3 追い詰められた状況って、時間が長く感じますよね
ここで
まだ小学生に上がる前だったと思うけれど、私は
『水野さんの家って、お金持ちだったんだなぁ』と、今さらのように私は感心している。家の土地だけでも、東京よりは安いだろうけど相当な代金のはずだ。水野さんの親戚には画家が居るそうで、その画家さんも利用していたアトリエが
そこで私は裸エプロンになっている。何を言っているのか分からないかも知れないが、私も自分が何をやっているのか、ちょっと良く分からなくなってきていた。別に私も、この
水野さんの家のアトリエに招待されて、そこで私と彼女の二人きりとなって。「じゃあ、絵を描きましょうか」と言う水野さんを
私は浴室で着替えさせてもらった。着替えたと言うか、全裸になってエプロンを付けたんですけどね。服と下着は折りたたんで浴室に置いておきました。私は画室に戻って、
そして今、私達は画室で、学校の美術部と同じように
実際には、アトリエにはクーラーがあって、冷房も
何とも
空を見ていても絵は描けないから、私は集中しようとして絵筆を動かす。そう言えば裸エプロンの理由をまだ説明してなかったけど、ええ要するに私は水野さんを誘惑したかったんです。
女子が男子を誘惑したければ、ちょっと胸元でも広げて見せてあげれば済むのだろうけど。何しろ相手は同性の水野さんである。そもそも私に関心が無いのかも知れない人で、そんな人を誘惑するには
そもそも誘惑って、どうやるのか私には知識が無かったし。
誘惑の
実際には水野さんが部屋の中に居る。怖くて水野さんの方を向けないけれど、そちらからは「バカじゃないの、バカじゃないの、バカじゃないの……」という低い
いつも水野さんは真剣で、全力で絵を描いている。そんな所も素敵で、水野さんの低い声も、それはそれで魅力的だなぁと私は思った。そんな水野さんの前で裸エプロンになるという行為は、美術を
何とか集中して絵を描こうとして、腕を上げると、エプロンの横から胸が出そうになった。私の胸は裸になると、横に広がってしまうのだ。
中学の時は陸上部だった私の
これじゃ、まるで
筆を
こんな私にも
『
「……はっ! み、水野さん!?」
首だけ動かして背後の水野さんを確認した私は、
「み、水野さん……?」
「知らないわよ?……もう、どうなっても知らないからね……」
低い声が水野さんの
「み、水野さん!?」
「うるさい、うるさい!
私はエプロンを
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