第3話 <ふたたび絡む酔っぱらい>転職初日~定時後~

 くうっ!

 最初の一杯目はもちろん格別に美味しいけど、二杯目だって充分美味しいわよねぇ、ビールってのはっ!

 仕事終わりのビールは、やっぱりサイコーっ!

 この、口にひろがる爽やかな苦味、喉を刺激する程よいシュワシュワ感!

 後を引くのよねぇ・・・・止めろって言ったって、絶対にやめられないわぁ。


 グビッ グビッ


 くぅっ・・・・やっぱり、美味しいっ!

 ・・・・あれっ?

 おーっ、誰かと思えば温井君じゃないの!

 もしかしてキミ・・・・あっ、そっか。キミもこの近くに住んでるんだっけ。

 ・・・・飲めるのがバレないように、会社の人のいる近くには住まないようにしていたのだけれど・・・・キミにならもうバレてるから、まぁ良しとしましょう。

 よしっ!

 じゃ、今日は一緒に飲むわよ!昨日のお詫びも兼ねて、私が奢るわ・・・・って、ちょいちょい、温井君?キミは何故、今入ったばかりの店を出ようとしているのかしら?

 ほらほら、いつまでもそんな所に立ってないで、早く来なさい、ここに。

 ほら、ここ。

 こーこっ!


 ポフポフ


 ここに座る。

 いいから、座るっ!

 よし。

 ビールでいい?

 おやっさん、生中2つ!

 なによ、その微妙な顔は・・・・大丈夫、昨日みたいなことにはならないから。

 ・・・・たぶん。

 ん?

 何も言ってないわよ?

 大丈夫大丈夫!

 さ、ほらほら。乾杯するわよ。

 カンパーイっ!


 チンっ


 グビッ グビッ グビッ


 くうぅぅぅっ!

 仕事終わりのビールってぇ、なんでこんなに美味しいんだろうねぇ?

 え?

 これ?

 三杯目!

 ペース早い~?

 そうかなぁ・・・・

 そんなこと気にしなくていいからぁ、キミはじゃんじゃん飲んで、じゃんじゃん食べたまえっ!今日はぁ、このおねえさんがどーんと奢るのだっ!

 ふふふ~、よく食べてよく飲むコは、おねえさんは大好きだぞ~。おねえさんも、負けていられないねぇ!


 グビッ グビッ グビッ


 おやっさん、生中ふたつ、おかわりっ!

 それからぁっ、マグロのぶつと~、ゲソ南蛮と~、焼き鳥盛り合わせっ!

 ふふふっ、ここはねぇ、生ビールもおいしいけどぉ、ツマミも安くて美味しいのだよぉっ!だからぁ、おねえさんのお気に入り、なのだっ!

 このお店に目をつけるとは、キミ、なかなか見る目あるねぇっ、うん。

 はい、どんどん食べるのだぁっ!


 飲んだねぇ、食べたねぇ!

 え〜?飲みすぎぃ?あたしがぁ?

 へへ~、だ~いじょおぶっ!

 ちょ~っと、ね、ちょ〜っと、飲みすぎただけ、だよぉ。

 ほら~、ちゃんと歩ける・・・・れれっ?

 ん~・・・・おねえさんはぁ、こっちに行きたい、のっ!あれれ~?あははははっ!くるくる~!

 まわる~ま~わる~よ地球はまわる~♪

 ・・・・わわっ、っとっとっとぉっ?!


 ポフッ


 ん~?

 も~、温井君っ!

 1度ならず、2度までも~っ!

 かってにぃ、抱きつかないのーっ!

 セ・ク・ハ・ラ・でっす!

 ・・・・あ~、もしかしてぇ、キミ、おねえさんに惚れちゃったぁ?

 やだぁっ、図星、かなぁ?

 かわいいお顔がぁ、真っ赤っか、だぞぉ?

 でもぉ、ダメだよぉ?

 おねえさんはぁ、年下君はノーサンキューでっす!


 ・・・・うぇぇ・・・・くるくる~歩けないぃぃぃ

 おろっ?

 きゃぁっ、やるねぇ、温井君!

 お姫さま抱っこ!

 ん~、くるしゅうない、このまま家に帰るのだぁっ!

 かえる、の、だぁ・・・・


 ん~・・・・ムニャムニャ



 チチチッ・・・・ピヨピヨ


 ん・・・・んんっ?!

 はっ?!

 ここって・・・・

 はっ!あなたはっ・・・・ということは、私はまたっ?!

 なんてことなのっ?!

 1度ならず、2度までもっ!


 本当に、本当にごめんなさいっ!

 なんてお詫びをしたら・・・・

 ・・・・は?

 お詫びはいらないから、また飲みに連れて行って下さい?

 ・・・・あなた、正気?

 それとも、まだ酔っているの?

 とっ、とにかく、このお詫びはまた改めて必ず!

 帰ってシャワー浴びないと・・・・


 あの。

 一応、ね。

 一応確認だけど。

 キミと私、何もしてない・・・・わよね?

 分かってるわ、だから言ったじゃない、一応確認て。


 じゃ、もう行くわ。

 あなたも遅刻しないようにっ!

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