第14話 捕獲

 条規は朝、5時には起きていた。

〝たっぷり寝た〟起きた瞬間そう感じた。

今日は、朝から夏見の左手の妖魔を捕獲する予定だ。

朝食は取らずに、捕獲の準備に取り掛かった。

まず、バスルームで冷水を浴びた。

夏の水道水は、温い。本来なら井戸水がベストだが仕方ない。

〝心頭滅却〟そう唱え左、右、頭と繰り返す。

心の落ち着きを確認し、バスルームから出た。

次は、〝陣〟の準備である。

条規は、自分の仕事部屋に捕獲するつもりでいた。

夏見が来て依頼、仕事部屋で寝起きしていたが、ダブルベッドの部屋を使う訳にもいかず、当面リビングで寝起きするつもりでいた。

仕事部屋から、PCなど、必要最低限の物をリビングに移し、空いたスペースに〝陣〟の元となる翡翠ひすいを五角形に並べた。

あとは、妖魔を封じる札と岩塩と〝雅〟を用意した。

準備が整ったので夏見を起こした。

夏見は、「叔父様、おはようございます〜」とまた大あくびである。

リビングへ夏見を誘い、夏見にアイスコーヒーを用意した。

条規は、何やら、メモ帳を真剣に読んでいる、修行の時の〝除霊士の手引き〟である。

条規は、「よし!やるぞ」と夏見を仕事部屋へ連れ、〝翡翠〟の五角形の中へ立たせた。

条規は、天井へ椅子にのり、札を2枚貼る。

続けて〝呪い〟を唱えながら、夏見の左手の数珠を外す!

見る見るカマキリ頭と豚頭が左手からでてきた。

「ヒサシブリ!ジョウキ!」カマキリ頭が話だす!

条規は、カマキリ頭が出終わった頃に〝雅〟に刃を出す!

「悪いな、狭くて!」条規は、そう言って、カマキリ頭の足の部分に一振りした!

「うギュー」カマキリ頭が夏見の左手から離れた!

「夏見!移動しろ!」条規が叫ぶ!

夏見は、〝翡翠〟の五角形から出る!

五角形と天井を結ぶラインが出来る!

条規は、呪いを唱えた!

カマキリ頭は、「なんじゃ!コレ!」と戸惑っている。

条規は、すかさず、〝お香〟に火をつける!

カマキリ頭は、「ナンダ?この煙!ヌケる〜」

とカマキリ頭は、見る見る小型化していった。

夏見の腕は、元の色に戻り、五角形の外でしゃがみ込んでいる。

条規は、「カマキリ頭さん?話してもらおうか?

〝小夜〟の居場所を!」と脅した。

カマキリ頭は、「待て、待て、まずその煙を止めろ!」と苦しそうである。

条規は、「止めるのは、話の後だ」と引かない。

カマキリ頭は、「わかったハナス!あの女は、この家の中だ!そして、お前は、今病院にいる!さあ話したぞ!消せ煙を!」

条規は、「何を言っている?この家居るのは、俺だ!小夜は何処かの病院にいるのか?」と問い詰めた!

豚頭が「あの方に消されるぞ!カマキリ!もう十分だ!」と苦しそうにカマキリ頭に話す。

条規は、「本当の事を話たくなったら呼べ」そう言って夏見に肩を貸して部屋を出ようとした。

カマキリ頭は、「約束がチガウ!煙を消せ!」と条規にすがる。

条規は、「お前が嘘をつくなら、俺もだ!」と言い放ち、「人には嘘をつかないが、妖魔には、つく!」と扉を閉め、カマキリ頭と豚頭を閉じ込めた。


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