第6話 終
何が起きたか分からず動転していると、ゆっくり星が離れると同時に唇にあった温もりが遠ざかっていった。
キスをされたーーー
慌てて手で口を抑え星を見る。
妖艶な笑みを向けられ怯むも何とか言葉を絞りだす。
「なんで、、」
笑みをより一層深めた星が語る。
「昔ひなちゃんは私に突然キスしてきたけど、あの答え聞いてないよ?
なのにひなちゃんはそれを聞くの?」
そう言われ言葉が詰まる。
中学の頃音楽室でキスをした理由なんて、決まっている。
でも言えない、言ってはいけないと蓋をしたのだ。
「またダンマリ。そして、私を避けるの?」
そう言うとまた星の顔が近付いてきた。
避けなきゃいけないのに動けない自分が居る。
唇に温もりを感じそしてチュッとリップ音と共に離れていきまた問いかける。
「さぁ、教えて?あの時の言葉を。
じゃないとやめないよ?」
そしてまた顔が近付き、、、
「言う!言うからもうやめて!!
ーーー苦しい、、の。」
もう耐えられなかった。
責められるキスも、問いかけるキスも欲しくない。
私はが欲しいのはーーー
キツくしめていた蓋が外れ言葉が溢れ出してくる。
「私は星が、、好きなの!!
好きで好きで、止められない!!
ピアノなんかに夢中にならないで!他を見ないで!私だけを見て!!
全て私だけのものになって!
星が欲しい、、欲しいの!!」
全身全霊で叫んだ。
涙が溢れ顔はぐちゃぐちゃだ。
ーーもう取り返しはつかない。
溢れた出た
何とか立ち上がり階段を駆け降りようとすると不意に手首を掴まれ、屋上へと引っ張られる。
掴まれた先を見れば星が居る。
このまま見逃してはくれないのかと肩を落とす。
怖くて顔は見れずとも此方を見ているのは分かった。
「ーーー逃がさないよ。やっと捕まえたんだから。」
そう言うとフワッと身体が温かいもの包まれる。
そして耳元から星の息遣いが聞こえる。
抱きしめられたのだと気付いた時には、逃げられない程強く腕が回されていた。
「私が欲しいんでしょ?
ならあげるよ。ピアノなんか、他人なんかどうでもいい。
ーーーだから私にもひなちゃんを頂戴。」
そう甘く囁かれ、その声に酔わされる。
欲しかった存在が、欲しかった言葉が今この胸の中に居るのだ。
「本当にいいの?私の事気持ち悪いでしょ?だって私達は女どーーー」
「ひなちゃんが気持ち悪いなら私もそうね。
だってひなちゃんが好きで好きで、ひなちゃんの全てを暴きたかったの。
その熱を持て余してピアノにぶつけるほど、ひなちゃんの全てが欲しかったんだもの。
ね?気持ち悪い?」
星にそんな感情をもたれていたなんて知らなかった。
ピアノが熱の吐口だった。
あの狂おしいほどにピアノに向かっていた姿はーーー私を想って。。
そんな事を言われてはもう我慢できない。
星の唇を奪う。今まで抑えていた気持ちが止められない。
角度を変えながら星の唇の温もり全てを感じとる。熱い吐息が口から漏れる。
息が乱れても尚、星の唇を舌を貪り続ける。
どれだけ時が経っただろう。
一瞬にも永遠にも感じる時間を胸に、そっと顔を離し私は気持ちを紡ぐ。
「ずっとずっと、きっと生まれる前から私は星が好きだった。ーーーそして今、
心から愛してる。」
どちらともなく影が重なり再び
もう決して
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