第4話 <告白と返事>転職半年後
だいぶ馴れてきたわね。
でも、気をつけて。
馴れてきた頃が1番危ないのよ。
・・・・あら?
ここ、昨日直しておくように言ったわよね。なぜ直っていないのかしら?
忙しくて忘れてた。
そう。それじゃあ、仕方ないわね。
なんて、言うとでも思った?
忙しい時こそ、言われたことはすぐにやるものよ。
いい?
あなたがまだ
たとえあなたが臨時のアルバイトだとしても、それは同じ。
あなたが作成したこの書類を、お客様は我が社が作成した書類として受け取るのよ。
そう。
この書類は、我が社の顔なの。
積み重ねてきた信頼を、新たに積み上げるか、ガラガラと崩すか。
あなたが作成したこの書類に掛かっていると言っても過言ではないわ。
・・・・少し、過言かしら・・・・ま、いいわ。
私が言いたいのは、それくらいの心構えでいなさい、ということ。
信頼って、得るのは大変だし時間もかかる。でも、無くなるのは一瞬。
よく、覚えておくのね。
こ~ら~っ!
おっそ~いぞっ!
新人のくせにぃっ、先輩であるおねえさんを~、いつまで待たせるのだぁっ!
んぁ?
も~、五杯目だぁっ!
まぁ、いいからキミもぉ、飲むのだぁっ!
おやっさ~ん、生中、2つ!
ん~?
なんでぇ、そんなにかしこまっちゃってぇっ!
おろっ?
もしかしてぇ、昼間の説教でぇ、凍ったかっ!
キャハハハッ!
も~っ、やめやめっ!
お酒の席にぃ、仕事の話は、持ち込むなぁっ!
はいっ、かんぱーいっ!
チン
・・・・くっらい顔しても~、お酒が、まずくなるっ!
あのねぇ、一回しか言わないから、ちゃあんと、聞いておくんだぞ?
おねえさんはぁ、キミが嫌いでキツいことを言ったのでは、ないからねぇ?
むしろぉ、取り返しのつかないミスをしてぇ、傷つくキミを見たくないから・・・・
グビッ グビッ グビッ
敢えてぇ、冷たく突き放してぇ、キツいこと言ったのだ!
分かったかぁっ!
バシッ!
あはは~っ、頑張るのだぁっ、新人君!
おねえさんはぁ、もう・・・・飲みすぎ・・・・た・・・・
コテン
ん~・・・・ムニャムニャ
スゥスゥ・・・・
チチチッ・・・・ピヨピヨ
んっ・・・・はっ?!
私ったら、またっ?!
はぁ・・・・もう、何回目かしら・・・・重ね重ね申し訳ない、本当に。自分がほとほと嫌になるわ。
えっ?
楽しいからいい?
私に気なんか使わなくてもいいのよ、シラフの時とのギャップにドン引きされるのには馴れているから。
・・・・これで何度も、振られているし。
え?
本当よ?
シラフの私を好きになってくれた人は、酔った私のテンションにはついていけないって。
酔った私を好きになってくれた人は、シラフの私はつまらないって。
何度も同じことを繰り返してる自分を、自分でもどうかしてると思っているのだから。
ごめんなさい、つまらない話をしてしまったわね。
もう、帰るわ・・・・
キャッ!
なにすっ・・・・
はっ?
どっちの私も、好き・・・・?
ばっ、ばかなことを言ってないで、早く離して・・・・
えっ?
このまま、ここに?
確かに今日はお休みだけれども・・・・
そうじゃない?
ここで、一緒に・・・・住むっ?!
あなた、自分が何を言っているのか、わかっているのかしら?
あなたは男性で、私は女性。
ただの会社の同僚であるあなたと私が、ひとつ屋根の下で一緒に暮らせる訳が・・・・は?ただの同僚ではない、とは?
私の答えが聞きたい?
何の・・・・
告白、の?
・・・・
えっ?!
まさかあなた・・・・本気?
とっ、とりあえず、この手を離して・・・・冷静に話し合いましょ・・・・いやっ、だから、この手を・・・・
・・・・はぁ、わかった、わかりました。
では、とりあえず。
今はもう一度、眠りましょうか。
ここで、一緒に。
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