第12話 ピアス
条規と夏見は、真っ直ぐ家に向かっていた。
途中、夏見が「叔父様、申し訳ないんですが、お手洗いが間に合いそうにありません、コンビニに寄っていただけないですか?」と頼んだ。
条規は、「わかった、まだちょっと距離あるから、寄るよ、飲み物でも買おう」と家から数キロ離れたコンビニに寄った。
夏見は、小走りにトイレに向かった。
よっぽど我慢していたんだな、と条規も飲み物を買う為に、続いてコンビニに入った。
夏見は、用を足し洗面台でアームカバーを外し手を洗っていた。
そこに、多目的トイレから、デカい坊主頭、耳にはいびつなピアスをつけた、筋肉を主張する為にタンクトップを着ている男が出てきた。
息を荒くしている。
その瞬間、夏見は、〝施設長〟と同じ、夏見を狙う悪臭を嗅ぎ取った。
夏見は、逃げようと急いでアームカバーをした。
すると坊主頭の男は、夏見に「どうしたんだ⁉︎その傷は、俺は非番の警察官だ!虐待されているのか?
」と背中越しに手に触ろうとした!
夏見は「虐待なんかされてません!大丈夫です!」と逃げようとした!
だが男は腕を掴み「いいや、ほっとけない!連絡先を教えなさい、警察だぞ!」としつこい。
夏見は、危険を感じ「お父さん!」と条規に向かって大声をあげた。
飲み物を選んでいた条規は、すぐに夏見と気づきトイレの方へ向かった。
すると坊主頭のピアス男に腕を掴まれている夏見がいる。
「離せ!この子が何かしたのか?」と
坊主頭は、「いや、傷が余りに酷いんで虐待を心配したところです、私は警察官です」と急に敬語になった。
条規は、「この子は私の娘だ、傷は個人的な問題だ
虐待などしていない!警察官なら警察手帳を見せてくれ!」
坊主頭は、「いや、非番なんで、持ち歩いてないです、虐待じゃないならいいんです。」と夏見の腕を離し、その場を離れた。
条規は、夏見に「大丈夫か?飲み物はもういい、すぐ帰ろう」と怪しい男を警戒して、すぐミニクーパーに向かった。
ミニクーパーの助手席で夏見は震えていた。
「すぐ、着くから、堪えてくれ」とエンジンを掛け、コンビニを後にした。
この時、さっきの坊主頭はヘルメットを被り、
ミニクーパーの後をつけようとしていた。
その様子は、ミニクーパーの小さなミラーに写っていたが、条規は気づかなかった。
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