3-2:バカンスを楽しむ星々

侵攻イベント終了後、突然発表されたバカンスイベントにV-STARSの面々は、まったりと参加していた。

波打ち際で黄昏れるポラリスとそれを見守るアルタイル。そして串焼きを焼くベガ。


「はぁ……息つく暇もないなぁ……。」


青い海パンのポラリスは呟いた。

その呟きに答えたのは黄色のワンピースに身を包んだアルタイル。


「どうしたの?」


「いやさ、今回のイベントで僕等はWHITEサーバーを敗北させちゃったなって。」


「そりゃあ俺たちの責任じゃねーだろ?」


赤いパレオに身を包んだベガが串焼きを手に二人の元へとやってくる。


「俺たちはクロヌリっていうBLACKサーバーより序列の高いオクタディアと戦った上にグリーンとセレブリーっつー敵も居たんだからな?」


「そうは言っても……僕らはもっとやりようがあったと思うんです。」


「でも私なんて“天候操作”で負けちゃったからいいところ無しだよ?」


「アリストより活躍しただろ?俺なんてグリーンを止められなかったんだからな?あいつを倒せてたらこっちの勝ちだったんだ、俺がもっと強ければよかったんだ……STRがもっと高ければ……。」


ポラリスがベガの自己評価を聞いて悩む。


「……一度、反省会をしますか。」


少し悩んだポラリスは二人にそう切り出すとイベントを振り返り始めた。


「まず最初の団長含め、全員でクロヌリにぶつかったところは成功だったと思います。」


「そうだな、俺もアリストも……それこそ優秀なプレイヤーの活躍でかなりのビスデスを減らせたからな。」


「私の天候操作もここで活躍してたんだよね!」


「そう、ここは今回のイベントでの唯一といってもいい大金星……だったね。」


ベガが串焼きを取りに少し席を外しながらポラリスの話だけは聞く。


「問題はこの後です。クロヌリと対峙していた団長の元へと加勢したこのタイミング、ここで南側にグリーンさんとセレブリーさんが暴れていることを聞いて僕は二人が人口の3分の2を殺して勝つつもりだと判断してレベルの低いプレイヤーに足止めと住民の避難を要請しました。」


「でもあのままだったらそれこそ負けていたんじゃない?プレイヤーは大体15、6ぐらいのレベルだとして5分くらいしたら帰ってくるでしょ?人数をかけて妨害したのは正解だったと思うけど……?」


「あそこでクロヌリを追い詰めて大鎌を出させたのは結果的に良かっただろ?グリーンの合流後にあれを使われてたらほぼ負け確だったぜ?」


二人の意見を聞いてもなお、ポラリスはミスだったと考える。


「……クロヌリの方は僕らが注力した結果そういう結果に繋がりましたがグリーンたちの合流を遅らせる為には向こうにも人員を割いた方が良かったと思うんです。」


「……どーだかな?クロヌリの大鎌が消えたのはキル数か時間かもわかってねぇ。それにグリーンは大聖堂の時に見せたスキルが全部対個人に特化したスキルだったから合流されても問題ないって判断も間違ってなかったはずだぜ?」


「でも、おそらくセレブリーの“マーダー・サーカス”、グリーンの“邪教徒の征く道に光などない”はユニークジョブの最終スキルです。最終スキルを所持している人が数えるほどしかいないとはいえ強力なスキルなのがわかっていてそれの獲得を止めなかったのは失敗だったと思うんです。」


「俺の“救いを此処に遍く世界を救済す”みたいに消費が重すぎて使い物にならないパターンもあった。可能性ばっか追ってもダメだろ。あえて言うなら準備段階で何ができたかって話だ、そうだろ?」


準備段階で失敗していないかと考えたポラリスは口を開く。


「敢えて言うならCスキルですかね。“緊急回避”、“ハイジャンプ”を取ったのは失敗かもしれません。クロヌリが飛行する可能性を見て“ハイジャンプ”は安直だったうえに使用することもほとんどなかったので……。」


「まぁ、次回は頑張りますってことだな!今回のことでセレブリーもグリーンもスキルを全部見せたんだから次回は勝てるさ!おら、肉を喰え肉を!」


ベガの突きだした串焼きをむしゃむしゃとしながら3人は海を眺めて過ごした。

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