あの人は猫なのか?

卯野ましろ

あの人は猫なのか?

 私の知人には、たまに猫っぽくなる人たちがいる。それは予想外に体が伸びたり、耳や尻尾があったりなど身体的なことではない。その人たちは、話し方が猫っぽくなることがあるのだ。私の周りには「ない」を「ニャい」と言ったり、驚いた瞬間「にゃーっ!」と発生したりする人がいるのである。

 このことについて「マジかよ、二次元じゃあるまいし」と思う読者の方もいらっしゃるだろう。しかし私は、猫っぽい話し方をしている人を見る度に「あの人、もしかして猫だったりして」「あの人の前世は猫?」などとワクワクしてしまう。その人が隠していた猫の部分が漏れてしまったのか、と何だか楽しくなるのだ。

 そして、つい私は妄想してしまう。猫は不思議な力を持っている、世の中には人間に化けた猫たちがいる、体に猫の魂が宿っている人間が存在しているなどなど……。もう楽しくて楽しくて仕方がない。こんなに楽しくなるのは、それだけ猫が魅力的な生き物であるということだろう。

 そんな私でも「まあ、さすがに猫耳や尻尾を生やしている人間はいない」とは思っている。しかし、もしそんな人間がいると知ったら私は間違いなく興味を持つだろう。それほど私は猫という生物に魅了されているのだ。

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