コッコ=サニーライト


インタビュアー:金辺サブロー巡査部長


<記録開始>


金辺:それではもう一度。あなた自身についてのお話から聞かせてくださいッス。


コッコ:いいよ。ボクの名前はコッコ=サニーライト。都市歴0106年8月15日生まれ。獅子座のO型。好きなものはカマンベールチーズ。身長147cmでスリーサイズは上から9……


金辺:あ、そういうのはいいッス。職業の辺りからお聞かせ願うッス。


コッコ:そう? ええと。それなら……ボクはアナトリアの巡礼騎士で、今はトラブルシューターをやっている。本物のお巡りさんに話すのも恐縮だけど……トラブルシューターっていうのは,、名前の通り『もめごとの解決屋』って感じかな……?


金辺:ええ。法的には『民営化された警察』ってことになるッスね。我々軍警察がより大規模化、複雑化していく都市犯罪に対抗するため、一部業務を『トラブルシューター』に委託することで成り立ってるッス。依頼主から費用を一部負担して貰っているのも特徴ッスね。


コッコ:実際には犬の散歩とか浮気調査とか探偵だかなんでも屋だかよくわかんないことまで依頼されたりするけど……まあ、人助けは楽しいよ。


金辺:紅港へ行っていたのも、依頼の関係で?


コッコ:そう。先生……ナッシング=レイヴンから依頼が来て。「紅港で『軽い荷物』を受け取って欲しい』って話だったんだよね。


金辺:ナッシング=レイヴンは、我々の間でも有名人ッス。アナトリア女王騎士第九位。そんな人がタダの荷物を受け取る依頼をするとは思えないッスが。


コッコ:タダの荷物ではなかったよ。『ストームルーラー』という……クラスⅢの異常存在イレギュラーだった。レイヴン先生はそれをボクに預かって欲しかったみたい。


金辺:しかし。そうはならなかった。騒乱に巻き込まれ『ストームルーラー』は破壊されてしまった……と?


コッコ:紅港の組織が血眼になって探していたからね。元々『ストームルーラー』は企業連合体リヴァイアサンに属するホテル・ウィクトーリアが保管していたものだった。だけどそれを港湾労働者組合が奪おうと計画を立てて……さらにそれを裏切って組合で元型師アーキテクトをやってたイナバって人が横取りしちゃった。ボクはなんとかそのイナバを見つけて、ホテル・ウィクトーリアのキョンシーと港湾労働者組合の異能者イレギュラーから頑張って逃げたんだけど……うん……


金辺:けれど。クラスⅢの異常存在イレギュラーがそう簡単に破壊されるのですか? フォースフィールドによって通常の物理現象からは守られていたのでは?


コッコ:それは……事件の最中で港湾労働者組合の異能者イレギュラー不死イモータル化しちゃってね……すっごい巨大化して、周りは嵐になるわサメが空飛ぶわで大変だったんだよ。オマケにプラズマ砲まで撃つしさ。イナバが即席で作ってくれたスゴイ霊子外骨格アーキタイプがないと本当に危なかったよ……


金辺:駆逐艦が出動するほどの騒ぎだったと聞いているッス。確かにそれほど激しい破壊が行われたのなら、クラスⅢの異常存在イレギュラーでも壊れてしまうかもッスね


コッコ:そうだよお。本当に大変だったんだから。


金辺:……ところで。さっき一緒にいた女の子は誰です? 銀髪のショートカットの。あの子は鯱族オルカのように見えますが、紅港で出会ったのですか?


コッコ:うん。あの子はマータちゃん。事件がきっかけで知り合ったんだ。とてもいい子だよ。


金辺:はあ。騒乱に巻き込まれてたのを助けたとかッスか?


コッコ:いや。ボクが助けられた。二度……いや、三度も。ボクの命の恩人だよ。


金辺:コッコさんほどの人が『助けられた』なんて、よほどの異能者イレギュラーなんスねえ……


コッコ:そうだね。あと、彼女は尾びれがすごいんだ。黒くて白くて。ツルツルでテカテカで……


金辺:あ、そういうのはいいッス。変なこと聞きすぎてごめんなさい。


コッコ:えー。ちょっとくらいは聞いて欲しいんだけどなあ……


金辺:プライベートでセンシティブなことを聞くと僕がマズいんスよ。けれど、確かにそれならコッコさんが昨日まで『この都市まちに居なかった』証明にはなりそうッスね。後でそのイナバさんやマータさんにもお話を聞かせていただくッスが……


コッコ:うん。だから……ボクが住んでたアパートが『放火』された件については、ボクは無関係なんだよ……全然知らない……どうしてあんな……燃えちゃってたの!?

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